1925年/アメリカ/監督:バスター・キートン/出演:バスター・キートン、T・ロイ・バーンズ、スニッツ・エドワーズ、ルース・ドワイヤー
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
私が持ってるDVDには、特典映像として淀川長治の解説が収録されています。
クラシック映画には「淀川長治オリジナル解説映像付き」のメディアが結構あって、これが面白くてためになるんで重宝するんですけど、やっぱり淀川長治という人は独特の世界観を持つ教養あるおじいちゃんなんで、ちょっと何言ってるかよく分かんない時もあります。
このDVDに収録されてる解説で淀川長治は、“世界三大喜劇王”と呼ばれる3人をこんな風に形容しています。
“世界三大喜劇王”のチャールズ・チャップリンとハロルド・ロイドの笑いはアメリカ的なんですね。
ところがね、バスター・キートンはですね、どこかフランス的なんですね。
……。
分からない。
その例え高尚過ぎて分からない。
バスター・キートン監督・主演による「どこかフランス的」な映画、【キートンのセブン・チャンス】です。
映画【キートンのセブン・チャンス】のあらすじザックリ
27歳の誕生日の午後7時までに結婚すれば700万ドル!
ジミー(バスター・キートン)は恋人のメアリーにプロポーズすることもできない内気な青年。証券会社の共同経営者であるといっても詐欺に引っ掛かって金策に追われる日々を送っていました。
ところがある日、ジミーのもとに弁護士がやってきて、「孫のジミーが27歳の誕生日の午後7時までに結婚すれば700万ドルを譲る」と書かれた祖父の遺言状を読み上げます。
マジで!700万ドル!
27歳の誕生日までに結婚か…
よっしゃよっしゃ…て
誕生日今日やし!
ジミーは急いでメアリーの家に走り、ついにプロポーズに成功しますが、うっかり「“誰かと”結婚しなければならなかった」と口をすべらせてしまい、「誰でも良かった」と勘違いしたメアリーはヘソを曲げてしまいます。
傷心のジミーは手当たり次第に道行く女性にプロポーズしてまわりますが、そう簡単に「今日結婚」なんて受け入れてもらえるはずもありません。
焦った共同経営者の友人は、新聞に大々的に「花嫁募集!」の広告を出します。
ベールをまといブーケを持った花嫁軍団に追い回されるジミー
新聞を見た金目当ての女性たちは教会に集合。
ジミーを確認するやわれ先にと襲い掛かってきます。
「ああ~ただ花嫁軍団に追い回されるだけか」って思わないでください。
想像を絶する人数の花嫁が出てきますんで。ホントに絶する。「もう終わりやろ」と思ってもまだまだ長蛇の列は途切れない。
こんなんジミーじゃなくても絶対逃げるわ。
途中から何から逃げてるのかよく分からなくなってくる
そしてその逃げるジミーの姿がもう爆笑。
当然バスター・キートンの映画にCGなんてありませんが、彼の類まれな身体能力と巧みな合成技術やトリックによって、まるで漫画やゲームのように楽しむことができます。良い意味で現実味が全然ない。
街中を疾走したり転がる岩をジャンプで避けたりするシーンはさながらスーパー・マリオ・ブラザーズ。
Bダッシュからのホップ・ステップ・ジャンプ!畳みかけるように次々と襲い掛かってくる花嫁!岩!牛!有刺鉄線!そしてタイムリミット!
それらを全部バスター・キートンの特徴である能面のような顔のまま華麗にかわしてのける。
もちろんバスター・キートンのアクロバティックな動きに爆笑する一方で、小ネタも定期的にはさんできます。
「店に置いてある時計が全部違う時間を指してる時計屋」とか。時計屋なんて辞めちまえ。
後ろからプロポーズしようとした女性の正面に回ると黒人だったからそのままスルーするとか。今だと完全アウトのシュールなネタ。
あと地味に、追いかけてくる花嫁の最前列にいるのが全員ブッサイクなおばはんばっかりなんですよね。もうちょっと綺麗どころ集まらんかいよ。
いやあ~。
フランス的ですよホントに、バスター・キートンは。
映画【キートンのセブン・チャンス】の感想一言
バスター・キートンの芸名“バスター”はですね、彼の子役時代のエピソードからきてるんですね。
キートンは旅芸人だった両親のもとに生まれてですね、子役として立った舞台で親にポイっと投げられたんですね。
それでもキートンはケロっとしてたんですね。
その時に観客は言ったわけですね、「なんて(すごい)奴や!」と言ったんですね。この賛辞を意味するのが“バスター”なんですね。
ご存知でしたか?
ためになりますねえ~。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。