1955年/アメリカ/監督:チャールズ・ロートン/出演:ロバート・ミッチャム、リリアン・ギッシュ、シェリー・ウィンターズ、ビリー・チャピン、サリー・ジェーン・ブルース、ジェームス・グリーソン、イヴリン・ヴァーデン
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
【戦艦バウンティ号の叛乱】、【情婦】、【スパルタカス】などの名優チャールズ・ロートンの最初にして最後の監督作。
1935年/アメリカ/監督:フランク・ロイド/出演:クラーク・ゲーブル、チャールズ・ロートン、フランチョット・トーン/第8回アカデミー作品賞受賞注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視[…]
1957年/アメリカ/監督:ビリー・ワイルダー/出演:タイロン・パワー、マレーネ・ディートリヒ、チャールズ・ロートン、エルザ・ランチェスター、ジョン・ウィリアムス注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこ[…]
1960年/アメリカ/監督:スタンリー・キューブリック/出演:カーク・ダグラス、ローレンス・オリヴィエ、ジーン・シモンズ、チャールズ・ロートン、トニー・カーティス、ピーター・ユスティノフ、ジョン・ギャヴィン/第33回アカデミー助演男[…]
興業成績が悪かったんで公開当時こそ酷評されていましたが、その後見直されてメキメキと評価を上げ、現代ではフィルム・ノワールの代表的名画とされています。
アルフレッド・ヒッチコック監督の【サイコ(1960)】から遡ること5年。
1960年/アメリカ/監督:アルフレッド・ヒッチコック/出演:アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ヴェラ・マイルズ、ジョン・ギャヴィン、マーティン・バルサム、ジョン・マッキンタイア注※このサイトは映画のネタバレしようが[…]
すでにここにサイコな連続凶悪殺人鬼が生み出されていました。
【狩人の夜】です。
映画【狩人の夜】のあらすじザックリ
「HATE」と「LOVE」を背負う伝道師ロバート・ミッチャム
主演はその特徴的な目元から「スリーピング・アイ」(ほっといたれよ)の異名をとったロバート・ミッチャム。
彼の眠そうな目って実は慢性的な不眠症の影響なんですってね。ホンマに眠たかったんかいみたいな。それにしてもこのニヒリスティックな目元はこの役柄にしっくりハマる。
【狩人の夜】でロバート・ミッチャムが扮したのはニセ牧師の殺人鬼ハリー・パウエル。
いやあ~、今回も無事終わって良かったです。
これで6人…いや12人でしたかな?
しかしこれでは駆逐しても駆逐してもキリがありませんなあ。
違います、ハリーは神と対話しているのです。
ハリーの頭の中では神が穢れた未亡人を殺しその財産を奪うようにとおっしゃっているらしい。
え?
ええ、だからこの人は頭がイカれてるんですって。
こんな人に近寄っちゃダメですよ?いくら夫が強盗殺人の罪で縛り首になって幼い子供2人を女手ひとつで育てて行かなければならない環境にあったとしてもです。
特技は「HATE 」と彫られた左手と「LOVE 」と彫られた右手を使った説教。一見すると感じの良い牧師様にしか見えないハリーのこの寸劇に近い説教を、人々はみんなありがたがって聞き入るのです。
可哀想すぎるジョンとパール
ハリーの「HATE 」と「LOVE 」の寸劇を唯一冷めた目で見つめるのは年端も行かない子供のジョン(ビリー・チャピン)。
ジョンの父親(ピーター・グレイブス)は世界恐慌の煽りを受けて生活に困窮し、思い余って強盗殺人をやらかします。自宅に逃げ着いた父親はジョンの妹のパール(サリー・ジェーン・ブルース)が肌身離さず持っている人形の中に強奪した1万ドルを隠し、間もなく追ってきた警察官に連行されてしまいます。
父親はすぐに縛り首が確定しますが、この時雑居房で同室だったのが件 のハリー。
アホなことにこの父親ときたら、死刑執行前に盗んだ金の在り処のヒントをハリーに漏らしてしまうんですね。当然出所したハリーはジョン一家を狙いますわなあ。
可哀想なのは突然いわくつきの大金を押し付けられたジョンとパール。
父親から「オカンにも誰にも言いません」って誓わされたから大人に相談することもできないし、その金のせいでおかしなサイコに付け狙われる羽目になるし、この瞬間から急転直下に人生転がり落ちていくんですから。
ラストでかつての父親と同じように警察官に羽交い絞めにされるハリーを見て「お金なんかいらないよ!パパ~!!」と泣き出すジョンの姿がすべてを物語っているじゃないの。
謎の立ち位置のリリアン・ギッシュ
本来ならもっとも子供を守るべき立場にいるジョンとパールの母親(シェリー・ウィンタース)はハリーのオトコの色気にすっかりのぼせ上がってアテにならない。
彷徨う子供たちを救ってくれるのは冒頭の数秒とかなり終盤の数分に突然出てきて信じられない存在感を発揮する謎の老女クーパーさん。
何してる人なのかちょっとよく分からない人ではあるのですが。
都会へ出てったきり手紙もロクによこさない一人息子に失望して血の繋がりのない孤児を何人も自宅に住まわせて世話してる慈善事業家って感じかな。孤児院とか修道院ってワケでもなさそうだし、勝手に子供拾ってきて扶養家族増やしてるおばあちゃんです。
おばあちゃんのクセに「この人ならきっとハリーを倒してくれる」と言う期待値メーターが振り切ってる。
演じたのは“映画の父”と呼ばれたD・W・グリフィス監督のサイレント映画に欠かせない女優リリアン・ギッシュ。当然年齢を重ねてるからシワだけは増えてるけどそれでもこの若々しさは異常。
リリアン・ギッシュは1987年の【八月の鯨】でも(当時93歳!)元気で若々しい姿を見せています。
映画【狩人の夜】の感想一言
小舟で川を下ってハリーから逃げるジョンとパール。
途中陸に上がり誰もいない納屋で仮眠を取るも、明け方には追い付いてくるハリーの姿が不気味に芸術的すぎ。
公開当時はどうして大衆に受け入れられなかったんでしょうね?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。