1972年/アメリカ/監督:フランシス・フォード・コッポラ/出演:マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン、ロバート・デュバル、ジョン・カザール、タリア・シャイア、ダイアン・キートン/第45回アカデミー作品・主演男優・脚色賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

3回目か、4回目くらいです。
たぶん、観るの。
だから内容もバッチリ覚えてるし、DVDを流し見しつつこの記事をさらっと書こうとしてたんですけど、もう全然ダメでしたね。
引き込まれちゃってTVにかぶりついて観ずにはいられませんでした。
どの辺りから引き込まれちゃったかと言うと、あそこです、あのセリフの、ほら、
「アメリカはいい国です」っておっさんが言うとこ。

ってそれ
最初のセリフや~ん!
いやもうそんくらい冒頭から引き込まれてもうダメでした。速攻流し見は止めてTVの前へ移動。
いやあ~観れば観るほど面白い!
こんなにおもろい映画やったっけ?!前観た時よりもまたおもろなってる気がする!
【ゴッドファーザー】です。
1974年/アメリカ/監督:フランシス・フォード・コッポラ/出演:アル・パチーノ、ロバート・デュヴァル、ダイアン・キートン、ロバート・デ・ニーロ、タリア・シャイア/第47回アカデミー作品・監督・助演男優・脚色・美術・作曲賞受賞[…]
映画【ゴッドファーザー】のあらすじザックリ
観れば観るほどアジが出てくる不朽の名作【ゴッドファーザー】
馬?!馬の生首?!おやめなさいよ!
「こんなおもろかったっけ?」と書きましたが、今覚えている限り、最初に観た時の【ゴッドファーザー】の印象って確か、

馬怖え…。
だったと思うんです。
序盤で“ゴッドファーザー”ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)がどれほどの「力」を持っているかが分かる描写の一つとして、コルレオーネ・ファミリーの一人で歌手のジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)のお話が出てきます。
人気に陰りが見られるジョニーは、ある戦争映画の主演を射止めて起死回生を図っていますが、有望な新人女優に手を出したことで映画プロデューサーから干されてしまっていて叶いません。「何とかしてよお~ド~ン!」とドン・コルレオーネに泣きつくジョニー。
ファミリーの人間を我が子のように可愛がるドン・コルレオーネは「よっしゃよっしゃ」とばかりに映画プロデューサーに「お願い」をしに行ってくれる訳なんですけども…。

絶対にジョニーなんかに役はやらん!
大事な女優をダメにしやがって!
頑として首を縦に振らない映画プロデューサーに対して、ドン・コルレオーネは映画プロデューサーが大事にしているお馬タンの首をちょん切ってこっそりベッドに忍ばてあげるという衝撃のサプライズプレゼントを贈り、お陰でジョニーは見事に戦争映画の主演を勝ち取るのです。

最初に観たのは10代の頃だったと思いますけど、この場面が夢に見るくらい衝撃でした。
ストーリーうんぬん、マーロン・ブランドうんぬん以前に、観終わった後思い出したのはお馬タンの首のことばっかり。
余談:【ゴッドファーザー】に絡んだ有名なフランク・シナトラのお話
ちなみにこの歌手のジョニーのモデルが実在の大歌手フランク・シナトラであることは有名なお話。
数々の伝説を残した興味深い人物フランク・シナトラの生い立ちから晩年までを簡潔にまとめているサイトを見つけました。興味が沸いた人は読んでみてください。【ゴッドファーザー】をさらに面白く観ることができると思います。
特に有名なのは、人気復活から最盛期突入への契機となった『地上より永遠に』への出演のエピソードである。
その頃は人気に陰りが見えていたシナトラにとって、このオファーはカムバックの貴重なチャンスであったが、何と直前に女性スキャンダルを起こしてしまっていた。そんな中でこの映画に出演できたのは、困ったシナトラが、マフィアの超大物(サム・ジアンカーナ)に泣きついたためであった。
このエピソードは後に『ゴッドファーザー』でネタにされてしまった。
基本的にマフィアとの繋がりは全般的にタブーな話題であったが、この映画でネタにされたことについては特にシナトラは気に入っていなかったらしく、知人が原作者をシナトラに紹介しようとしたところ、「Fuck off(うせろ)!!」と怒鳴ったのは有名な話である。
出典:黒い噂を常に持ちながらも、空前絶後のモテ男&敬意を持たれた米国の歌手・俳優のフランク・シナトラとはどんな人物だったのか?
演技力がありすぎるが故の誤解を招いたマーロン・ブランド
あと私、最初に観た時って確か、マーロン・ブランドも知らなくて、ドン・コルレオーネのことを「組織を引退した元マフィアの人」だと本気で思ってました。

このリアリティー…この人絶対本物のマフィアや…。
友情出演(?)してるんや…。
ただの俳優がこんなに マフィア感 出せる訳ない…。
マジで。こんな感じで。
名作と呼ばれる映画を観たところでお馬タンの首くらいしか印象に残らないような小娘にすら「この人只者やないな」と思わせるマーロン・ブランドの迫真の演技が光ります。

2回目以降でようやくストーリーやキャラクターの心情が入ってくる
最初は「お馬タンの首」や、次から次へと容赦なく人が殺されていく場面が衝撃で、それ以外の細かい部分をあんまり覚えていないというみっともないことになってましたが、「このお馬タンは首ちょん切られる」「ここでコイツは殺される」とあらかじめ先の展開が分かっている2回目以降、怖がりな私にもようやく余裕が出てきました。
1回目よりも2回目、2回目よりも3回目と、回を追うごとに【ゴッドファーザー】という作品の濃さが染みてきて、何度観ても前回の視聴よりも面白く感じることができる数少ない映画です。
「【ゴッドファーザー】の感想=お馬タンの首怖い」で終わらなくてよかった…。
個性豊かなドン・ヴィトー・コルレオーネの子供達
ドン・コルレオーネには4人の子供がいます。全員めっちゃ個性が際立っててそれぞれに魅力があります。
短気でケンカっ早過ぎるのさえなければね…長男ソニー
個人的に一番好きなのは「鳴かぬなら殺してしまえ」の信長系男子、長男ソニー(ジェームズ・カーン)。れっきとしたコルレオーネ・ファミリーの跡継ぎですが、怖いもの知らずが過ぎるのと異常に気が短いのが玉にきず。

残念ながら短気が災いして跡を継ぐことなくこの世を去りますが、それでなくともいつも冷静沈着なドン・コルレオーネの相談役でソニー自身の友人でもあるトム・ヘイゲン(ロバート・デュバル)の手助けがなければドンとなるのは難しかったでしょう。

その散り方も実にソニーらしくて華々しい。殺され方に「華々しい」とかないですけど、いや壮絶。もしソニーが殺されるならこんな殺され方してほしいなあ~って思う理想の殺され方(?)してくれます。
お笑い担当と化してるけど重要な役割を担う次男フレド
きょうだいの中で一番のミソッカス、次男フレド(ジョン・カザール)。
でもまああの兄貴とあの弟に挟まれちゃあ次男がふわふわとしたこんな感じになるのも分からなくもないような…。長男ソニーは生粋のマフィア肌で跡取りとして申し分ないし、三男マイケルは大学へ進んだのち海軍で功績を挙げるなど組織以外でひと目おかれる存在。
残るポジションはお笑い担当しかないじゃないの。
こういう人ってひょうきん者然としつつも人知れず「俺ってなんなんやろう…」と葛藤してたりするんですよね。

大学へ進学し海軍へ入隊…家業とは無縁の三男マイケル
そして組織とは一切関わっていない三男マイケル(アル・パチーノ)。
冒頭の末娘コニーの結婚式に恋人のケイ(ダイアン・キートン)を連れてきますが、どうしてもチンピラ臭を隠せないきょうだいの中でただ一人、ええとこのボンボン臭が漂っています。
ドン・コルレオーネもマイケルだけはカタギの世界で生きて欲しかったと言っています。
ヒステリックな気性の荒さが長男そっくり…末娘コニー
末娘のコニー(タリア・シャイア)はそのヒステリックさがまるで女版ソニー。「この兄妹すぐブチ切れるとこがそっくりやな…」っていっつも思います。
ブチ切れると言ってもソニーみたいに怒りのベクトルではなく、コニーの場合泣きのベクトルです。感情のキャパシティーが少ないのか沸点が低いのか、脆すぎて色々と不安になる人です(数年後にはまたコロッとキャラが変わってる)。

たった一つの「商談」を断ったことが血で血を洗う大抗争へ発展
数十年間大きな抗争が起こることはなかったコルレオーネ・ファミリーの周辺がにわかにざわつき出したきっかけは、ソロッツォ(アルフレッド・レッティエリ)という麻薬密売人の麻薬ビジネスをドン・コルレオーネが断ったことでした。
あっという間にドン・コルレオーネが狙撃される
「商談」を断ってからほどなくして、買い物中の無防備なドン・コルレオーネが狙撃されます。
コルレオーネ・ファミリーの殺し屋ルカ(レニー・モンタナ)も殺され、相談役のトムはソロッツォに誘拐され麻薬ビジネスに手を貸すようファミリーを説得しろと脅されます。
一命は取り留めたものの身の安全を保障された訳ではない
5発の弾丸を受けかろうじて一命を取り留めたドン・コルレオーネ。
立場が立場なだけに収容された病院には連日警察官が警護に当たっていましたが、マイケルが立ち寄った晩はなぜか無人。

すぐに敵の策略だと悟ったマイケルが看護婦に協力を仰いでドン・コルレオーネを別室に移している時、ドン・コルレオーネの見舞いに来たカタギのパン屋と鉢合わせ、「協力してくれ。玄関で待っててくれ」と頼みます。

?
なんで?
マイケルの意図が全然分からなかった私…。
マイケルの決意表明とも取れる言葉に涙
別室に移したドン・コルレオーネにマイケルは声を掛けます。

僕がついてるから。
ついてるからね。

家業とは無縁であった三男が頼りになる言葉を口にし動けない自分を護ってくれる…これほど嬉しいこともないでしょう。意識朦朧としている中でもドン・コルレオーネの頬を涙が伝います。
またこのセリフ、ふせっている父に向けてだけではなく、マイケル自身が「俺が護る!」と自分を奮い立たせるための決意表明のようにも聞こえます。
そんなに機転が利いてしまってはカタギにしておくのは惜しいですな…
ドン・コルレオーネを別室に移し終えて病院の玄関にやってきたマイケルは、パン屋と自分のコートの襟を立てて「マフィアっぽい」風貌を装います。



ああ~っ!!!
無人の病院にいるドン・コルレオーネをハッタリで護ろうとしてんのね!
ここでやっと気付く。
マイケルの予想通り、無人となった病院の前に怪しげな車が停車しようとしますが、マイケルはそっと何も持っていない懐に手をやりチャカ出すぞとばかりに威嚇し、事無きを得ることができたのです。
ボスとなる資質を持って生まれたのは家業とは無縁のマイケルだった
マイケルとパン屋…カタギの2人のハッタリ演技によって敵の車は何も仕掛けることなく退散。

マイケルにそう言われ安心したパン屋は引きつった笑みを少し浮かべ大きく息をして、タバコに火をつけ一服…
・
・
・
できません。
手が震えてライターの火がつけられません。
マイケルが代わってライターで火をつけます。
難なく着火するライター。
震えていない手。
カタギならこのパン屋のような反応が普通であるはずの出来事が起こったばかりだというのに、震えていない手。
マイケルは一瞬だけ不思議そうにライターをつけた自分の手と震えながらタバコを吸うパン屋の手を見比べます。ただの一瞬ではありますが、愕然としているようにも見えます。
今まで家業とは無縁だったマイケルは、この時初めて自分の中の何か「そういった資質」に気付くのです。
ドン・ヴィトー・コルレオーネが退き新たなドンが生まれるまでの物語
壮大です。
父が狙撃されたことによって自身の資質に目覚め、次第にボンボン臭がなくなり新たなドンとして変貌していくマイケルと、まるでマイケルの成長ぶりに反比例するかのようにみるみる年老いて行くドン・コルレオーネ。
ドン・コルレオーネとマイケルだけでなく、時代も変わり、組織の在り方もファミリーを取り巻く人々もめまぐるしく変わって行きます。

【ゴッドファーザー】はこのあと【ゴッドファーザー PARTⅡ】、【ゴッドファーザー PARTⅢ】と続くコルレオーネ・ファミリーの繁栄と衰退を描いた壮大な映画です。ブチブチと1作ずつ途切れ途切れに観るよりは、たっぷり時間を作ってぶっ通しで全作観てしまうのがおすすめです。
映画【ゴッドファーザー】の感想一言
映画を鑑賞した翌日、私は例外なく「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を一日中口ずさんでますけどね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。
1974年/アメリカ/監督:フランシス・フォード・コッポラ/出演:アル・パチーノ、ロバート・デュヴァル、ダイアン・キートン、ロバート・デ・ニーロ、タリア・シャイア/第47回アカデミー作品・監督・助演男優・脚色・美術・作曲賞受賞[…]