1952年/アメリカ/監督:フレッド・ジンネマン/出演:ゲイリー・クーパー、グレース・ケリー、トーマス・ミッチェル、ケティ・フラド、ロイド・ブリッジス/第25回アカデミー主演男優・ドラマコメディ音楽・歌曲・編集賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

【スーパーマン】とか【スパイダーマン】とか【バットマン】とか、あ、バットマンは生身の人間か、えっと、【ハルク】とかさ、
何かしら不死身的な身体能力を持っているならともかく、刺されれば血が流れ、撃たれれば命を奪われる、私と同じ生身の人間が巨悪に立ち向かうのって怖くないの?っていっつも思ってましたよ。
戦争でもないのに自分の正義や大切な誰かの為に命を賭けて戦う…そして勝つ。現実には有り得ないからこそかっこよくて憧れた西部劇のヒーロー達。
【許されざる者】のマニー(クリント・イーストウッド)はたった一人で並み居る敵をなぎ倒し、【シェーン】のシェーン(アラン・ラッド)は農村を救い孤独を恐れず去って行く。

ええ~…
みんなすごいすごーい!
かっこいい~!
しかし!
この【真昼の決闘】でのケーン(ゲイリー・クーパー)は なんと!
自分がかつて逮捕した殺し屋が復讐にやってくると聞いてビビりまくり!
すぐ逃げろと言われて無事逃げおおせたというのにまた戻ってきたかと思ったら町中みんなに「助けてくれよ~」と協力を要請し、断られたらまた「逃げよっかな…どしよっかな…」と逡巡し…。

いやいや。
絶対こんなヒーローもおるでしょうよ。
チビるくらい怖くて当たり前。逃げ出したくて当たり前。かといって非協力的な町民の反応だって分からなくもないです。
登場人物みんなが人間臭くて大好きな映画。
それでもケーンはヒーローです。
クリント・イーストウッドは出てない映画【真昼の決闘】のあらすじザックリ
後にモナコ公妃となるグレース・ケリーの美しさよ

町では美しきエイミー(グレース・ケリー)の結婚式が執り行われています。
まあ~この美しさったらないよね。もう人形。フランス人形ってグレース・ケリーをモデルに作ったんちゃうん?
またこの衣裳がね、【真昼の決闘】でのグレース・ケリーは全幕ウエディングドレス姿なんですけど、もうヤバいんですわ。神々しい。女神。本当に美しい人には画像の加工も修正も不要。

上の画像でこの美しいエイミーの隣に立ってるのがオトンのケーン(ゲイリー・クーパー)。
さてと。
花婿は?どこどこ?



て
お前が旦那か~い!
正直無理がある。
いくら相手がゲイリー・クーパーでもこのキャスティングだけは無理がある。完全にオトンにしか見えん。
釈放された悪漢に狙われるケーン
結婚式のさなか、5年前にケーンが逮捕した悪漢が釈放され、仲間達と4人でケーンに復讐を企てているらしいという知らせが舞い込みます。いずれにせよ今日を最後に保安官の職を退き町を出る予定だったケーンは、エイミーにも危険が及ぶかも知れないため、逃げるように町を出て行きます。
しかし逃げても追って来られるであろうと考え直し、チンピラ共に立ち向かう決意をしてすぐに町へ折り返すのでした。
まずケーンを見放したのは新妻エイミー。女性はあえて危険に立ち向かおうとする男のフロンティア・スピリットは全然理解できへんからね。
続いて部下も、友も、馴染みの酒場や教会で声を掛けても、誰も一緒に戦ってくれる者はいません。

ジリジリと灼け付く太陽の下、一人じゃりじゃりと足音を立てながら協力者を求めて町を彷徨うケーンの姿は「西部劇のヒーロー」と呼ぶには余りに惨め。
教会では、「今までケーンがどれだけこの町に尽くしてくれたか忘れたのか!」「ケーンが町を平和にしてくれるまで女子供は外も歩けなかったのに!」と擁護する声もありましたが、満場一致の結論はこう。

くっそ~!
でも流れ弾に当たりたくない町の人達の気持ちも分かる。
協力を拒まれ、すごすごと教会を後にするケーン。
傍らでは子供達が元気に外で遊んでいます。見守る大人達なんていません。子供達だけで無邪気に遊んでる。
こんな平和もケーンなしでは有り得なかったであろうに。
軟弱な男性と強い女性の対比が印象的
ケーンは死闘の末に4人の悪漢を倒します。
ケーンを守るため4人の悪漢の内1人を殺してくれたエイミーだけを抱きしめ、事態が収束してからのろのろと家から這い出して来る町民達に一瞥くれて、何も語らずそのまま町を出るケーン。

【真昼の決闘】に出てくる男性達は、ケーンを始め一般的なヒーロー像とはかけ離れたかっこ悪さを持って逆に観客を魅了している訳ですけど、女性の権利云々が叫ばれることが多くなった現代に改めて観てみると、女性が輝いてる映画でもあることに気づきました。
エイミー然り、ケーンの元恋人の酒場の店主ヘレン(ケティ・フラド)も、危険を察して町から逃げはするものの、その逃げる際の手際の良さや逃げる根拠も明確で、情けない男どもには一切口を挟ませません。
下手したら主演のゲイリー・クーパーより存在感を発揮している二人の女性にもご注目ください。
映画【真昼の決闘】の感想一言
「ビビるヒーロー」をここまでかっこよく描けるなんて、フレッド・ジンネマン監督の手腕とゲイリー・クーパーの魅力ありきですねえ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。