1953年/アメリカ/監督:フレッド・ジンネマン/出演:バート・ランカスター、モンゴメリー・クリフト、デボラ・カー、フランク・シナトラ、ドナ・リード、アーネスト・ボーグナイン、ジャック・ウォーデン/第26回アカデミー作品・監督・助演男優・助演女優・脚本・撮影・録音・編集賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
日本軍に真珠湾を攻撃される少し前のハワイ米軍基地が舞台の群像劇。原作はジェームズ・ジョーンズの同名小説。
タイトルはイギリスの詩人ラドヤード・キップリングの「兵営詩集」にある「Gentleman ranker」と云う詩の一文「Gentlemen-rankers out on the spree,Damned from here to Eternity,God ha’ mercy on such as we,」から来ています。
戦争がメインではなく基地内での兵士たちの生活や愛憎にスポットを当てた映画、【地上より永遠に】です。
タイトルは「ここよりとわに」と読みます。
映画【地上より永遠に】のあらすじザックリ
強情で妥協を知らない幼稚な性格:プルーイット
【地上より永遠に】は典型的な群像劇ですから、スコフィールド基地で暮らす3人の兵士たちに代わる代わるスポットを当てながら物語は進行します。
まず最初に出てくるのはこちらのオットコ前、プルーイット(モンゴメリー・クリフト)。
めちゃくちゃ頑固。
もうやめとけやって呆れるレベル。
ポール・ニューマン主演の【暴力脱獄】でも同じことが言えるんですけど、こういう自分の信念貫く男って女からすると要領悪いだけにしか見えません。
1967年/アメリカ/監督:スチュアート・ローゼンバーグ/出演:ポール・ニューマン、ジョージ・ケネディ、モーガン・ウッドワード、ストローザー・マーティン、デニス・ホッパー、クリフトン・ジェームズ/第40回アカデミー助演男優賞受賞[…]
じゃあ例えばよ?現代社会で会社に盾突いたり上司の命令に背いたりし続けてみなさいよ。日本ではとりあえずクビはないにしろ、出世の道は完全に閉ざされてしまうんですよ?昇給もなく一生初任給に近い薄給で家族養って行けると思ってんの?一家離散も目に見えてるで?
しかもこのプルーイットときたら要領悪いだけじゃ飽き足らず、懐 も狭いときたもんだ。
休暇に街のクラブへ出掛けてロリーン(ドナ・リード)という女性と知り合ったプルーイットは、ロリーンの営業トークをすべて真に受けて「誰でも彼でも愛想振りまきやがって!俺だけや言うたんは嘘やったんか!」と詰め寄る。おお~い。
ロリーンにはそんなプルーイットが逆に可愛く映ったようで、「変な人…」と笑いながらも愛してくれるようになったからまあ良かったようなもんの…。
ところが2人が愛し合うようになった後もプルーイットは、クラブが超混んでる日に突然やってきて店の外で話がしたいとロリーンに迫ったりします。
無理やわそんなん、忙しいんやって!
仕事中やの!!
この店の状況見て分からへんの?!
なんやと?!
せっかくわざわざ会いに来たったのに!!
こんなややこしい男絶対嫌。
人格者然と振舞ってるけど上司の妻と不倫中:ウォーデン曹長
もう一人の主人公はプルーイットの上官にあたるウォーデン曹長(バート・ランカスター)。
緻密で有能かつ公平、部下のことにも気を配れる精鋭で、若い女と遊ぶことしか考えてないアホのホームズ中隊長(フィリップ・オーバー)の代わりとして軍の書類に日々めくら判を押しています。
遊びに興じる上官や理不尽なシゴキをする兵士らと比較して、一見人格者のように捉えられがちですが、ホームズ中隊長の妻カレン(デボラ・カー)と絶賛不倫中。
この記事のタイトル画像にもなっている有名な「波打ち際のキス」を交わしている男女は、このウォーデン曹長とカレンです。
プルーイットとは少し違うけど、ウォーデン曹長はウォーデン曹長で女性から見るとイラつくタイプ。
「愛してる」「君だけだ」なんて甘い言葉をささやきながらもカレンを奪うための具体的な策を講じることもなく、いつまでもコソコソと秘密の逢瀬を重ね続ける。そしていざカレンが「あなたが将校になって私を本土に連れて帰ってくれれば一緒になれるわ」と提案しても、「…オレ将校になるのは気が進まへんねん」と二の足を踏む。
結局ホームズ中隊長からカレンを奪い取る手立てもなく、「仕方ないわね、さようなら」と言って去っていくカレンを引き留めることすらしません。
カレンは自分の不幸な境遇を洗いざらい話してしまうほどにウォーデン曹長を愛して信じて待っていたのに、その扱いはなんなのよ。
こんな決断力のない男も絶対嫌。
享楽に溺れたら前後の見境がなくなるタイプ:マジオ
【地上より永遠に】の演技で第26回アカデミー助演男優賞を獲得したフランク・シナトラが演じるのはプルーイットの親友マジオ。
マジオってお調子者で要領が良いから、どんな状況でも一番最後まで生き残るタイプやなあ~。
いやいや、お調子者で要領がいいのは表面の薄皮一枚の部分だけだったみたいで、マジオは意外にも自分や自分の家族をコケにされると火がついて消えないタイプの頑固な男でした。
「最後まで生き残る」という私の予想を大きく裏切って、最初に死にます。
ちょっとちょっとだからみんなさあ…死ぬまで信念貫かんでも…。
あかんのか、【地上より永遠に】を観てこれを言うてしもたら。
ちなみにマジオの闘志に火をつけたファツォー・ジャドソンを演じているのはアーネスト・ボーグナイン。好き。
映画【地上より永遠に】の感想一言
【地上より永遠に】ではなんと、主要俳優5人(モンゴメリー・クリフト、バート・ランカスター、フランク・シナトラ、デボラ・カー、ドナ・リード)全員が第26回アカデミー賞の演技部門にノミネートされています(その内フランク・シナトラが助演男優賞を、ドナ・リードが助演女優賞を獲得)。
監督のフレッド・ジンネマンはこれ以降、「フレッド・ジンネマンの作品に出るのがオスカーへの近道」とまで言われるようになったそうですよ。
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