1938年/アメリカ/監督:ノーマン・タウログ/出演:スペンサー・トレイシー、ミッキー・ルーニー、ヘンリー・ハル、レスリー・フェントン/第11回アカデミー主演男優・原案賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

アメリカのネブラスカ州オマハにという所に、非行に走る少年少女や身寄りのない子供たちを預かり自立を促す児童自立支援施設“Girls and Boys Town”があります。
かつての名前は“少年の町 ”、または“フラナガン神父の子供の家”。
この施設を創設したエドワード・ジョゼフ・フラナガン神父を演じた名優スペンサー・トレイシーがその年のオスカーを獲得(前年の【我は海の子】でも受賞しているので2年連続!)したヒューマン・ドラマ、【少年の町】です。
3年後の1941年には続編の【感激の町】が公開されています。
映画【少年の町】のあらすじザックリ
冷静に観てると怖くなってくること
ハリウッド史上最高の男優とも言われるスペンス(スペンサー・トレイシーの愛称)の「温厚で正義感溢れる人物」というイメージを決定的にした映画。
スペンスが演じた実在の人物エドワード・ジョゼフ・フラナガン神父は、少年院送り寸前の非行少年や身寄りのない子供たちを集めてひとつの「町」を創り上げます。

「少年の町」と呼ばれるその町では、選挙で住民(子供たち)の中から委員を選出し、その委員らの主導で掲げられた規律のもとに生活が成り立っています。町には店舗や牧場なども整備されていて、「少年の町」を出ても路頭に迷うことがないようにバーチャル職業体験などもできるようになってるみたい。
前科者の兄を持つ問題児ホワイティ・マーシュ(ミッキー・ルーニー)が編入してきても、フラナガン神父は基本的には手も口も出さず何もかも住民任せ。
住民たちはみんな自らの考えに従って自主的に行動を起こします。全員が守らなければならない規律以外、誰にも縛られることはありません。

成人してここを出た少年たちはきっと立派な大人になってくれることでしょう。

当然こんな風に思うんですけど。
角度を変えて観てみるとちょっと怖い事実が隠されていることに気付いてしまったんですよ。
「大人の更生」にはもうお手上げ?
フラナガン神父は「少年の町」を創る前、ホームレスの人々を支援する施設も創っています。

この施設はもう見るからに大失敗で、ホームレスたちは「フラナガン神父う〜、あんたは良い人だなあ~」なんて言いながらこの環境に甘んじて働こうともせず、真っ昼間から暖かい施設内でのらくらするばかり。
この惨状(?)を目の当たりにしたことと、とある死刑囚の「俺だって子供時代に人並みの愛情を受けていれば真人間になっていたのに!」と言う告白を聞いたことで、フラナガン神父は「少年の町」を創ることを思いついたのです。

これってつまり、こういうことじゃない?

ダメな大人はもう見捨てられちゃうってことね。
映画【少年の町】の感想一言

子供たちの未来はすこぶる明るい映画なんですけど、飲み残した水を植木に注いであげるような優しさを持つフラナガン神父でも「ダメな大人にはお手上げ」状態に陥ってしまうと感じた時、なんとも厭世的な気分になってしまいましたよ…。
大人の腐った性根を叩き直すってのは大変な苦労を伴うんでしょうねえ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。