- クラシック
- 2026年1月2日
おはこんばんちは、朱縫shuhouです。

先日歴代アカデミー賞で最優秀作品賞に輝いた全90作をずらりとランキングした記事を書きました。
しかしそもそも私は90作全部をランク付けしたかった訳ではなく、

なんでこんな駄作が過大評価されてオスカー獲ったんじゃー!
○○の方が名画やろがい!
という記事が書きたかったのです。
大体アカデミー最優秀作品賞映画をランキングしてみたって、20位から上位なんてもう万人受けしてたまらんばかりの名作揃い。
どれも甲乙つけがたく、点数付けるのだって困って迷って苦心の末に…って感じでした。
良作を選ぶより文句つけてる方がよっぽど楽。性格の問題か?
とにもかくにも全作ランキングは完成したので、本懐を遂げてやろうと思います。
「アカデミー最優秀作品賞受賞作に文句つけた上に同年それよりよっぽどおもろかった作品を厚かましくも勝手に紹介しているランキング」です。どうぞお楽しみください。
※ちなみに未視聴の映画と現代の基準では判定しにくい1950年代以前のクラシック映画に関してはこのリストからは割愛しています。
過大評価映画だと思うアカデミー最優秀作品賞受賞作とその年本来獲るべきだった名作映画
下から10番目【英国王のスピーチ】

原題:The King’s Speech(レビュー記事へ)
公開年:2010年(第83回アカデミー最優秀作品賞)
製作国:イギリス
上映時間:118分
監督:トム・フーパー
キャスト:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ他
大衆の前でスピーチができない英国王ジョージ6世(コリン・ファース)が、言語療法士ローグ(ジェフリー・ラッシュ)との交流を通して吃音症を克服していく地味な物語。
コリン・ファースにジェフリー・ラッシュにヘレナ・ボナム=カーター…俳優陣は演技派揃いで良い感じなんですけどねえ?逆説的に言えばこの内容で俳優までアホボンだったら観られたもんじゃなかったでしょう。
ジョージ6世が努力の果てに聴衆の面前で立派にスピーチして見せ、地球を揺るがさんばかりの拍手喝采を浴びる場面にちょっとだけ感動。
この年獲るべきだったのは【ブラック・スワン】

原題:Black Swan(レビュー記事へ)
製作国:アメリカ
上映時間:108分
監督:ダーレン・アレノフスキー
キャスト:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル他
クラシック・バレエの劇団に所属するニナ(ナタリー・ポートマン)は、努力家で才能溢れる高い技術の持ち主。しかし完璧主義で繊細なその性格は、明らかに競争向きではありませんでした。
次回公演「白鳥の湖」のプリマに選ばれたニナが、相反する「白鳥」と「黒鳥」の二役を演じることと周囲のライバルや元バレリーナの母親からのプレッシャーによって徐々に精神を病んでいく様子を丹念に描いたサイコスリラー。
観れば観るほど、ニナには「心の拠り所」が一切ないことを痛感する映画。
安息を与えてくれるはずの母親でさえプレッシャーの対象でしかなく、親友となり得るかと思った同僚リリー(ミラ・クニス)も結局は足元をすくおうとするライバル。愛した男はバレエ馬鹿の女ったらしで、今はニナの才能に夢中でも数年後の手の平返しは目に見えてる。
家にもステージにも、ニナには一切心休まる時間がない… 病むねこれは、病む。
ニナの心理をこれでもかとクローズアップし、ニナと一緒に何度も幻を見てしまう観客さえも混乱しすぎて涙目になるほどの演出が見事。
下から9番目【炎のランナー】

原題:Chariots of Fire(レビュー記事へ)
公開年:1981年(第54回アカデミー最優秀作品賞)
製作国:イギリス
上映時間:124分
監督:ヒュー・ハドソン
キャスト:ベン・クロス、イアン・チャールソン他
1924年のパリオリンピックで活躍したユダヤ人のハロルド・エーブラムス(ベン・クロス)とスコットランド人宣教師エリック・リデル(イアン・チャールソン)という二人のランナーを描いた伝記映画。
「ユダヤ人であること」に例えようもない劣等感を持つエーブラムスと、「走ること」が大好きで天賦の才を持つがそれ以上に信仰に厚い宣教師リデル。彼らを始めとするケンブリッジ大学陸上部の青春物語は感動的ではあるけれど、淡々と事実を追っているだけで退屈。
鑑賞後は印象的なテーマ曲しか記憶に残りません。
この年獲るべきだったのは【黄昏】

原題:On Golden Pond(レビュー記事へ)
製作国:アメリカ
上映時間:110分
監督:マーク・ライデル
キャスト:キャサリン・ヘップバーン、ヘンリー・フォンダ他
名優キャサリン・ヘップバーンとヘンリー・フォンダが長年連れ添った夫婦役として、そしてヘンリー・フォンダの実の娘のジェーン・フォンダが夫婦の娘役として共演しているヒューマンドラマ。
湖畔の別荘でゆったりと過ごす、もうすぐ80歳を迎える偏屈もののノーマン(ヘンリー・フォンダ)と、夫と自然を愛しいつも陽気に人生を楽しんでいる妻のエセル(キャサリン・ヘップバーン)。2人の元にノーマンと確執のある娘チェルシー(ジェーン・フォンダ)が、婚約者とその連れ子の少年を伴って遊びにやってきます。
他人に対して攻撃的な面があるノーマンの頑なな心が、少年との交流と日ごとに実感する老いによって少しずつ解けていく感動作。
静かな湖畔でよぼよぼのノーマンとツッパりたい盛りの少年が釣り糸を垂れる様子は【リバー・ランズ・スルー・イット】や【老人と海】を彷彿させます。
偏屈すぎて誤解されがちなノーマンをただ一人完璧に理解しているエセルとの夫婦の絆も笑ってしまうほど素晴らしい。
下から8番目【パットン大戦車軍団】

原題:Patton(レビュー記事へ)
公開年:1970年(第43回アカデミー最優秀作品賞)
製作国:アメリカ
上映時間:170分
監督:フランクリン・J・シャフナー
キャスト:ジョージ・C・スコット、カール・マルデン他
二度の大戦において勇名をはせたアメリカ合衆国陸軍将軍(最終階級中将)ジョージ・パットン(ジョージ・C・スコット)の戦争伝記映画。
アメリカでは絶大な人気を誇るパットン氏ですが、私からしてみればただの戦争狂。
「戦争万歳!」と受け取ることもできるこの戦争賛辞映画がオスカーを受賞するというのは…なんなんですかね…。
この年獲るべきだったのは【M★A★S★H マッシュ】

原題:M*A*S*H(レビュー記事へ)
製作国:アメリカ
上映時間:116分
監督:ロバート・アルトマン
キャスト:ドナルド・サザーランド、トム・スケリット他
朝鮮戦争時の韓国。前線から離れた陸軍移動外科病院(Mobile Army Surgical Hospital:通称「MASH(マッシュ)」)に配属された腕は確かだが少々悪ふざけが過ぎる3人の軍医を描いたブラック・コメディ。
MASHの人間に変なあだ名をつけるなんて序の口、3人はインポの同僚のベッドに看護婦をけしかけたり、お高くとまってる女性将校のヌードを衆目にさらしたり、イジメと悪戯のぎりぎりをかすめてきます。いやもうほぼイジメ。
しかし外科医としての腕は隣国日本にいる重病患者が名指しでオペの依頼をしてくるほど超一流。
戦争狂の映画観るくらいなら戦場で悪ふざけしてる天才外科医観てる方が断然マシ。
でもこんな映画、絶対オスカー獲らへんけどね。
下から7番目【ラストエンペラー】

原題:The Last Emperor(レビュー記事へ)
公開年:1987年(第60回アアカデミー最優秀作品賞)
製作国:イタリア、中華人民共和国、イギリス
上映時間:163分(オリジナル全長版219)
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
キャスト:ジョン・ローン、ピーター・オトゥール他
清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀(ジョン・ローン)の生涯を描いた長く退屈すぎる歴史映画。
YMOの坂本龍一が日本人初のアカデミー作曲賞を受賞したことでも話題になりました。(本編にも出演)
最初に観た時はまあまあ面白かった記憶があります。でも2回目の視聴で「…あれ?」ってなりました。
「こんなにおもろなかったっけ?」と。
恐らく初見の時は紫禁城の景色や壮大なスケール感に圧倒されて、「おもろい気がしてた」んでしょう。これといってドラマティックな展開もないしね。淡々と歴史を追っているので、溥儀に感情移入することもなく終了。
この年獲るべきだったのは【ブロードキャスト・ニュース】

原題:Broadcast News(レビュー記事へ)
製作国:アメリカ
上映時間:133分
監督:ジェームズ・L・ブルックス
キャスト:ホリー・ハンター、ウィリアム・ハート他
愛想とルックスは良いけどおバカのトム(ウィリアム・ハート)、仕事はできるけどきつい性格のジェーン(ホリー・ハンター)、秀才だけど要領が悪いアーロン(アルバート・ブルックス)。TV局に勤める個性豊かな3人の男女の、仕事に賭ける情熱と恋愛模様を描いた社会派ドラマ。
はつらつとしたホリー・ハンターの演技をみるためだけにでも観てほしい作品。ニュース番組の敏腕プロデューサーとして現場のスタッフに怒声を浴びせる姿なんてもう最高。ストレス発散にもいい。
前提として主人公の3人のキャラクターがしっかりしてるのでとっても観やすい。舞台設定自体は特殊な「TV業界」ではありますが、登場人物の悩みや会社の経営状況なんかは身近で伝わりやすいものです。
まるで演劇のように「プロローグ!」「本編!」「エピローグ!」と格別に分かれているのもスッキリしていて気に入ってます。
グレン・クローズの深い愛情ゆえの狂気とマイケル・ダグラスの引き締まったお尻がかわいい【危険な情事】とどっちを挙げようか迷うんだけどねえ~。どちらの映画もスケールのデカさでは【ラストエンペラー】と比較にもなりませんけど、たまにはこういった映画が賞レースを制してくれても良いのになあって思います。
下から6番目【わが命つきるとも】

原題:A Man for All Seasons(レビュー記事へ)
公開年:1966年(第39回アカデミー最優秀作品賞)
製作国:イギリス
上映時間:120分
監督:フレッド・ジンネマン
キャスト:ポール・スコフィールド、ロバート・ショウ他
イングランドの法律家・思想家・人文主義者トマス・モア(ポール・スコフィールド)の、日本人にはにわかに信じがたいほどの固い信仰心を描いた映画。
世継ぎを生まない現王妃を捨て、愛人アン・ブーリンと再婚したい国王ヘンリー8世(ロバート・ショウ)。しかしカトリックではローマ法王の許しなしの離婚は不可能。ヘンリー8世に法王の説得を頼まれたトマスはこれを断ったため反逆罪に問われ、ついには処刑されてしまいます。
トマスが徹頭徹尾唱えているのは「信仰心」。常に頼るのは自分でも家族でも国王でもなくただひたすらに「信仰心」のみ。
すごい人だったんでしょうけど、ハタからみてるとただの頑固なおっさん。
妻も娘も悲しんでるし、ヘンリー8世だってまるで犬のようにトマスに懐いてるというのに、ちょっとでも譲歩してもらうのは無理だったの?
この年獲るべきだったのは【バージニア・ウルフなんかこわくない】

原題:Who’s Afraid of Virginia Woolf?(レビュー記事へ)
製作国:アメリカ
上映時間:131分
監督:マイク・ニコルズ
キャスト:エリザベス・テイラー、リチャード・バートン他
中年夫婦がゲストの若夫婦をも巻き込んでお互いの欠点を捲くし立て大喧嘩するという、エドワード・オールビーの戯曲「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」の映画化。
落ち込んでいたり悩んでいたり、何か悲しい出来事があった前後には 絶対に観ない方がいいです。100%余計気分が落ち込みます。
よくもこんなに人の欠点を上げ連ね、悪口雑言の限りを尽くし、売り言葉に買い言葉の応酬を一晩中続けられるもんですよ…。
究極の夫婦喧嘩。
「覚えとけよ、痛い目みせたる!」といった抽象的な脅し文句から、「お前なんか何年も助教授のまんまでちっとも出世せえへんやんけ!」といった殺傷能力の高い具体的な文句まで、息つく間もなく双方が浴びせ合います。
しかも本日初対面の客人の目の前で。
年老いたメーキャップでも隠せないエリザベス・テイラーの美しさと、その彼女から発せられる汚い罵詈雑言の数々…ギャップ萌え。【マイ・フェア・レディ】で悪態をつくオードリー・ヘプバーンに感じるギャップ萌えと同種のものですね。
大声で感情をむき出しにして喚きまくる深夜から一転、静かに迎えるうつろな朝の描写が笑えてきます。

…なんやったんやあなた達は…
下から5番目【ブレイブハート】

原題:Braveheart(レビュー記事へ)
公開年:1995年(第68回アカデミー最優秀作品賞)
製作国:アメリカ
上映時間:177分
監督:メル・ギブソン
キャスト:メル・ギブソン、ソフィー・マルソー他
スコットランド独立のために農民を率いて戦った末、イングランド王エドワード1世への大逆罪に問われ残虐刑に処された実在の人物ウィリアム・ウォレス(メル・ギブソン)を描いた歴史映画。
歴史ものはやっぱり強いんですよね~賞レースはね~。「処刑シーンが怖い」くらいの印象しかないですけどねえ~。なんで獲ったんですかね~。
私なんかちょいちょい【ダンス・ウィズ・ウルブス】と、どっちがどっちか分からなくなってこんがらがってますもん。なんか似てる。
どっちもおもろないし。
この年獲るべきだったのは【デッドマンウォーキング】

原題:Dead Man Walking(レビュー記事へ)
製作国:アメリカ
上映時間:122分
監督:ティム・ロビンス
キャスト:スーザン・サランドン、ショーン・ペン他
デート中のカップルを残虐非道に殺害した死刑囚マシュー・ポンスレット(ショーン・ペン)と、彼の死刑執行までのスピリチュアルカウンセラーを請け負ったシスター・ヘレン(スーザン・サランドン)。
シスター・ヘレンは死刑執行のその日までマシューの無実を証明するために奔走しますが、ついに判決が覆ることはありませんでした。
このランキングの中で唯一、その年のアカデミー作品賞にノミネートすらしなかった映画です。
なんで?(作品賞以外でのノミネートは有)
テーマが重すぎた?アメリカの死刑制度ってどんな感じなの?なんでコレ最優秀作品賞じゃないの?
めちゃくちゃ好きな映画です。
ショーン・ペンの最高傑作は間違いなくこの映画でしょう。
監督のティム・ロビンスにしても、俳優としてではないけど「関わった映画」としては【ショーシャンクの空に】よりも傑作だと思います。
本作でオスカーを獲ったスーザン・サランドンだけは例外ですけど。彼女には【ロッキー・ホラー・ショー】があるんで。あれ以上の演技なんてない。おもろすぎ。
「娘がレイプされたあと17箇所も刺され、挙句脳天2発も撃たれて殺された日にゃあ、地獄の果てまで犯人追い詰めて死ぬより酷い目に遭わせたる!」
最初はそれしか考えられなかった浅はかな私…。
しかし世間では「人の皮をかぶったモンスター」と言われているマシューにも親兄弟がいて、モンスターであろうが罪を赦し魂の救済を説くシスター・ヘレンのような人もいます。
「殺されたから殺す」では、何も解決しない…の?(聞くな)
いまだに私の中で答えは出ていません。ただ、「目には目を」は何かが違うような気だけはします。
下から4番目【ガンジー】

原題:Gandhi(レビュー記事へ)
公開年:1982年(第55回アカデミー最優秀作品賞)
製作国:アメリカ
上映時間:188分
監督:リチャード・アッテンボロー
キャスト:ベン・キングズレー、キャンディス・バーゲン他
「インド独立の父」として知られるマハトマ・ガンジー(ベン・キングズレー)の青年時代から暗殺までを描いた歴史映画。
この年のアカデミー主演男優賞受賞したベン・キングズレーが、ガンジーの度重なる断食によりみるみる痩せていく役作りはすごい。
この映画を作ることこそが自分が生まれてきた意義だと言わんばかりに情熱を燃やしたリチャード・アッテンボロー監督もすごい。
「非暴力・不服従」を唱え民衆を率いたガンジー本人ももちろんすごい。
しかしどうしても学生時代の世界史感が拭えない。
居眠りしそうなくらい退屈。
この年獲るべきだったのは【E.T.】

原題:E.T. The Extra-Terrestrial(レビュー記事へ)
製作国:アメリカ
上映時間:115分(20周年記念特別版120分)
監督:スティーブン・スピルバーグ
キャスト:ヘンリー・トーマス、ドリュー・バリモア他
地球を探索に来ていた宇宙船に乗り遅れ、たった一人取り残されてしまった地球外生命体「E.T.」。
偶然見つけてくれた少年エリオット(ヘンリー・トーマス)達と絆を深め合いながら宇宙との通信手段を模索するE.T.でしたが、宇宙人研究施設の研究員に見つかってしまいます。
私自身はスティーブン・スピルバーグ監督の作品は好みませんが、これはもうしゃあない。
この年は【E.T.】しかないでしょ。
【愛と青春の旅立ち】とか【トッツィー】もありましたけど、【ガンジー】に対抗しようと思ったら【E.T.】なんですかね~…。正直ちょっと悩んだんですけど、やっぱり「一度は観るべき」って意味でも【E.T.】にしときます。
今観るとE.T.の着ぐるみ感とかストーリーの陳腐さとかやばいけど、それでもやっぱり自転車に乗った少年達が空に舞い上がるシーンは鳥肌が立ちます。
しかしSFジャンルの映画はホントにオスカー獲らないよね。
いいよね?
【ガンジー】よりは絶対おもろいよ?
社会現象巻き起こしたよ?
下から3番目【ハート・ロッカー】

原題:The Hurt Locker(レビュー記事へ)
公開年:2008年(第82回アカデミー最優秀作品賞)
製作国:アメリカ
上映時間:131分
監督:キャスリン・ビグロー
キャスト:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー他
2004年、イラクのバグダッド駐留のアメリカ軍爆発物処理班ブラボー中隊に派遣されたウィリアム・ジェームズ軍曹(ジェレミー・レナー)。安全対策も行わず任務を遂行し「命知らず」と呼ばれるジェームズ軍曹率いるブラボー中隊と爆弾魔との格闘を描いた戦争映画。
多分相性なんですけど…。
【ゼロ・ダーク・サーティ】も全然おもろなくて、私どうやらキャスリン・ビグロー監督作品と相性が悪いみたいなんです。
キャスリン・ビグロー監督の、「こういう映画を撮りたい!」っていう情熱はすごく感じるんですけど、それしか感じません。
特殊なネタ(爆弾処理班だの、ビン・ラディン暗殺だの)を取り上げることだけで満足してしまって、内容が薄くて全然面白くないです。
この年獲るべきだったのは【イングロリアス・バスターズ】

原題:Inglourious Basterds(レビュー記事へ)
製作国:アメリカ、ドイツ
上映時間:153分
監督:クエンティン・タランティーノ
キャスト:ブラッド・ピット、メラニー・ロラン他
第二次世界大戦中のドイツ国防軍占領下のフランスでドイツ指導者の暗殺を企てる者達をサスペンスフルに描いたクエンティン・タランティーノ監督作品。
ユダヤ系アメリカ人からなる秘密部隊を率いるアメリカ陸軍のレイン中尉(ブラッド・ピット)や、ナチス親衛隊ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)に家族を皆殺しにされ復讐の機会をうかがっているユダヤ系フランス人の女性映画館館主(メラニー・ロラン)らが、各方面からナチスを追い込んでいく様が実にファンタスティック。
クエンティン・タランティーノの作品は刺さらん人には一切刺さらないことを十分承知の上でおすすめします。彼の作品の中でも「まだ」大衆性が高い方ではないでしょうか。
この年は「【ハート・ロッカー】と【アバター】の一騎打ち」という下馬評が映画好き界隈を席巻していましたが、いやいや、
【アバター】は絶対ちゃうやろ。
「CG」しか売りがない伝説的クソ映画に敬意を表し盛大に突っ込んでおきます。
下から2番目【恋に落ちたシェイクスピア】
原題:Shakespeare in Love(Wikipedia)
公開年:1998年(第71回アカデミー最優秀作品賞)
製作国:アメリカ
上映時間:137分
監督:ジョン・マッデン
キャスト:グウィネス・パルトロウ、ジョセフ・ファインズ他
芝居熱が過熱するロンドンの人気作家ウィリアム・シェイクスピア(ジョゼフ・ファインズ)。彼の新作のオーディションにやってきた青年は、実は裕福な商人の娘ヴァイオラ(グウィネス・パルトロウ)の男装した姿。そしてシェイクスピアは、ヴァイオラと運命の恋に落ちる⸻。
勘弁してください。
何回チャレンジしても途中で寝てしまって一度も最後まで観たことがない映画。自慢じゃないですけど私、退屈な白黒映画だろうが低予算のB級映画だろうが、一度観始めたらちゃんと最後まで観ます。どうしても最後まで観られない映画って今のところこれだけです。
とにかくおもろない。
衣装や舞台は美しいけどそれだけ。
しかも主演のグウィネス・パルトロウって綺麗だけど男顔だと思いません?あの顔で「男装」ってしかし…男にしか見えへんがな!
この年獲るべきだったのは【プライベート・ライアン】

原題:Saving Private Ryan(レビュー記事へ)
製作国:アメリカ
上映時間:170分
監督:スティーブン・スピルバーグ
キャスト:トム・ハンクス、エドワード・バーンズ他
ノルマンディー上陸作戦で死亡した者を含め、四兄弟の内3人が同時に戦死したライアン家。陸軍参謀総長はミラー大尉(トム・ハンクス)率いる8人のレンジャー隊に、末っ子で行方不明のジェームズ・ライアン(マット・デイモン)を探し出し帰還させるよう命じます。
米国アカデミー賞が歴史的過ちを犯したと言っても過言じゃない年。
【プライベート・ライアン】以外に一体何がオスカーを獲得するべきだったと言うのでしょう。
一応まだこの下に最下位の映画が控えてはいますけど、最下位は観る人によっては過大評価ではない可能性もあります。
この年は酷い。
誰がどう見たって【プライベート・ライアン】が最優秀作品賞だったでしょうに。
あのセクハラ大王ハーベイ・ワインスタインさえ絡んでいなければ歴史は変わってたんですよね。【プライベート・ライアン】が名画であることは周知されているものの、やはりオスカーの栄冠を手にできなかったことは悔やまれます。
「プライベート・ライアン」と「恋におちたシェイクスピア」の大接戦だった年に「恋におちた〜」が取ったことや、それほど評価が高いと言えなかった「ショコラ」が作品部門にノミネートを果たしたことは、今も語り継がれる伝説。
⸻中略⸻
「プライベート・ライアン」と熾烈な闘いをした「恋におちたシェイクスピア」のために、ミラマックスが使ったお金は500万ドル以上と推定されている。
最下位【恋の手ほどき】

原題:Gigi(レビュー記事へ)
公開年:1958年(第31回アカデミー最優秀作品賞)
製作国:アメリカ
上映時間:116分
監督:ヴィンセント・ミネリ
キャスト:レスリー・キャロン、モーリス・シュヴァリエ他
天真爛漫で堅苦しいことが苦手なジジ(レスリー・キャロン)は貴婦人のもとで礼儀作法を学んでいるものの、中々身につきません。そんな彼女と富豪の甥っ子ガストン(ルイ・ジュールダン)との恋を描いたミュージカル映画。
この年は他にポール・ニューマンとエリザベス・テイラーの【熱いトタン屋根の猫】なんて名画も公開されてたというのに、私には何が認められて【恋の手ほどき】が受賞したのかさっぱり分かりません。
お転婆娘が幼馴染と恋に落ちるだけ。
え?!
この年獲るべきだったのは【手錠のまゝの脱獄】

原題:The Defiant Ones(レビュー記事へ)
製作国:アメリカ
上映時間:97分
監督:スタンリー・クレイマー
キャスト:トニー・カーティス、シドニー・ポワチエ他
ある暴雨の晩、横転事故を起こした囚人移送車から白人ジョーカー(トニー・カーティス)と黒人カレン(シドニー・ポワチエ)の囚人が逃走。2人はお互いを手錠で繋がれたまま、時に反目し合い、時に協力し合いながら、追手を振り切ります。
現代よりよっぽど重そうな鉄の手錠で繋がれた男2人が、不自由そうに寄り添いながら繰り広げる逃走劇はある種の冒険活劇と言っていいでしょう。
お腹が減った2人が「…せーのっ!」と声をそろえてウシガエルに飛び掛かる様はさながら「トム・ソーヤの冒険」のごとし。
お互いの手錠を手繰り寄せながら豪雨のお陰で水かさの増した川を渡ったり粘土質の巨大な穴を登ったり…、食料調達のために立ち寄った小さな集落では住人に見つかって危うく黒人であるカレンがリンチされそうになり、その後立ち寄った民家では未亡人とジョーカーが恋に落ち…。
冒険活劇でありながら2人の囚人のうちの片方が「黒人」であることも計算されていて、2人とも「白人」であっても2人とも「黒人」であっても【手錠のまゝの脱獄】は成り立ちません。
相手が「川」や「穴」であれば2人は容易に協力することができたのに、集落や民家で「人間」が絡んだ途端ジョーカー(白人)とカレン(黒人)の間に浮き上がる溝がなんとも言い難くただ悔しい…。
「明るく前向きな無情感」が味わえるラストも完璧です。
なぜにこれが獲らなんだ。
歴代アカデミー最優秀作品賞ワーストランキングのまとめ
まあここに挙げたのはすべて「アカデミー最優秀作品賞ってほどの映画ではないんじゃない?」ってことなんで、ここまでハードルを上げなければ普通に観られる映画も混じってなくもない…
いや混じってへんかな。
少なくともこの10作品は私の「面白い(好きな)映画ベスト100」には絶対ランクインはしませんね。
一方で「獲るべきだった映画」の方は、賞レースとは一切無縁の作品もあったりするものの本当におすすめなので、騙されたと思ってどうか試しに視聴してみてください。
おまけ★世間一般に過大評価だと認識されてる映画
ついでに、私の主観だらけのランキングよりよっぽど参考になりそうな「エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由」をご紹介しておきます。
アメリカ現地(恐らく)のコメントがいちいちおもろい。
※()内は公開年。
「わが谷は緑なりき」(41)……「市民ケーン」に勝ったという事実は、いまだに犯罪行為といえる
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
はい無茶苦茶言いますね。酷すぎ。
でも分かります。
【わが谷は緑なりき】は暗くて気分が落ち込む上に面白くないです。
しかし当時としては勝って当然の【市民ケーン】も、今観ると割とつまんないんですけどね。
「地上最大のショウ」(52)……時代遅れで、陳腐でナンセンス。なのに、「真昼の決闘」に勝っている
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
【真昼の決闘】には到底及びませんが、【地上最大のショウ】は、これはこれで楽しめたけどね?
いや…オスカー獲るほどでは絶対ないな…。
大体がしかし、オスカー獲ったからって「勝ち」ではないけどね。
「80日間世界一周」(56)……ジェームズ・ディーンの「ジャイアント」が取るべきだった
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
激しく同意しますね。【ジャイアンツ】最高!
ジェームズ・ディーンが石油を掘り当てようと荒野に佇んでいる姿だけでももう芸術。そのジェームズ・ディーンが恋する相手エリザベス・テイラーの絶世の美女っぷりもたまらん。
広大なテキサスを舞台に繰り広げられる熱い人間ドラマが、あの「世界一周ドキュメンタリー映画」に敗れたとは…知った当初は信じ難かったですけどね。
「マイ・フェア・レディ」(64)……「博士の異常な愛情」が取るべきだった
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
めっちゃ分かるけど【M★A★S★H マッシュ】同様【博士の異常な愛情】はオスカー向きじゃないでしょうに。
「わが命つきるとも」(66)……「バージニア・ウルフなんかこわくない」のほうがずっとまし
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
「ずっとまし」て。
「まし」て。
おもろいっちゅーねん。
「オリバー!」(68)……救いようがないほど古くさくて凡庸。同年には「2001年宇宙の旅」と「ローズマリーの赤ちゃん」という傑作があったのに、ノミネートすらされていない
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
【オリバー!】は入手困難で視聴できてないのですが、【2001年宇宙の旅】と【ローズマリーの赤ちゃん】については同感ですね。
やはりSFとホラーではノミネートすらされないって裏付けてしまった年。
「普通の人々」(80)……もっとも許せないのは、「レイジング・ブル」を負かしたという事実。これまでのアカデミー賞の歴史のなかで、もっとも理解に苦しむ選考
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
【恋におちたシェイクスピア】と【プライベート・ライアン】の時くらい選考が理解不能で有名な年。
【普通の人々】は嫌いではありませんが、やはり【レイジング・ブル】の方が優れた映画であることは判然としてます。
「炎のランナー」(81)……これが「レッズ」や「レイダース 失われたアーク《聖櫃》」より優れた映画だって?
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
【レイダース/失われたアーク《聖櫃》】はおもろないです。私寝る系。
ロシア革命を追ったアメリカ人ジャーナリスト、ジョン・リード(ウォーレン・ベイティ)の伝記映画である【レッズ】は、テーマが重すぎる上に長すぎて(194分)おもろない。
結果、【黄昏】がやっぱり受賞すべきだったなと。
「ガンジー」(82)……ベン・キングズレーは素晴らしい。でも、同年の「E.T.」や「トッツィー」のほうが良いと思わない?
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
【トッツィー】て!
「愛と哀しみの果て」(85)……「蜘蛛女のキス」、 「女と男の名誉」といった凡庸なライバルに救われた
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
ぐわ~っ!愛しのジャック・ニコルソン主演【女と男の名誉】、凡庸って言われてるう~!
凡庸って~!
参考 凡庸=すぐれた点がなく、平凡なこと。また、そういう人。凡人。
ぐわ~っ!がぶっ!もぐもぐもぐ…。
こんな評価は見なかったことにしてしまおう。
「ラスト・エンペラー」(87)……フラッシュバックが多いとはいえ、映像的には魅了してくれる。しかし、主人公が退屈きわまりない
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
まさしく。そーゆーこと。映像美とスケール感に騙されるな。
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(90)……「グッドフェローズ」が、この長ったらしくて説教臭いケビン・コスナーのエゴ丸出し映画に負けたとは
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
笑いました。
ケビン・コスナーひでえ言われようですやん…同感。
マーティン・スコセッシ監督の【グッドフェローズ】も長いけど、断然面白いですもんね。
「フォレスト・ガンプ」(94)……ひどい映画というわけじゃない。でも、「パルプ・フィクション」を負かしたことが許せない
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
これも笑える。
めっちゃ主観出てますやん。
すんごいクエンティン・タランティーノファンなんでしょうねこの人。
でも多分、【パルプ・フィクション】はアカデミー賞獲らへんよ?
「イングリッシュ・ペイシェント」(96)……正直に答えてほしい。もう一度見るとしたら、この映画とコーエン兄弟の「ファーゴ」とどっちを選ぶ?
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
答えに困る質問をしてきよる人もいます。
100%【ファーゴ】を観ますけど、論点が違うというか、既出の【パルプ・フィクション】と同じで、「面白いけどオスカーは獲ってほしくない」というか…。
【ファーゴ】も【パルプ・フィクション】も、双方偉大な映画すぎて、なんやったらアカデミー賞の方が陳腐。
アカデミー賞なんか【イングリッシュ・ペイシェント】にくれちゃいなよ。
「恋におちたシェイクスピア」(98)……「プライベート・ライアン」よりもいい映画だって? 50年後も語り継がれているのは、どっちの映画だと思う?
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
まあ…全世界の人が一人残らず同じように感じてることでしょうね。
「アメリカン・ビューティー」(99)……1999年のトップ10を選ぶなら、「マルコヴィッチの穴」 「インサイダー」 「マトリックス」 「シックス・センス」 「マグノリア」 「スリー・キングス」 「ボーイズ・ドント・クライ」 「女子高生ギャルに気をつけろ!」 「ファイト・クラブ」。サム・メンデス監督のこの映画はトップ10にも入らない。
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
いくらなんでもこれ酷くないですか?
わざわざサム・メンデス監督も名指しだし…個人的な恨みでもあんのかな。
【マルコヴィッチの穴】とか獲るわけないやん!めっちゃおもろいけども!
「クラッシュ」(05)……「ブロークバック・マウンテン」が取るべきだった
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
同意見ではありますが、「人種を超えた感動的な群像劇」と「ゲイを扱った純愛物語」だったら、まだまだ前者が受賞する時代・風潮だったんでしょうね。
第89回アカデミー賞で同じくゲイの恋愛を描いた【ムーンライト】が最優秀作品賞を獲得した今であれば、十分受賞もありえます。
「英国王のスピーチ」(10)……良く出来た時代劇だが、過去50年のあいだいつ公開されても良かった映画。現代を反映した「ソーシャル・ネットワーク」が取るべきだった
出典:エンターテインメント・ウィークリー誌が選んだ過大評価作品と、その選考理由
そんなこと言われたら元も子もないんやけどね…歴史映画全否定とも取れる極論。「じゃあ歴史ものはいつ公開したらええねん」って言う…。
いやあ~、私を筆頭にそれぞれ好きなこと言ってて面白いですねえ。
映画を観た時の受け取り方、感じ方は人それぞれ。
このランキングやレビューや評価が、あなたが今日観る映画の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。



