1939年/アメリカ/監督:ヴィクター・フレミング/出演:ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、レスリー・ハワード、オリヴィア・デ・ハヴィランド、トーマス・ミッチェル、ハティ・マクダニエル/第12回アカデミー作品・監督・主演女優・助演女優・脚色・撮影・室内装置・編集・特別賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
若い頃の私にとっては「意地悪なお姉さん」だったスカーレットも、立派な大阪のおばはんに成長した私からみればただの「負けん気の強い小娘」やろ?はは。
なんてね。
訳の分からんナメ方をしながら久しぶりに観ました。
ところがどっこい、序盤のスカーレットと私なんてもう母娘と言ってもいいくらいの年齢差があるはずなのに、喧嘩したら勝てる気がしません。
まあ~スカーレットの気の強いこと強いこと!
そして性格の悪いこと!
生命力の凄まじいこと!
そんな「美しく強い女性の代表」スカーレット・オハラを始めとする魅力的な登場人物の半生を、背景にある南北戦争とともに描いた不朽の名作、【風と共に去りぬ】です。
メラニー最強!映画【風と共に去りぬ】のあらすじザックリ
園遊会の女王スカーレット・オハラ
アメリカ南部の豊かな農園で美しい三姉妹が暮らしていました。中でも長女のスカーレット・オハラ(ヴィヴィアン・リー)の美しさはとびきりで、持ち前の社交性と小悪魔的魅力も相まって出会う若者がみんな彼女の虜になるほど。
オーク屋敷で開かれたバーベキュー・パーティの時も逆ハーレムのごとく殿方に群がられています。
男とすれ違っては
いや~ん!
会いたかった~!
どこ行ってたん?寂しかったや~ん!
と猫なで声で甘え(ボディタッチつき)、立ち去った後には
(ちっ…、どいつもこいつも冴えへんな~)
と悪態をつく。
典型的な男たらしの嫌な女。
それでも彼女に群らがる男は後を絶ちません。
こんな風に期待を持たせる技が天才的です。
本命はアシュレーただ一人
男を弄ぶプレイガールを決め込んでいるかと思いきや、幼い頃からずっと想いを寄せているのは同じ上流階級の青年アシュレー(レスリー・ハワード)だけ。
これは映画のラストでレット・バトラー(クラーク・ゲーブル)を心から愛していると気付くまで一貫して変わりません。
要は男っぽいんですよね、スカーレットって。
外では遊んでるけど心根はたった一人だけを愛してるってね。
かっこいいです。
そのスカーレットが愛しているアシュレーの婚約者メラニー(オリヴィア・デ・ハヴィランド)が、また面白いくらいスカーレットと正反対の、まるで聖母マリアのように慈悲深く愛情豊かで優しい女性。
彼女について詳しくは後半部分を参照していただくとして、これは個人の好みによるのでしょうが、私にとってそんなメラニーよりキャラクターとして魅力的なのはやっぱりわがままで自己中心的で生命力みなぎるスカーレット。
観ていると時々イラっとはしますけど、基本的にはスカーレットの生き方って爽快。
アシュレーがメラニーと結婚すると知った時の思考や言動も実に爽快。
(アシュレーは私が彼を愛してることを知らんからメラニーみたいなアバズレと結婚するんや!
私のことを手の届かない高嶺の花やと思ってるんやな…。)
(ちゃんと告ってあげよ)
もう婚約しとるっちゅうのに、大胆な思い込みでたくさんの人が集まっているパーティの席でこっそりアシュレーに愛を告白。
返事はもちろんNO。
だからもう婚約しとるっちゅうねん。
ばかばか!
アシュレーなんて大嫌い!!!
いとおもしろし女性 なり。
フラれた現場がバトラー様との出会いの現場
アシュレーが部屋から出て行った後、広い部屋に一人ポツンと残されたスカーレットは、机の下から這い出てきた謎の男と運命の出会いを果たします。
失礼、お嬢さん。
タバコを吸っていたらお二人が入って来られたもので。
ミラクルキザな登場のしかたを遂げる男の名はレット・バトラー。
名家のボンボンとして生まれたものの、自由な思想と言動で実家から勘当されている変わり者の有名人。レットはフラれた瞬間愛する相手に悪態をつく威勢の良いスカーレットをひと目で気に入ります。
タラの大地を甦らせ会社を切り盛りするバイタリティ
その後南北戦争が始まり、アシュレーも戦地へ赴き、世の中は混沌としていきます。
開戦前から南軍の敗北を予言していたレットは軍隊には入っておらず、神出鬼没にスカーレットの前にちょろちょろと姿を現します。
携帯電話もない時代に、なんか、すごいな…これが運命かって思うとこではありますけど。
男をはべらせるだけが才能と思うなかれ、スカーレットの魅力はまだまだ尽きません。
攻め入った北軍に荒らされ枯れてしまった故郷タラの大地を、イチから耕し再び食物が育つまでに復活させ、商人と政略結婚するや商才を発揮し、夫を事業から追い出し経営の実権を握って夫の会社を大きくしたりします。
まあだからやっぱり、度胸があって負けん気が強くて経営力もあって…女にしておくのは惜しい訳ですよ。
3度目にしてようやくバトラー様とご結婚
スカーレットは3度結婚します。
アシュレーへのあてつけで結婚した最初の夫は戦死、金と商売のために結婚した次の夫は浮浪者との抗争で事故死。
2番目の夫が死ぬや、もう我慢できんと言わんばかりのレットの強引なプロポーズを受け入れ、3度目にしてようやくこれまでただの腐れ縁状態だったレットと夫婦となるのでした。
しかし新婚旅行くらいまででしたかね~2人が平和に過ごしたのは。
速攻破局ですよ。
レット自身も作中で分析していますが、似すぎているんですよねこの2人って。
どっちも結局自分が一番大事だし、最終的な部分ではどちらも譲らないし、いくら強く惹かれ合っていたとてこれでは結婚生活なんてうまくいくはずもないでしょうよ。
それでも「スカーレットは今まで出会ったこともない程、どうしても惹かれてしまう女性だから…」とこれまでは譲歩してきたレットでしたが、メラニーの死の床でいまだにアシュレーに色目を使っているスカーレットを見てついに堪忍袋の緒が切れ、大邸宅にスカーレットひとりを残して出て行ってしまします。
どこまでも自分の気持ちに正直に生き抜く
レットに捨てられて初めて、本当に自分が愛しているのはレットだけだと気付いたスカーレットは、レットに愛想を尽かされようがまだまだめげません。
レットが出て行ったドアにすがりつき、ひとしきり泣き崩れたあとおもむろに顔を上げ、
まあえっか。
レットは必ず取り戻す。
でもどうやって戻ってもらうかは…
また明日考えよ。
いとおもしろし、いとおもしろし女性 なり(反復法)。
それでもメラニーが最強である理由を考察
これだけスカーレットはすごいすごいって書いておいて何ですけど、実は私が【風と共に去りぬ】で最強だと思っている人物は他にいます。
レットじゃないです。彼にはスカーレットだったり娘のボニーだったり、弱点もありますから。
まあお分かりですよね、アシュレーの妻のメラニーです。
「性善説」が服着て歩いているような女性で、恋敵であるはずのスカーレットにも寛大に接し、この世に悪い人なんていないと思っているようです。
悪人が神の前でひれ伏すように、彼女の前では誰もが赤子同然。
浮浪者や娼婦、敗戦兵など、多くの人に分け隔てなく愛情を注いでいるので彼らからの信頼も厚く、実際メラニーが困った時力になってくれています。仮にスカーレットが困ってたって大抵の人は見捨てる。そう言う意味でも紛れもなく最強女子。
ただメラニーは人間として完璧すぎて、彼女視点では物語が成立しないでしょうけどね。事件が起こらない、波風が立たない。
影の主人公(?)メラニーにも注目してご覧ください。
映画【風と共に去りぬ】の感想一言
登場人物の恋愛模様だけにしぼって書きましたが、舞台は南北戦争真っただ中。
かなり控えめに描かれていますけど、南部のお嬢様であるスカーレットの黒人使用人に対する態度も怖い…。
ムチでピシパシまではしないものの、やっぱり「人」としては扱っていないようです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。