ヒッチコック【恐喝(1929)】

映画【恐喝(1929)】あらすじと「ヒッチコックのゆすり」を観た感想

ヒッチコック【恐喝(1929)】

1929年/イギリス/監督:アルフレッド・ヒッチコック/出演:アニー・オンドラ、ジョン・ロングデン、サラ・オールグッド、チャールズ・ペイトン、キリル・リッチャード、ドナルド・カールロップ

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【恐喝(1929)】のヒッチコック
©Blackmail/恐喝より引用

ヒッチコックの名声を不動のものにし、映画人としてめざましいキャリアを築きあげるきっかけとなったのは、1929年に公開された本作品だ。当初はサイレント映画として製作されるはずが、撮影途中で予定変更となり、イギリス初のトーキー映画となった。この英断からもわかるように、ヒッチコックはキャリアの浅い時代からすでに大きな野心を抱いていたのだ。

出典:「死ぬまでに観たい映画1001本」

本日の映画は記念すべきイギリス初のトーキー、恐喝 ゆすり(1929)】です。

監督は“サスペンス映画の神様”アルフレッド・ヒッチコック

 

せっかくのトーキーであるというのに、主演のアニー・オンドラはチェコ語で話すため、彼女のセリフは全部吹き替え

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【サイコ】のシャワーシーン実演ヒッチコック

 

 

映画【恐喝(1929)】のあらすじザックリ

恋人同士のフランク刑事とアリスはささいなことから喫茶店で口論になる。フランクが怒って店を出て行ったあと、アリスはクルーと言う名の画家に会い、誘われるまま彼のアパートへ入る。すると紳士的だったクルーは豹変し、暴行されそうになったアリスは手元にあったパン切りナイフで彼を刺し殺してしまう。

 

 

憧れの画家に襲われたタバコ屋の娘アリス

健康的な色気をふりまくハツラツレディが警察署へやってきました。彼女の名はアリス(アニー・オンドラ)。

警察署へやって来たからと言っても何もアリスは犯罪を犯してしょっぴかれた訳ではありません。今夜のデートのため、ここで働く彼氏のフランク刑事(ジョン・ロングデン)に会いに来たのです。

ヒッチコック【恐喝(1929)】
©Blackmail/恐喝より引用

ところが多忙なフランク刑事に30分も待たされてアリスはすっかり不機嫌に。

言い合いになるほどでもなかったけれど、待たされたことが原因で今夜のアリスがヘソを曲げっぱなしだったことは明白。二人でレストランに入ったものの、どうにもギクシャクとして収まりません。

いつまでもふてくされたアリスの態度に腹を立てたフランクは、アリスを残してレストランを出て行ってしまいます。

 

さて、こうしてひとり残されたアリスに声をかけてきたのはどことなくキザな男。見るからにうさんくさいコイツは、一応ここいら辺では名の通った画家であるらしい。

ヒッチコック【恐喝(1929)】
©Blackmail/恐喝より引用

フランクとケンカして半ばやけっぱちのアリスは画家に促されるまま酒に酔った状態で彼のアトリエへ足を踏み入れ、まんまとベッドに押し倒されてしまうのでした。

 

正気を取り戻した時、アリスが手にしていたものは…

激しい揉み合いの末なんとかベッドから這い出すことができたアリス。

正気に戻った彼女は自分が強く握りしめていたものを目にして愕然とします。

 

彼女が手にしていたのは、サイドテーブルに置いてあったパン切りナイフ。

ヒッチコック【恐喝(1929)】
©Blackmail/恐喝より引用
アリス

やばい…!

殺してしもーた ・・・・・・・…!

夢中で抵抗するうちに、アリスはふと手に掴んだパン切りナイフで画家の男を刺し殺してしまっていたのでした。

 

フラフラと父母が待つ自宅に帰り、必死でなにごともなかったように振る舞おうとするアリスでしたが、まあ普通の人間には殺人を犯した翌朝に普段通り振る舞うなんて不可能ですよ。

しかも凶器はごく身近なパン切りナイフ。

もちろんアリスの家にだってありますよ。

朝食の席でおかんから「アリス、パンを切ってちょうだい」なんて言われた日にゃあ、パン切りナイフを手にしたまま「ナイフ」って単語で頭の中がいっぱいになりますわ。

 

一方ゆうべ起こった画家殺人事件の現場検証のため画家のアトリエを訪れていたフランクは、事件現場でアリスの手袋を見つけます。

あぶねえあぶねえ、一発で犯人確定しちゃうとこだったね。

フランクは証拠品として回収される前にアリスの手袋を懐に隠すというファインプレーを見せたあと、すぐにアリスの自宅を訪ねてゆうべ画家のアトリエで何があったのか問いただします。

 

 

タバコ屋を訪ねてきた不審な男トレーシー

さてここでタイトルの恐喝 ゆすり(1929)】

いったい誰がこの不幸なカップルをゆする ・・・のかというと、アリスの父親が経営する自宅併設のタバコ店にやってきたニヤけ顔の不審な男トレーシー(ドナルド・カールロップ)です。

ヒッチコック【恐喝(1929)】
©Blackmail/恐喝より引用

トレーシーはアリスやフランク、アリスの両親に恨みがあるわけでもなんでもない。

アトリエの大家さんいわく、トレーシーは昨晩アリスが訪れる少し前に画家を訪ねて来ていたらしいんで、画家とは何らかのつながりがあった可能性は高いにせよ、アリスたちとは一切無関係。

ただ悪いことに突如として現れたこの男は、ゆうべの殺人事件の犯人がアリスである事実を知ってしまっているらしい。

トレーシーはこれをネタにアリスとフランクをゆすりにかかってくるんです。

ヒッチコック【恐喝(1929)】
©Blackmail/恐喝より引用
トレーシー
とりあえずこの店で一番高いタバコ吸いたいなあ~。
トレーシー
とか言うてたらなんか腹減ってきたわ~。

トレーシーは「ゆうべの殺人事件の犯人はお前やろ?」と明言するわけじゃありません。

ただなんとな~く「…俺知ってんねんけどなあ~…」と嫌な感じで匂わせてくるだけ。

フランクが懐からそっと手袋を出してアリスとコソコソ話しをしている様子から「もしかして…」と思ってカマかけてみたら大当たりだったってことかも知れない。ゆうべの殺人事件に関しては町じゅうの誰もが知っていることだし。とにかくなぜか“知っている”。

「どうしてコイツが?」
「コイツがゆうべのことなんて知ってるわけない!」
「でも万が一本当に知っていたら…?」

トレーシーの言葉を疑いつつもどんどんエスカレートしていく彼の要求を飲まざるを得ない状況に追い込まれて行くアリスとフランクを巧妙に描いた秀作です。

 

 

映画【恐喝(1929)】の感想一言

朱縫shuhou

約100年も昔の映画だというのにさすがアルフレッド・ヒッチコック。小道具の使い方もクライマックスの見せ場も登場人物の心理描写もほぼ完成されています。

それにしてもヒッチコックって、監督デビューして間もないこの頃からすでにブロンドの女性を起用していたんですね。

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