2014年/アメリカ/監督:スコット・マクギー、デヴィッド・シーゲル/出演:ジュリアン・ムーア、アレクサンダー・スカルスガルド、オナタ・アプリール、ジョアンナ・ヴァンダーハム、スティーブ・クーガン
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
北欧かどっかの映画だと思いながら観てました。
世界観とか登場人物が全然アメリカっぽくないんだもん。
感情をあまり表に出さない6歳の少女メイジー(オナタ・アプリール)の目線で描かれ、大事件が起こるでもなく淡々と進行してすーっと終わっていく「転」も「結」もない「起承承承」系 の映画。
しかし観ているこっちは終始ハラハラ。心臓バクバク。
静かな映画なのでバクバクしすぎて自分の鼓動が聞こえそうなほど。
何がハラハラするかって?
あなたが親なら、ご覧になればきっと分かると思います。
【メイジーの瞳】です。
映画【メイジーの瞳】のあらすじザックリ
両親の離婚に振り回される少女
3階建ての豪邸に住むメイジーの家族は、父ビール(スティーブ・クーガン)と母スザンナ(ジュリアン・ムーア)。それにナニーのマーゴ(ジョアンナ・ヴァンダーハム)。
ビールの仕事はちょっとよく分かんなかったんですけど、四六時中仕事相手と電話しているところをみると多忙を極め世界を飛び回るビジネスマンであることは間違いないようです。
スザンナはシンガーで、豪邸の中にスタジオを持っています。どうやらこの豪邸はスザンナ名義っぽい。
二人共一人娘のメイジーを愛しているものの、夫婦喧嘩は日々絶えず、これにはマーゴも呆れ顔。
ついに離婚を決意した夫婦でしたが、双方単独親権を得ることはできず、メイジーは10日ごとに両親の家を行き来するという特異な状況に追い込まれてしまいます。
両親がそれぞれ新しいパートナーをみつける
メイジーがビールの家に行くと、なぜか夫婦に雇われていたマーゴがいました。
ビールとマーゴは再婚し、それに当てつけるかのようにスザンナも若いバーテンダーのリンカーン(アレクサンダー・スカルスガルド)と結婚。
メイジーはといえば相変わらず、あっちの家とこっちの家を10日ごとに行き来。
引きずられて歩くメイジー
この映画にはメイジーが歩いている場面がよく出てきます。
学校からビールの家まで、
ビールの家からスザンナの家まで、
スザンナの家からリンカーンが勤めるバーまで、
その時必ずメイジーの傍らには「誰か大人」がついていて、まだ小さなメイジーは誰と歩く時もまるで引きずられるように速足で歩くことを余儀なくされてます。
なんかね、絶えずドキドキしてしまうんです。
映画の目線は「子供」(メイジー)。
私の視点は「母」。
先に歩いてしまうと手を繋いでいても後ろを歩く子供の様子は分かりません。
急いでる時、私もこんな風に歩かせてるんやろうな…。
なんだかねえ…。
もうホントに、すごく観るのが「痛い」映画でしたよ。
「良い親」である自信がないんやろうなあ私も。
親なら誰もがそうなのかも知れませんけど。
笑ってるけど…感情がよくわからない
こんな環境にあって、メイジーはすごくいい子なんです。
ふさぎ込んだりするのかと思いきや学校ではよく笑っているし、ビールやスザンナに会った時は本当に嬉しそう。
自分勝手な両親に会って無邪気に喜ぶメイジーを見るたびに、怒りとも悲しみとも言えない感情が湧き出してきてまた心臓がドキドキ…。
お互いのことが死ぬほど嫌いだとしても、娘のためだけに、どうして離婚を思い止まって一緒にいてやろうと思えないんや…。
ビールやスザンナはメイジーを愛していると口では言っても、結局すぐに自分のしたいことを優先してしまいます。
聞き分けのいいメイジーは頷くだけ…。
両親はいつも何か言いたげに下から見上げている綺麗な瞳には気づいてくれません。
次第に両親はリンカーンとマーゴにメイジーを任せっきりになっていきます。
今まで反抗する素振りも見せず、両親に言われるままにどこへでもついて行ってたメイジーがついに、
と言った時には涙が吹き出ました。
どのおうちやねん…!
どのおうちやねんな…!!
「母親が変わってくれるはず」と信じたいラスト
両親にほったらかされたメイジーは、マーゴとリンカーンと一緒に海辺の売り家にこっそり忍び込んでかりそめの楽しい時間を過ごします。
でも血の繋がりもなく経済力もない優しい彼らとずっと一緒にいられないことは明白。
ビールはイギリスに移住してしまったし、結局はスザンナと暮らすことになるのでしょう。
スザンナとビールは育児放棄したダメ両親のように描かれていますが、離婚という結論に至ったことは仕方ないとして、この素直で純粋なメイジーを見ていると、スザンナとビールがこれまでどれだけ大事にメイジーを育ててきたかがうかがい知れます。
人間には誰でも「適性」があって、ロック歌手で感情の起伏が激しいスザンナは間違いなく「母親には向かない」人です。
でも彼女はメイジーにこう言っています。
あなたが産まれて私は変わった。
こんな愛を教えてくれたのはあなただけ。
確かに愛しているんです。
自分と子供の両方を大事にする方法が分からなくて模索してるだけ。
確かに心は変わったんだろうけど行動が追い付いてないだけ。
ラストでメイジーの意思を尊重できるようになったことでスザンナは少し「母親」に近づくことができたと思います。
スザンナに希望を聞いてもらえたことによってメイジーはこれからもっと言いたいことを口に出すことができるようになるでしょう。
できれば裕福な母親のもとで暮らし、またナニーとしてマーゴを雇ってもらい、たまにリンカーンのバーに食事に行くようになって欲しいです。
映画【メイジーの瞳】の感想一言
メイジーほったらかして国外逃亡したビール(おとん)は論外!
クリスマスに毎年プレゼントでも贈ってこい。あと養育費よこせ。そして孤独に死ぬがいい。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。