1987年/アメリカ/監督:エイドリアン・ライン/出演:マイケル・ダグラス、グレン・クローズ、アン・アーチャー、エレン・ハミルトン・ラッツェン、スチュアート・パンキン、ロイス・スミス
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

当サイト「天衣無縫に映画をつづる」でたびたび明言していますが、私はどちらかと言えば不倫擁護派です。
男女は関係ありません。
男性だろうが女性だろうが、結婚している身であっても別の異性に惹かれちゃうことだってあるでしょう。お互いの思慕が通じればその異性と寝ちゃうことだってあるでしょう。
いいんじゃない?
外に恋人がいることで家庭でも機嫌よく過ごせるなら平和じゃないの。
ただし不倫には不倫のルールがあって、それを破ってしまうような人は最初からやらない方がいい。勉強やスポーツと同じで、不倫にも向き不向きがあるんですよ。
不倫に不向きな男女がちょっとばかりハッスルしちゃった結果衝撃の結末を迎えるサスペンス・スリラー、【危険な情事】です。
映画【危険な情事】のあらすじザックリ
ウハウハの夜が悪夢に変わる
公開当時、世の既婚男性を震撼させた話題作。
【危険な情事】が男性陣の不倫予防に効果があったかどうかは知らない。

美しい妻ベス(アン・アーチャー)とかわいい盛りの一人娘エレン(エレン・ハミルトン・ラッツェン)と暮らすニューヨークの弁護士ダン・ギャラガー(マイケル・ダグラス)は、クライアントである出版社に勤める独身女性アレックス・フォレスト(グレン・クローズ)と肉体関係を持ってしまいます。
アレックス曰くはその前日の出版社のパーティで出会った時すでに運命的なものを感じていたとのこと。これはダンにも言えることで、彼もアレックスを見た瞬間「うっほ、ええ女やんけ」と思ったであろうことは明白。

そしてパーティの翌日、ベスとエレンが泊まりがけで実家へ出かけるのを見送ったダンは出版社の会議でアレックスと再会、2人はまさに運命に導かれるようにところ構わずいたしまくっちゃうという訳です。

諸事情により2人の情熱的なセックスシーンについてここで詳しく書くことは避けますが、ひとつアドバイスするならこの映画の真似してエレベーターでいたすのは止めた方が良いでしょう。狭い日本ではすぐに誰かに見つかって公然わいせつで捕まります。

そうして濃密な週末を過ごした2人の、情事の後の感情はまったく別のものでした。

あ~気持ちよかった。
さ、家帰ろ。

ダンって最高!
やっぱり運命の人だわ!
ダンが何食わぬ顔して別れを告げた瞬間、これまで「不倫慣れしてるキャリアウーマン」って感じだったアレックスは豹変。
手首を切ってダンを引き止めようとするのを皮切りに、ストーカーじみたその行動はどんどんエスカレートして行くのでした。

いつの世にも「アレックス・フォレスト」は存在する
「不倫には不倫のルールがある」「不倫にも向き不向きがある」と書きましたが、アレックスという女性はとにかく不倫に向いてない。

不倫の鉄則は「秘密の厳守」です。
妻子ある人と付き合っていることは絶対に誰にも言ってはいけません。
親友にも親にも言っちゃダメ。
SNSにあげるのもダメ。
匂わせもダメ。
職場に行くのもダメ。
深夜早朝の電話もメールもLINEもダメ。
て言うか基本的にはこっちから連絡しちゃダメ。
文字通り「2人の秘密は墓場まで持って行く」覚悟がないとダメ。
当たり前やんって思うでしょ?
しかし意外とこれができない女性って多い。付き合っている男性が素敵であればあるほど自慢したいんですよ女って生き物は。
秘密さえ守って私生活に干渉しなければ長く続けられるはずなんですけどね。男なんて寝たくなったら勝手に連絡してきますよ。そして楽しいひと時を過ごしてまた元の生活に戻ったらいいじゃない。不倫なんてその繰り返し。

ところがアレックスはいきなりこのルールのほとんどを破っちゃうんですよね。
もともと尽くすタイプであったのも彼女が不倫に不向きであることの要因のひとつ。尽くすタイプというのは粘着質と紙一重で、こういう人は相手に尽くすかわりに相手にも同じだけの見返りを求めてきます。実際アレックスは何度もダンに向って「私はこんなに愛してるのに!」と愛情を押し付けて来ますし。

でもアレックスみたいな女性って多いんで、ホントに世の男性は気を付けた方が良いですよ。
ダンはダンで不倫に不向きだなあって思うんですけど、リスクを背負いたくないならまず相手は選ばなきゃあ。35歳の独身女性(バツなし)に安易に手出したらダメですよ。やっぱり焦ってる女子が多いんで、ともすれば「今日は安全日よ」なんて嘘ついて妊娠して責任を迫ってきたりする可能性も考慮にいれないと。避妊しないのは問題外だけど、トラップにハマったと気付いた時にはすでに遅し、中絶を勧めて逆恨みされるのが関の山。
どうしても嫁はん以外の女性と寝たいなら、他にいくらでも恋人がいそうな若い女子にしましょう。飽きたら向こうから捨ててくれます。
「妻が最強」であることを忘れてはならない
そして不倫を望む独身女性は、常に「妻が最強」であることを肝に銘じておかなければなりません。子供がいるなら尚絶望的。どうあがいても自分の思い描くものとは程遠い未来が待っています。

どれだけ既婚男性と愛し合ったとしても、彼はデートの最後には妻子の待つ家に帰ってしまうのです。
もし仮に彼が離婚してくれたとしても、彼には元妻に対する莫大な慰謝料と子供が成人するまでの養育費の支払い義務が生じます。お金で済めばまだいいかも知れません。月に何度かは前の子供たちに会いに行ったりもするでしょう。そんなの我慢できます?
私が不倫擁護派って言ってるのは、お互い息抜き程度に割り切って付き合うならいいんじゃないの?ってことです。
本気で相手を愛してしまってつらい思いをするくらいなら、既婚者を愛するその情熱を独身者を探すパワーにすげかえた方が建設的ですよねえ?
【危険な情事】のニューバージョン“もうひとつのエンディング”とは?
【危険な情事】のエンディングには、“ニューバージョン”と呼ばれる別バージョンがあります。
DVDの特典映像でエイドリアン・ライン監督自身が“もうひとつのエンディング”として紹介する別バージョン、実はこれこそがオリジナル版。
一般的に知られる狂気のアレックスとダンがバスルームで格闘する劇場公開版の方が後から製作されているので、言うなればこちらが“ニューバージョン”に当たります。

オリジナル版である“もうひとつのエンディング”では、アレックスは自宅で頸動脈を切って自ら命を絶ちます。
現場に残されていた包丁にダンの指紋がべったりと残されていたことから(ウサギを茹でられてキレたダンがアレックスの家に押し入った時に握った包丁)、ダンは警察に連行されてしまいます。
ダンに罪を着せることでアレックスは復讐を果たすと言う筋書きですね。

でもこのオリジナル版は試写で批評家らから「最後の10分でぶち壊しだ」などと散々な言われようだったらしく、脚本家と製作者とエイドリアン・ライン監督とで悩んだ結果、劇場公開版のラストに差し替えられたそうです。
私はアレックスがダンにカセットテープを贈る伏線が活かされたオリジナル版も好きですけど、包丁を全力で振り回す狂気のアレックスがなければ【危険な情事】はこれほど有名になっていなかったかも知れませんね。
映画【危険な情事】の感想一言

身の危険を感じたダンが警察に相談した時、警官が冷めた表情で「自分で蒔いた種ですな」って言う場面が笑えます。
そりゃそうですよね、「妻子の留守にヤリまくった女に追いかけ回されて困ってるんや!」って、どの面下げて言うてんねんって感じですよ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。