1999年/アメリカ/監督:ティム・バートン/出演:ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ、マイケル・ガンボン、クリストファー・ウォーケン、ミランダ・リチャードソン、キャスパー・ヴァン・ディーン、リサ・マリー、ジェフリー・ジョーンズ、クリストファー・リー、マーティン・ランドー/第72回アカデミー美術賞受賞
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一応私の苦手なホラー映画に分類されるんですけどね~。
映像に奥行きと深みがあって絵画的で、美しさの余り目の前にある恐怖を恐怖と捉えることができなくて、怖がりの私でも全然怖くないんですよね~。
まあ「死人の木」から生首がごろんごろんと出てきた時にはひっくり返りましたけど。
1999年のティム・バートン監督によるオカルト映画、【スリーピー・ホロウ】です。
映画【スリーピー・ホロウ】のあらすじザックリ
映画【スリーピー・ホロウ】相関図 ※ネタバレ注意
これ系のミステリーは登場人物の関係性がややこしいんで、サクッと相関図作ってみました。クリックで拡大します。
改めて観直すとホントにようけ(たくさん)死んでますわ。
事件に関係した人みんな、文字通り「皆殺し」。
スリーピー・ホロウ村で起こった「首なし騎士」による連続殺人事件
時は1799年。
ニューヨークからハドソン川沿いに北へ2日馬車を走らせた丘に、「スリーピー・ホロウ」という村があります。その村でこの2週間に3人が殺されるという連続殺人事件が発生。
ニューヨークから事件の捜査にやって来たのは市警のイカボッド・クレーン刑事(ジョニー・デップ)。
当時まだ一般的でなかった科学捜査を得意とするアバンギャルドな捜査官です(実験道具とかは手作り)。
この頃(90年代~00年代前半)のジョニー・デップはホントにヤバかった。
こんなにカッコよくてセクシーなのにイロモノ含めた様々な役柄に貪欲な人ってあんまりいなかったんじゃない?
演技力はひとまず置いといて。
2003年の【パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち】辺りから少しずつ方向性変わってきちゃったけどねえ。あとよく言われることだけど、やっぱりアンバー・ハードと結婚して雰囲気変わった気はする。ファンの勝手な希望としては、バネッサ・パラディとずっと一緒にいて欲しかった(余計なお世話)。
ちなみにイカボッドに捜査を命じたニューヨーク市長は、ティム・バートンが愛して止まない事で有名な怪奇映画スター、クリストファー・リー。撮影時(1999年頃)に同じく怪奇映画スターのヴィンセント・プライスが生きていれば絶対彼も起用したかったはず。
参考 ティム・バートンはヴィンセント・プライスの熱狂的ファンで知られる。
莫大な遺産だけが目的かと思いきや
小さな村で絶対的権力を持つヴァン・ギャレット家の当主と息子、さらにその息子と秘密裡に結婚していた村の未亡人と彼女のお腹の胎児が殺されることから始まる物語。
閉鎖的なスリーピー・ホロウ村の住人たちは、捜査のためにやってきたとは言えよそ者であるイカボッドになんとなくよそよそしい感じ。
特に村の有力者たちの怪しさは100%。
だってせっかく都会から捜査にきている刑事に向って、「犯人は分かっている。20年前に殺された『首なし騎士(クリストファー・ウォーケン)』の亡霊だ」なんて言い出すんですから。捜査に協力する気ゼロ。何か隠してるとしか思えない。
探偵ものやミステリーものなど、謎解き系創作物の伏線を作者の狙った通りにしか読み取ることができない(要するに騙されやすい)私は、ここで「絶対こいつら全員グルで、みんなでヴァン・ギャレット家の遺産を山分けしたんや」って思いましたね。普通にね。
蓋を開けてみれば全員が事件の全容を理解していながら、割と下らない理由で黒幕のヴァン・タッセル夫人(ミランダ・リチャードソン)に操られてたってオチだったね。下女との情事をバラすぞ、とか、大酒飲みであることをバラすぞ、とか。
スティーンウィック牧師(ジェフリー・ジョーンズ)なんて最悪、ただ不倫相手のヴァン・タッセル夫人の色香に負けて言いなりになってただけ。「なんでもします!ヤらせてください!」的な?クスっ。
これらを含め、クライマックスでヴァン・タッセル夫人が義理の娘カトリーナ(クリスティーナ・リッチ)に語る形で回収されていく緻密で丁寧な伏線の張り方はお見事。
まさかバルタス・ヴァン・タッセル(マイケル・ガンボン)らの20年前の回想の中にまで伏線が張られていると思いませんでした。
自分あの時の姉妹やったんや!
…あっ!
ほんならあの西の森の魔女が姉妹の片割れか!
とか言ってね。
ここまで来たら鈍い私にもすぐに伏線が分かるようになってるんで、ここで一気にタネ明かししてくれるのがすんごい快感でしたよ。
「死人の木」からしゅるんと出てくる「首なし騎士」
そして【スリーピー・ホロウ】といえばやっぱり映像美が半端なかった。
冒頭からすでに暗く陰惨でモヤがかかったようなティム・バートンらしい雰囲気は出ていますけど、謎を追い辿り着いた「死人の木」から首なし騎士がにょるっ!と出てきた時は、恐怖というより感動を覚えたもんです。
聖職者の父親に魔女だと疑われ、「鉄の処女」と呼ばれる拷問器具で母親を処刑された過去を持つイカボッドは、オカルトや神や非科学的な事象を信じません。ここまでずっと「『首なし騎士』の亡霊なんてありえない。犯人は生きた人間だ」と豪語してきました。
村の有力者バルタスの一人娘カトリーナの彼氏ブロム(キャスパー・ヴァン・ディーン)たちが首なし騎士に化けてイカボッドを脅かしたこともあったし、視聴者にも散々「亡霊がやったと思わせた生者の殺人なんでしょ?」と信じ込ませ、舞台を整えた上での「首なし騎士にょるっ!」。
この一瞬にイカボッドが事件捜査の方向性を変えざるを得なくなる理由が凝縮されています。
お陰で一時のこととはいえ愛するカトリーナを疑ってしまうような事態にも陥ってしまう訳ですね。
映画【スリーピー・ホロウ】の感想一言
一瞬だけ映り込むんですけど、首なし騎士って切り落とした生首を、そっと巾着に入れて持ち帰るんですよね。
「キュッ」って袋の口を縛ってね。
バッサバッサと人間の首を切り落とした後、巾着を「キュッ」って縛るのがかわいいんですよ。
探してみてね。
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