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【夜の大捜査線】映画レビュー:主演男優賞ポワチエちゃうの?!

ポリス
20秒で読める概要とあらすじ

1967年/アメリカ/監督:ノーマン・ジュイソン/出演:シドニー・ポワチエ、ロッド・スタイガー、ウォーレン・オーツ、リー・グラント/第40回アカデミー賞作品・主演男優・脚色・音響・編集賞受賞

夜も明けきらぬアメリカ南部の小さな町。パトロール中の警官が、殺害され道路に転がる遺体を発見。警官は始発前の駅のベンチに独り座っている黒人を見つけ容疑者として連行するが、黒人はフィラデルフィア警察殺人課のバージル・ティッブス刑事だった。バージルは不本意ながら殺人事件に慣れない田舎の警察と共に捜査を始める。

※このブログは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

言い争うバージルと署長

©In the Heat of the Night/夜の大捜査線より引用

オットコ前の黒人俳優といえばデンゼル・ワシントンだと思ってる人にぜひ観ていただきたい作品。

何を隠そうそれは私。

本作を観るまでシドニー・ポワチエについて名前しか存じ上げませんでした。観てみてびっくり、なんだこりゃ、先駆的黒人俳優の演技力と存在感は伊達じゃなかった。そりゃね、満場一致でアカデミー賞主演男優賞獲るよホント、うんうん。

第40回アカデミー賞主演男優賞(ロッド・スタイガー)受賞
朱縫shuhou
ってうそ~ん!!

ポワチエちゃうんか~い!!

…田舎警察のカタブツ署長役のロッド・スタイガーも素晴らしいけどさあ…クレジットも1番に来てるし「主演男優」ってシドニー・ポワチエちゃうのん?

シドニー・ポワチエは本作の数年前に【野のユリ】で黒人初の主演男優賞を獲得している実績があるので、「黒人だから」って理由でもないみたいなのに、どうしてなんですか?アカデミー会員さん???

冒頭の列車のシーン

©In the Heat of the Night/夜の大捜査線より引用

列車の乗り継ぎで降り立っただけの小さな田舎町で、ガンッガンに差別を受けながらも深夜に起こった殺人事件の解明に乗り出す勇気ある敏腕刑事を描いたサスペンス映画、【夜の大捜査線】です。

 

 

田舎町で起こった殺人事件

パトロール中のおちょけた警察官サム(ウォーレン・オーツ)が道路に転がる遺体を発見。遺体は町に工場を建設中の有力者のもので、頭部を殴られ殺害された模様。

警察署長のビル(ロッド・スタイガー)や医者が集まりすぐさま容疑者探しが始まります。

 

人っ子ひとり見当たらない明け方の町をぶらぶらと捜索するサムは、近くの駅のベンチに腰掛ける黒人男性を見つけます。

サム
こいつやあ~……(にやり)

この時のサムの顔。下品下品。なんか下品。

 

徐々に分かることですが、この町は人種差別が酷い。町にいる黒人といえば農園で働く奴隷くらい。この時も偶然遺体発見現場近くにいた男性が、「黒人である」という理由だけで有無を言わさず署長の前にしょっぴかれるほどです。

 

「ティッブスさんと呼べコノヤロー!」

この黒人男性バージル・ティッブス(シドニー・ポワチエ)は、実はなんとフィラデルフィア警察殺人課のやり手の刑事。それを聞いた時の田舎警察の連中の表情にはバージルならずともウッシッシって感じ。

 

それにしたってまあ【夜の大捜査線】における人種差別はこの誤認逮捕だけに止まらず、全編に渡ってチクチクチクチクしつこくうっとーしく描かれます。そんな不当な扱いには慣れてますとばかりにブチ切れることなく冷静にいなすバージルに感服。

でも内心はメラメラと闘争心がたぎっているのが見て取れます。その証拠にラストでにっこり笑顔を見せてくれるまで、バージルはほとんどこんな↓表情。語らずとも目の奥にたぎる自尊心と闘争心は隠せません。

バージル・ティッブス切れる前

©In the Heat of the Night/夜の大捜査線より引用

嫌味ったらしく「フィラデルフィアではなんて呼ばれてんねん」と聞かれたバージルが、殴りかかるでもなく喚き散らすでもなく低い声で静かに絞り出した

バージル
They call me Mister Tibbs!

(ミスター・ティッブスだ!)

と言うセリフは「AFIアメリカ映画の名セリフベスト100」の16位にランクインしています。

参考 AFI=アメリカン・フィルム・インスティチュート。1967年に設立されたアメリカ合衆国において「映画芸術の遺産を保護し前進させること」を目的とする機関。

 

 

命を賭けて犯人逮捕に尽力するバージル

最初の誤認逮捕の時点で相当頭にきているバージルは、一度は殺人事件に興味を持つものの署長達の横柄な態度に呆れ果て予定通り始発列車に乗って帰ろうとします。

証拠品を持つバージル

©In the Heat of the Night/夜の大捜査線より引用

しかし電話を通じてフィラデルフィア警察署長から協力するように言われたことと、被害者の妻が「黒人の刑事さんに捜査をしてもらいたい」と市長に願い出たことで、「しぶしぶ」捜査に加わります。「しぶしぶ」。←最初は。

 

「黒人」への対応が夏の虫みたいにうっとーしい

この映画において何がウザいかってもう、 バージルに対して公然と行われる人種差別がウザい!

警官達にこんなずさんな捜査ではダメだと忠告しても聞き入れられません。食堂では注文すらさせてもらえません。よそ者だし。黒人だし。観ているこっちが「お前らええ加減にせえよ」って腹立ってくるレベル。

綿花農園へ取り調べに赴く署長とバージル

©In the Heat of the Night/夜の大捜査線より引用

しかし容疑者の一人である綿花農園の経営者エンディコット(ラリー・ゲイツ)に聞き取り捜査を行った際、バージルの(黒人にしては)不躾な態度に腹を立てたエンディコットに頬を打たれたバージルは、間髪入れずにエンディコットを叩き返します。

ついに怒髪天を衝くばかりとなったバージルはすぐさま農園を後にし、「黒人が白人に歯向かう」という南部ではありえない大罪を犯した自分を怒鳴りつける署長もなんのその、今までは「しぶしぶ」だった事件解決に自ら意欲を燃やし出します。

署長
お前何してんねん!その場で銃殺されてもおかしなかったぞ!
バージル
エンディコットが犯人や!

絶対証拠をあげたるからな!

署長
お前…

そんな所も「俺たち」にそっくりやな!

??

 

「俺たち(白人)」にそっくり」…復讐心に燃えるところが?

頬を打たれて腹を立てるところがそっくりってこと?

 

逆説的に言うと…

「頬を打たれようが何をされようが腹も立てない(腹を立ててはいけない)のが黒人」てこと…?

 

映画のそこここにになんだかもう、同じ「人」とは思えない発言が散りばめられていてうっとーしいです。ホント。「うっとーしい」なんて語彙力ない感想しか書けなくて無念…。ホントうっとーしい。

 

 

バージルと署長の間に生まれた奇妙な友情

【夜の大捜査線】は、殺人事件自体は言うてしまえば 大したことない です。

すんごい暗示にかかりやすくて手品とかトリックとか全然見抜けない私でも、すぐに真犯人分かりましたし。

犯人への鍵を握る黒人女性

©In the Heat of the Night/夜の大捜査線より引用

「黒人の敏腕刑事」「差別ガンガンの田舎警察に協力する」という2つのファクターがそろって初めて名作となり得ます。その田舎警察の署長のぶっきらぼうさゆえの孤独もポイント。

事件が解決に近づくにつれ、独身で家族のない仕事人間の2人の間には奇妙な友情が生まれます。

 

ラストはあっけないです。

事件が解決したかと思うとあっという間にバージルが帰途につく場面に切り替わります。拘留されていた二人の容疑者も涙にくれていた被害者の奥さんもどうなったか分かりません。でも実に清々しい。

駅で別れるバージルと署長

©In the Heat of the Night/夜の大捜査線より引用

バージルを駅まで送った署長は、搭乗口までスーツケースを運んであげます。

黒人のスーツケースを!

 

「二度と会うこともなかろう」と微笑み合う2人の表情に、世界中の人種差別問題が解決したかのような幻想を見てしまうほどのラストシーン。ここが観たくて観るようなもんです。秀作。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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