2002年/アメリカ/監督:ブレット・モーゲン、ナネット・バースタイン/出演:ロバート・エヴァンス
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

- 【怒りの葡萄】(1940年)
- 【わが谷は緑なりき】(1941年)
- 【紳士協定】(1947年)
- 【イヴの総て】(1950年)
- 【史上最大の作戦】(1962年)
これらの名作を手掛けたアメリカの映画プロデューサー・脚本家のダリル・F・ザナック。
ザナックに見いだされ、ザナックのようになりたかった一人の男、ロバート・エヴァンスの半生を描いたドキュメンタリー映画。
60年代~70年代の自分の成功の自慢話とその後の醜聞に対する恨みつらみが大半を占めますが、ジャック・ニコルソンの男気あるスマートな優しさがちらりと覗くエピソードだけでも観る価値あり。
※私はジャック・ニコルソンの熱烈ファンです。
【くたばれ!ハリウッド】です。
映画【くたばれ!ハリウッド】のあらすじザックリ
ロバート・エヴァンスってどんな人?
こんな人です。
1930年、ニューヨーク生まれ。実業家として活躍する傍ら、57年、「千の顔を持つ男」で銀幕デビュー。「陽はまた昇る」などに出演するも大成せず、66年、パラマウント社の製作責任者となり、「ローズマリーの赤ちゃん」「ある愛の詩」「ゴッドファーザー」ほかの話題作で一世を風靡する。
出典:「くたばれ!ハリウッド(書籍)」
監督や脚本家と違って、パラマウントの副社長だとか映画プロデューサーだとか言われたって全然ピンと来ませんよね。
ロバート・エヴァンスも作中で「週“8”日、1日18時間休みなく働いて良い映画作ったって俺の名前はどこにも載らへん」ってぼやいています。
関係者にしてみれば有名な人なんでしょうけど私も【くたばれ!ハリウッド】を観るまではこんなオッサン全く知りませんでした。一応俳優として何本か映画にも出てるみたいですけど観たことないしな。

【くたばれ!ハリウッド】はロバート・エヴァンスの同名の自伝が原作ですから、映画も彼の一人称で語られます。ナレーションはロバート・エヴァンス自身。新たに録音されたこのナレーション部分以外は、すべて当時のプライベート写真や報道写真、彼が手掛けた映画のワンシーンや撮影風景をつなぎあわせて製作されています。
ヒット作の裏話を明かしまくり

見所はロバート・エヴァンスの半生ではなく(えっ?!)、上のような要らぬ心配をしてしまうほど赤裸々に映し出されるセレブたちの撮影裏話。
生涯で100作を超える映画をプロデュースしてきたエヴァンスが【くたばれ!ハリウッド】で主に(自慢げに)語るのは、【ローズマリーの赤ちゃん】と【ある愛の詩】と【ゴッドファーザー】と【チャイナタウン】を製作した時のこと。
【ローズマリーの赤ちゃん】では、「監督を降ろされそうになってたロマン・ポランスキーを救ったのは俺」。

「当時夫だったフランク・シナトラに降りろと言われ降板しようとしていた主演のミア・ファローを説得してスターダムにのし上げたのは俺」。

1968年/アメリカ/監督:ロマン・ポランスキー/出演:ミア・ファロー、ジョン・カサヴェテス、シドニー・ブラックマー、ルース・ゴードン、モーリス・エヴァンス注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書い[…]
【ある愛の詩】では、撮影当時エヴァンスの妻であったアリ・マッグローが名台詞「愛とは決して後悔しないこと」を口にする場面で、「彼女が心に思い浮かべていたのは俺」。

1970年/アメリカ/監督:アーサー・ヒラー/出演:アリ・マッグロー、ライアン・オニール、ジョン・マーリー、レイ・ミランド、トミー・リー・ジョーンズ、ラッセル・ナイプ、キャサリン・バルフォー、ロバート・モディカ/第43回アカデミー作[…]
【ゴッドファーザー】では、フランシス・フォード・コッポラ監督が試写で2時間程度にまとめてきた作品を「3時間に延ばせって言ってヒットに導いたのは俺」。

1972年/アメリカ/監督:フランシス・フォード・コッポラ/出演:マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン、ロバート・デュバル、ジョン・カザール、タリア・シャイア、ダイアン・キートン、リチャード・カステラーノ、モーガナ[…]
【チャイナタウン】では、自分自身を含む誰もが理解できなかったロバート・タウンの複雑な脚本を「(当時のパラマウント社長)チャールズ・ブルードーンの反対を押し切って映画化したのは俺」。

※プレゼンターのカトリーヌ・ドヌーヴと絡むゴールデングローブ賞授賞式の華々しい映像付きでご満悦。

1974年/アメリカ/監督:ロマン・ポランスキー/出演:ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストン、バート・ヤング、ダイアン・ラッド、ペリー・ロペス、ジョン・ヒラーマン、ダレル・ツワーリング、ロマン・ポランスキー[…]
他では見られない撮影中の映像とかが観られるんで視聴者としては嬉しい限りではあるんですけど、ロバート・エヴァンスという人物は若い頃から自分が「これこそは!」と思った映画製作に関しては手段を選ばなかったことがアリアリと見て取れるから、ホントにシナトラとかに消されなくて良かったねって思います。
自分の痴態はサラッと流す
華々しい活躍が永遠に続くのかと思いきや、晩年エヴァンスはコカインに手を染め、謂れのない殺人容疑をかけられ、自ら精神病院に入院します。
これまでのプロデュース業と打って変わって、自分の痴態に関してはごくごく簡単に抽象的な表現で終わらせようとするので実際何がどうなったのかよく分からない。

書籍の方ではもっと詳しく書かれているのかも知れないな。まあここを掘り下げられても視聴者としては困惑するだけだからいいのか。ロバート・エヴァンスの醜聞に時間を割くなら【ゴッドファーザー】のニューヨークでの撮影風景もっと観たいもんね。
映画【くたばれ!ハリウッド】の感想一言
デカいことを言う自意識過剰なワンマンプロデューサーらしくなく、恋愛に関しては元妻アリ・マッグローだけをずっと一途に想い続けていたんだなあ~、なんて思ったら大間違い。
エヴァンスは7回も結婚しています。
シレっと「俺にはアリしかいないぜ」みたいな純愛物語にするのやめてもらえる?
※作中ではアリ・マッグロー以外との結婚について一切触れられていません。
※当のアリ・マッグローはエヴァンスと離婚してすぐ、【ゲッタウェイ(1972)】での共演をきっかけにハリウッドの大スター、スティーブ・マックイーンと再婚しています。
1972年/アメリカ/監督:サム・ペキンパー/出演:スティーブ・マックイーン、アリ・マッグロー、ベン・ジョンソン、サリー・ストラザース、アル・レッティエリ、スリム・ピケンズ注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせ[…]
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