1963年/アメリカ/監督:ラルフ・ネルソン/出演:シドニー・ポワチエ、リリア・スカラ、リサ・マン、アイサ・クリノ、フランチェスカ・ジャービス、パメラ・ブランチ、スタンリー・アダムス/第36回アカデミー主演男優賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

【夜の大捜査線】のシドニー・ポワチエが黒人男性で初めてアカデミー主演男優賞を獲得した映画。
参考 黒人女性ではハティ・マクダニエルが1939年に【風と共に去りぬ】でスカーレット・オハラのメイド役として第12回アカデミー助演女優賞を受賞している。
流浪の黒人青年が修道女たちと教会を建てるお話であるためかなり宗教色は濃いけど心温まる感動作、【野のユリ】です。
え?
“ユリ”?
一本も出て来ないよ?
映画【野のユリ】のあらすじザックリ
砂漠を気ままに放浪していた黒人青年のホーマー・スミスは、車の故障のため東ドイツからの亡命者である5人の修道女が住む一軒家に立ち寄った。マリア院長はホーマーを「神が遣わした者」と信じ込み、教会を建てるのを手伝うように頼む。ホーマーは次第に彼女たちのペースに巻き込まれ、嫌々ながらも彼女たちに協力するようになっていく。
きままな流れ者と厳格な修道女たちの物語
砂漠を旅する黒人青年のホーマー・スミス(シドニー・ポワチエ)は、車が故障したため砂漠の中にある質素な修道院に立ち寄ります。

そこには東ドイツから亡命してきたという5人の修道女たちが自給自足で暮らしていて、修道院長のマザー・マリア(リリア・スカラ)は屈強そうなホーマーを「神が遣わした者」と信じ込み、彼に教会を建ててほしいと言うんですね。この砂漠の荒れ地に。
当然断るホーマーでしたが、マザー・マリアはホーマーが来たことを「神がこの地に教会を建てるよう望んでいる」と信じて疑いません。神の意志を疑わないからお願いのしかたもおかしい。「あなたに教会を建ててほしい」じゃないんですよ。「あなたは教会を建てるのです」って言っちゃいますからマザー・マリアは。お前が決めんな。いや違うねん、と。これは神が決めたんです、と。

ホンマかいな!
そんなこんなで、マザー・マリアの強い信念に巻き込まれたホーマーが半強制的に教会建設を手伝うハメになるお話です。

それにしても、「教会を建てる」ってひと口に言ってもですよ。
修道院のある場所には本当に何も無い。
工具も材料も(食料も)不足するなか、「神が遣わせた」ホーマーに何もかも任せてひたすら祈るマザー・マリア以下修道女たち。
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寄付がありますように寄付がありますように寄付がありますように寄付がありますように寄付がありますように……………
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自分ら祈るばっかりかい!
それでも町の人々や建築会社の協力を得て少しずつ教会の壁は積み上がってゆきます。

派手な事件に頼らず、宗教的信念の有無を超えた人と人との繋がりが描き出されていて、鑑賞後には静かな感動と余韻で胸が満たされます。
黒人初のアカデミー主演男優賞を獲得したシドニー・ポワチエ
【野のユリ】の魅力の大部分はシドニー・ポワチエ演じる主人公ホーマー・スミスの存在感にあると言っても過言ではないでしょう。私がシドニー・ポワチエを好きだからってだけではないはず。

ホーマーは生きるのに必要な一切合切を車に積んで、きままに旅する流れ者。でも「自分の好きなように生きる」スタイルを貫くにしては少々お人好しすぎるのかも。まあいいか、人に親切にして見返りがなくたって気にしてなさそう。不真面目じゃないけどどこか飄々としていてユーモアも忘れない。
こんな友達欲しいわ。

柔軟なホーマーに対してマザー・マリア率いる修道女たちの厳格なことですよ。
普通に生きていたら一生交わることのなさそうな彼らの交流が【野のユリ】の根底に流れる“温かさ”の
タイトル【野のユリ】の意味は?
「なんでユリが出て来ないのにタイトル【野のユリ】なの?」って思ったあなたのために、タイトルの意味についてご説明しましょう。
「野のユリ」という言葉は、映画本編のホーマーとマザー・マリアの会話の中に、新約聖書を引用するかたちで出てきます。

修道院の屋根修理や鶏小屋修理に対する賃金を要求するホーマーに対して、マザー・マリアは「新約聖書『マタイによる福音書』第6章28・29節を読みなさい」と促します。その内容は以下の通り。
なぜ着る物のことで心配するのですか。野の花(=野のユリ)がどうして育つのか、よく考えなさい。働きもせず、紡ぎもしません。
しかし、わたしはあなたがたに言います。栄華を窮めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも装っていませんでした。
出典:日本キリスト改革派 岡山西協会
訳し方は色々あるみたいですけど、要するに「神は働きも紡ぎもしない野のユリでさえ装ってくれるんやから、増してや人間のことなんて忘れるわけあらへん。心配しなさんな」ってことらしいよ。
(マザー・マリアじゃなくて)神がちゃんとしてくれるってことですね。
映画【野のユリ】の感想一言


むやみに感情を煽ることの無いように全編を通して音楽は控えめですが、ホーマーと修道女たちが共に歌うゴスペル曲“Amen”は最高!
ポワチエがあんなに歌えるとは、【野のユリ】を観るまで全然知りませんでした!
ゴスペルって一度聞いたらリズムが脳裏に焼き付いちゃう曲が多いよね。
エ~イ~メン!エ~イ~メン!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。
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