【黄金】ハンフリー・ボガート

映画【黄金(1948)】あらすじと感想。ハンフリー・ボガート最高傑作

【黄金】ハンフリー・ボガート

1948年/アメリカ/監督:ジョン・ヒューストン/出演:ハンフリー・ボガート、ウォルター・ヒューストン、ティム・ホルト、ブルース・ベネット、バートン・マクレーン、ジョン・ヒューストン/第21回アカデミー監督・助演男優・脚色賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

山賊の襲撃に遭う3人
©The Treasure of the Sierra Madre/黄金より引用

アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)の「映画スターベスト100」の男性俳優部門で、堂々の1位に輝いたハンフリー・ボガート

本作はそんな彼の最高傑作だと私は思います。

 

かの有名な【カサブランカ】のリックより、アカデミー主演男優賞を獲得した【アフリカの女王】のチャーリーより、【黄金(1948)】でドブズを演じた時のハンフリー・ボガートの方が断然輝いている。

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黄金を目の前にした人間の心の変化をあさましく醜悪に描きつつも、最後には実に清々しく澄み渡った気分にしてくれる名画です。

ジョン・ヒューストンが監督(カメオ出演もしてる)、彼の父親ウォルター・ヒューストンが物語のキーマン的老人ハワードとして出演し、親子そろってオスカー獲ってます。

 

 

 

映画【黄金(1948)】のあらすじザックリ

山賊が人々を脅かしていた1920年代のメキシコ。ドブズ、ハワード、カーティンの3人が港町タンピコで出会い、一獲千金を夢見てシエラ・マドレ山脈の山中に金鉱を求めて旅立った。金鉱を見つけた3人は砂金を掘り出すが、黄金の魅力にとりつかれたドブズの理性は次第に失われてゆくのだった。

 

 

乞食のようにメキシコをさまようアメリカ人

金も仕事もなく、メキシコの港町タンピコをさまようきったないアメリカ人ドブズ(ハンフリー・ボガート)。

時は1925年。

メキシコ革命(1910年~1917年)から10年も経っておらず、未だに山賊やそれに対抗する軍隊なんかが横行してて、なんだか殺伐とした雰囲気が漂う舞台背景です。

 

「恵んでくだせえヒューストン様」

ふらふらと町を歩くドブズは、同じアメリカ人であるらしい白いスーツの紳士に擦りよります。

ジョン・ヒューストン
©The Treasure of the Sierra Madre/黄金より引用
ドブズ

旦那!

旦那!

同郷のよしみで小銭恵んでくだせえ~…。

ドブズが1日に3度も物乞いするこの紳士こそ、監督のジョン・ヒューストン。

ドブズは1度目に恵んでもらった金で酒とタバコとクジを買い、2度目に恵んでもらった金で散髪をし、3度目に恵んでもらった金で女を買おうとします。

 

最初にもらった金で飲食しているドブズにクジを押し売りする子供は【冷血(1967)】ロバート・ブレイクです。

【黄金】ロバート・ブレイク
©The Treasure of the Sierra Madre/黄金より引用

かわいい。それに演技も上手なんですよ。

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トルーマン・カポーティ原作映画【冷血】

 

ドブズが散髪をしている場面の音声解説では、25歳も年下の妻ローレン・バコールとの子供を作るためのホルモン注射によって、この頃ハンフリー・ボガートの頭髪はほとんどなかったことが暴露されています。

朱縫shuhou
ボギーハゲてたんや!

【黄金】のために長さの違うヅラを3つも作ったんだってさ。

アホみたいに若い嫁もらうからそんな苦労せなあかんなるねん、もお~…。

 

ちなみにドブズが白いスーツの紳士に金を恵んでもらうのも3度なら、ドブズが金帽子(アルフォンソ・ベドヤ)率いる山賊に出会ってしまうのも3度なんですけど、この「3」という数字は何かを暗示しているのでしょうか?(読み取れなかった)

 

「金が絡むと人間は変わるのさ」

ドブズと同じくホームレス状態だったカーティン(ティム・ホルト)、それに黄金を探す夢を持つ山師の老人ハワード(ウォルター・ヒューストン)に出会ったドブズは、3人で一攫千金を夢見て金鉱を目指しシエラ・マドレ山脈を登ります。

カーティンと仲良くなったドブズ
©The Treasure of the Sierra Madre/黄金より引用

どことなく仙人のように人智を超えた存在感を放つハワードは、出会った当初から若いドブズとカーティンに言ってきかせていました。

ハワード

何人かで金鉱を探している間はまだええ。

問題は黄金が見つかってからや。

金が絡むとどんな人間でも変わってしまうんや。

信用ならんと言った表情のハワード
©The Treasure of the Sierra Madre/黄金より引用

この段階ではまだ、ハワードに対して「何言ってるんやこのジジイ」と小馬鹿にした視線を送るだけのドブズとカーティン。

カーティンはともかく、このあと100%ハワードの言ったとおりに変貌していくドブズを絶対にお見逃しなく。

特に中盤から自分のことを「ドブズ様」とか言っちゃう辺りに彼の器の小ささが見て取れますから。

 

 

10ヶ月の苦労が徒労に終わる時

金鉱自体は意外とあっさり見つかります。

3人は10ヶ月の間掘って掘って掘りまくり、普通に生活してれば一生困らないであろう量の砂金を手に入れます。

砂金を掘り当てた3人
©The Treasure of the Sierra Madre/黄金より引用

ところがその砂金は、まあドブズのせいと言うか運命のいたずらと言うか、一瞬にして普通の砂に混じって消えてしまうんですよ。

事実を知って呆然とするカーティン。

 

この時代の貨幣価値がよく分からないので、じゃあ仮に「10億円」だとしましょうよ。

10ヶ月かけて稼いだ10億円が、空へと舞い上がって消えてしまったとしましょう。

 

あなたならどうしますか?

 

「拾い集める」とかはなし。

もう完全に「消えてる」と仮定して。

 

もとの職場に戻って同じように10ヶ月働いても、もう10億円も稼ぐことはできません(金鉱は枯れてる=仕事自体がない)。

 

めっちゃ泣く?

疲れるだけやで。

 

自殺する?

まあそれもええかも知らんけど。たったの10億円でホントに死ぬの?

 

正解は仙人ハワードが教えてくれます。

めっちゃ笑うハワードとカーティン
©The Treasure of the Sierra Madre/黄金より引用

笑う。

ハワード

神か自然が仕掛けた壮大な冗談やん!ユーモアあるでえ~!

それも腹がはち切れそうなくらいもうめっちゃ笑う。

 

やっぱり人間こうなったら笑うしかないんですね。

万国共通。

この大笑いのお陰でウォルター・ヒューストンはオスカー獲ったんちゃう?ってくらいこのシーンは最高です。

 

 

映画【黄金(1948)】の感想一言

朱縫shuhou

山賊が軍隊にじゃんじゃん処刑されたり、ドブズたちと同じように一攫千金を狙って山に登ってくる果樹園主のコーディ(ブルース・ベネット)を3人で殺してしまおうとしたり、基本的には殺伐とした内容であるのに、鑑賞後の清々しさだけは青春ドラマのそれに匹敵するというこのギャップが大好きです。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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