1994年/フランス・アメリカ/監督:リュック・ベッソン/出演:ジャン・レノ、ゲイリー・オールドマン、ナタリー・ポートマン、ダニー・アイエロ、マイケル・ダバルコ、エレン・グリーン、ジョージ・マーティン、ピーター・アペル、ウィリー・ワン・ブラッド
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
孤独な超一流の殺し屋と、家族を皆殺しにされた少女。
ある事件をきっかけになんの共通点もなかった二人の距離は一気に縮まり、お互いになくてはならない存在へと変貌していきます。
1990年の【ニキータ】に続き“殺し屋”を主人公に据えたハードボイルディーかつバイオレンシーな仕上がりの作品で、フランスの映画監督リュック・ベッソンの名を広く世界に知らしめました。
1990年/フランス/監督:リュック・ベッソン/出演:アンヌ・パリロー、ジャン=ユーグ・アングラード、チェッキー・カリョ、ジャンヌ・モロー、マルク・デュレ、アラン・ラティエール、ジャン・レノ注※このサイトは映画のネタバレしよ[…]
公開当時から「40歳前後のおっさんと12歳の少女の純愛だなんて気持ち悪い」とかなんとか言われていた映画ではありますけどね。
私はそうは思わなかったけどなあ。
まあ本日の映画に関して全世界共通の所感といえば、ゲイリー・オールドマンのイカれた演技はイカれすぎってとこでしょうか。
【レオン】です。
映画【レオン】のあらすじザックリ
孤独な殺し屋と12歳の少女の出会いと運命(さだめ)
請け負った「仕事」を完璧に遂行するプロの殺し屋レオン(ジャン・レノ)と、彼のアパートの隣の部屋に家族で住んでる12歳の少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)の物語。
二人の出会いはアパートの廊下でタバコをふかしていたマチルダが、「仕事」を終えて帰ってきたレオンに「Hi」と声をかけたこと。
同じアパートの隣人ですからこれまでにも顔を合わせることくらいはあったんでしょうが、彼らはこの時初めて言葉を交わします。
マチルダの父親はケチな麻薬の運び屋で、娘のマチルダに暴力をふるうろくでなし。父親の再婚相手は子供達に興味はないし、再婚相手の連れ子である義理の姉とはケンカばかり。
5人暮らしだけど実質マチルダが「家族」と呼ぶのは4歳の弟だけらしい。
レオンとマチルダが言葉を交わした翌日、弟を含むマチルダの家族は皆殺しにされてしまいます。
原因は、マチルダの父親が預かった粉をちょろまかしたこと。
怒った組織の連中が報復に訪れたってわけ。
襲撃時、買い物に出かけていたため独り難を逃れたマチルダは、隣人のレオンに助けを求めます。
“プロの殺し屋”であるレオンは他人とかかわりは持ちたくない。
でも助けてやらなきゃマチルダの命もヤバイ。
レオンは戸惑いながらも孤児になってしまったマチルダを自宅に招き入れてあげるんです。
こうして二人の奇妙な共同生活が幕を開けます。
何を飲んでるのかはどうでもいいゲイリー・オールドマン
マチルダの最愛の弟を殺したのはクラシック音楽を愛するイカれた男スタンフィールド(ゲイリー・オールドマン)。
麻薬売買組織の元締めにしては整った身なりで教養もありそうな雰囲気を醸し出すこの男。それもそのはずで、こいつの正体は麻薬捜査局のお偉いさん。
そんな奴を相手にマチルダは、弟の仇を討つためレオンに「人間の殺し方指南」を懇願します。
※ちなみに弟以外の家族は死のうが生きようがどないでもいいって言ってます。
ヤバイってマチルダ。やめとけって。
弟を殺されて絶望の淵にあるのは分かるけど、スタンフィールド はマジでおかしいんやって。
私、【レオン】で初めてゲイリー・オールドマンを観たと記憶してるんですけど、そりゃあもう衝撃でしたもんね。
冒頭にも書いた通り、イカれた演技がイカれすぎでしょ。
未視聴の方のために伝説の場面の動画貼っておきますからまあご覧になってみてくださいな。
だから何を飲んでんねんなそれ。
こわいこわいこわいこわい!
未公開シーンと【レオン 完全版】との違いについて
【レオン】には劇場公開版と、約23分の劇場未公開シーンを加えた「完全版」と呼ばれるいわゆるディレクターズカット版が存在します。
参考 ディレクターズカット版=映画製作過程において、撮影したフィルムを監督の権限の範囲内で編集したバージョンを指す業界用語。
絶対こっち 観た方がいいよ。
まあ今から【レオン】を観ようと思ったら必然的に「完全版」になるのでしょうが、公開時には当然ギタギタにカットされた「不完全版」しか観られなかったわけで、私なんかはあとから「完全版」を観て泡吹きましたよ。
なにしろ「よりによってなんでここカットすんねん!」ってとこばっかりカットされてるもんでさあ。
【レオン 完全版】収録の未公開シーン①
まずはここ。
マチルダがあからさまにレオンへの恋心を口にするシーン、からの、「殺し屋」の仕事をこと細か に教えてもらうシーン。
「不完全版」でもマチルダはレオンに告白をしますが、それは「あなたに恋しちゃったみたい」なんてライトなセリフにとどまります。これが「完全版」では「愛してるわレオン」というハッキリとした意思表示として収められてる。
心の成熟が早く自己主張の激しいマチルダならこれくらい口に出して然るべき。
“初仕事”が成功したお祝いの席でレオンに「キスしていい?」と迫るのも、ちょっぴり積極的すぎるけどマチルダらしくてしっくりきます。
マチルダの“殺しの練習”のシーンにおいては、ラストに繋がる大事な伏線「リング・トリック」のシークエンスがばっさりカットされちゃってます。
【レオン 完全版】収録の未公開シーン②
独りで“仕事”に出かけてしまったレオンを待つあいだアパートの近くの広場で考えごとをするマチルダが、広場でバスケをしていたガキどもから「ここに座るんやったら場所代よこせや」とからまれるシーンもカット。
マチルダは平然とポケットから札束を出し、100ドル札を一枚抜き取りガキどもに渡してひと言。
私考えごとしてんねん。
よそで遊びや。
かっこいい~!!
【レオン 完全版】収録の未公開シーン③
まだ一緒に暮らしだして間もない頃、レオンがマチルダにピンクのドレスをプレゼントする様子が「不完全版」に収録されています。
プレゼントしただけ。
「不完全版」でマチルダがピンクのドレスに身を包むことはありません。
初見の視聴後から「あのドレスどうなったんやろ」って思ってたんですよ私。
「マチルダあのドレス着いへんのかな」って思ってたんですよ私。
はい、「完全版」でしっかり着てくれるのでご心配なく。
マチルダはレオンからもらったドレス姿で、レオンの身の上話を優しく聞いてくれます。まるで大人と子供が逆転したみたいな包容力で。
このシークエンスをぶった切るのも次の展開をまったく考えてくれてない。
このあと二人でベッドに入るシーンがなくなっちゃったもんだから、「不完全版」の翌朝のシーンが脈絡のない不自然な仕上がりになっちゃってます。
【レオン】は気持ち悪いのか?
こんな風に「完全版」にはまあ、30歳前後の年の差がある男女の恋愛模様が露骨に表現されている上に、12歳の少女が“殺し”に手を染める様子(しかもポップな感じで殺していく)が収められているため、気持ち悪いと感じる人がいたり未成年の犯罪につながる可能性を指摘する人がいたりするんでしょうね。
だから劇場では公開できなかったと。
でも「ええ歳こいたおっさんと12歳の美少女の恋」って言うけどさ、作中のレオンのセリフにもあるように、レオンは心が子供のまま体が大人になってて、マチルダは体はまだ子供だけど心は十分「女性」であって、「そんな恋もあるのかもね」って説得力ありましたけどね。少なくとも私には。
気持ち悪いなんて微塵も思わなかったです。
レオン似の観葉植物の名は「アグラオネマ」
殺しの仕事をくれるトニー(ダニー・アイエロ)以外に親しい知人もなくひとところに定住することもないレオンは、「根無し草の自分に似ているから」という理由で鉢植えの観葉植物を大事に大事にしています。
マチルダはその観葉植物を見て「大地に植えれば根をはるわ」と言ってくれるものの、殺し屋レオンが住宅ローン組んで庭付きの一戸建てを買うでもあるまいよ。
レオンがもし「地震や!各自大事なもんを一個だけ持って屋外へ出え!」って言われたとしたら、札束でも保険証券でもなく迷わず持ち出すであろうこの観葉植物の名前は「アグラオネマ」と言います。
【レオン】ファンの友人にこの鉢植えをプレゼントしたことがあります。
あのアグラオネマ、大地に根をはったかなあ。
映画【レオン】の感想一言
もしレオンが20代後半でマチルダが20歳前後のお姉さんだったら、【レオン】はこれほどヒットしてなかったでしょう。
現実にはあり得ないだろう題材が描かれるからこそ映画って面白い。
40歳前後のおっさんが自分を慕う12歳の少女に対して、最後には「愛してる!大地に根をはってずっと一緒に暮らそう!」って言ってしまうなんて、ファンタジーすぎて何回観ても涙が出ちゃう。
でももしこれが映画じゃなくて現実にあったとしても、それはそれでいいじゃない。
恋人でも夫婦でも養子縁組でも愛人でも、カタチなんてなんでもいいじゃない。
誰だって大地に根をはって大好きな人とずっと一緒にいたいじゃない。
ねえ?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。