1997年/アメリカ/監督:ジェームズ・キャメロン/出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、ビリー・ゼイン、デビッド・ワーナー、フランシス・フィッシャー、ダニー・ヌッチ、ビル・バクストン、グロリア・スチュアート、キャシー・ベイツ、ヴィクター・ガーバー/第70回アカデミー作品・監督・歌曲・劇映画音楽・音響編集・録音・美術・撮影・衣裳デザイン・編集・視覚効果賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
公開当時私は20歳そこそこ…若い人達はご存知ないと思いますが、当時の大フィーバーたるや凄まじかったんですよ。
3時間を超える長編映画ですが、前半は身分違いの恋を描いた甘いラブストーリー、後半は沈む客船を前に右往左往する人々を描いたパニック・アクション(もしくはヒューマン・ドラマ)と、氷山にぶつかった前と後とで全く違った様相を呈するので、飽きることもダレることもなく一気に鑑賞することができます。
興行収入もギネス級ですが上映期間も半端なかった。調べてみても今やはっきりとした情報がなく分からないのですが、私の記憶では1年くらいは上映していたような…。
だって私、映画館で3回観ました。
VHSも買った。ビデオねビデオ。当時DVDは余り普及しておりませんでして。
最近は趣味嗜好の多様化が進んでいるのでこんな超ロングラン現象はすっかり見られなくなりましたね。バブル経済が崩壊して数年後のエンタメ大フィーバーです。
「ヒットしたのは知ってるけど実際中身はどうなんよ中身は~」と思っている方もいるかも知れません。
公開後タイタニック号沈没の犠牲者の遺族から抗議を受けたり色々と問題もあったようですが、それでも私は間違いなくこの映画の大ヒットには大ヒットたる所以があったと思っています。
何度観たか数え切れません。
【タイタニック】です。
映画【タイタニック】のあらすじザックリ
映画【タイタニック】が獲得した賞をおさらい
作品賞、監督賞、歌曲賞、劇映画音楽賞、音響編集賞、録音賞、美術賞、撮影賞、衣裳デザイン賞、編集賞、視覚効果賞
作品賞、監督賞
作品賞、最優秀男優賞
その他、もろもろ。
公開年1997年と翌年1998年の映画関連の賞レースは総なめにしてんちゃうんかって勢いで受賞してます。今やラブソングの代名詞的名曲となった主題歌「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」の大ヒットも忘れてはなりませんしね。
メジャーすぎる映画は嫌悪して観ないというポリシーの方を稀に見かけますが、【タイタニック】がメジャーになるにはそれなりに理由がちゃんとあって、受賞についても獲るべくして獲ったと思います。
世の中には秀抜であるにもかかわらず世間の評価が低く、日の目を見ない作品などいくらもあります。そのような作品の方が多いのかも知れません。
反対に何か大きな裏のチカラが働いて、稚拙な作品が過大な評価を受けることもあります。
おはこんばんちは、朱縫shuhouです。 先日歴代アカデミー賞で最優秀作品賞に輝いた全90作をずらりとランキングした記事を書きました。[sitecard subtitle=関連記事 url=http[…]
しかし【タイタニック】の評価は妥当でしょうよ。
主演のレオナルド・ディカプリオがアカデミー主演男優賞を獲れなかったことだけが悔やまれます。その後彼は第88回アカデミー賞で主演男優賞を獲得するまで何度も辛酸を舐める運命になるので。
良い演技してたのにね、ミーハーすぎるか。
ローズばあちゃんの昔話
歴史に残る大記録を成し遂げた物語の幕開けは、現代から。
潜水マッスィーンを使って深海に沈むタイタニック号の財宝を見つけようとしているトレジャー・ハンティング集団。
やっとの思いで引き上げた金庫には宝石はなく、宝石だけを身につけた裸体の女性のデッサン画が入っています。
その肖像の女性こそが【タイタニック】の主人公の一人、ローズ・デウィット・ブケイター(ケイト・ウィンスレット)。
今では100歳を超える老婆(グロリア・スチュアート)です。
自身のデッサン画が見つかったことを知ったローズはトレジャー・ハンティング集団の元へ訪れ、ぽつりぽつりと昔話を始めるのでした。
超豪華客船タイタニックに乗り込む人々
出発の日の港のシーンも超豪華。
何億?え?
このシーンだけでも億?億ドル?って感じ。
エキストラ1人に1000円ずつ払ったとしてなんぼになるんやろう…。
こんな下世話なこと考えながら観る余裕がまだまだありますよ、この辺までは。
2,224人の乗客と見送りの人々や港の作業員などでごった返す中、主人公の二人は別々にこの世界最大級の豪華客船に乗り込みます。
テンションが正反対のローズとジャック
どんなけ日光遮りたいねん、とツッコみたくなるくらいツバのでっかい帽子を被って婚約者のキャル(ビリー・ゼイン)と母(フランシス・フィッシャー)に手を引かれ現れた若きローズ・ブケイター。
ローズは破産寸前のブケイター家を救うため、この航海の後キャルと財産目当ての結婚を強要される運命にありました。
登場して数秒後から悲壮感が半端ない。
一方、本来であればタイタニックの乗船券など手に入るはずもなかった貧しい青年ジャック・ドーソン(レオナルド・ディカプリオ)は、幸運にもポーカーで手に入れた乗船券を握りしめ、友人のファブリッツィオ(ダニー・ヌッチ)と共に熱狂的興奮状態で出港直前の船に飛び乗るのです。
明日を生きる心配か、明日生きていても仕方がないと憂うのか
根無し草で明日の宿も食べ物も約束されていないジャックからしてみれば、上流階級の娘として生まれて何不自由ない暮らしをしている高嶺の花と映るであろうローズ。
でもローズにとって破産寸前のブケイター家のしきたりや生活は息苦しい以外の何ものでもありません。
わかるわかる、私、あっち(上流)側の人種やから。
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嘘です。
こっち(庶民)側です。
生きていくために必要な衣食住の心配はなくても、あっち(上流)側の生活にはやってはいけないことだらけ。日々同じリズムで同じ会話を繰り返し、当たり障りなく単調な生活に甘んじる。
この結婚によってこの先の人生のすべてが見えてしまったローズは、進む船から飛び降りることを決意します。
突発的に甲板から海に身を投げようとしているローズを見つけた貧しくとも抜群の「生きる力」を持つジャックは、見事な機転を利かせてローズを救うことに成功。
彼らは少しずつ運命の糸を手繰り寄せ、紡ぎ始めます。
まるで何年も前から一緒にいたかのようにお互いを理解し愛を深めるのです。
公開当時「タイタニックごっこ」をするカップルが続出
はい出ました。
この辺りで伝説の「アイムフラ~イング!(空を飛んでるわ!)」が出てきます。
ポストカードも持ってたし、彼氏と船に乗ればやってたし、何回観ても「ほえー…」っとなりますよやっぱり。
今ではちょっとしたネタ的に使われることも多くなってきてしまったこのシーン、当時大真面目にマネしてたカップルは私だけではありません。
みんなやってたよ(絶対)。
「前方に氷山発見!!」
今までの甘いラブストーリーのムードは一変し崩れ去ります。
巨大なタイタニック号は、ほんの少し氷山に接触。
船の上から見ると一体何が起こったかも分からないほどにほんの少し。
乗客はまだ夢の中。
乗員にもまだ焦っている様子は見えません。
でも確実にこの瞬間から、大勢の人間の夢と希望を乗せたタイタニック号の深海への旅は始まったのです。
ゆっくりと、しばらくは誰も気づかないまま、ゆっくりと。
ハナの利くジャックは船員の表情や状況からすぐに異変に気付き行動を起こします。
この時点ですでに映画が始まって2時間くらいは経っているはずですが、全然時間の長さを感じません。ここからは息つく間もなく物語が展開します。
沈没寸前のタイタニック号に様々なドラマが
重責を背負って死を選ぶ人々
豊かな白髭を蓄えたタイタニック号の経験豊富な船長(バーナード・ヒル)は、操舵室で静かに最後を迎えます。
ローズが信頼を置くタイタニック号の設計士アンドリュース(ヴィクター・ガーバー)は緻密な設計の全責任を請け負っていただけあって誰よりも早く船の危機を察知し、乗客の避難を促したのち自身の設計した船と共に沈みます。
最後まで音楽を奏でた音楽隊
沈みゆく船の甲板でパニックが少しでも鎮まるようにと最後の最後まで演奏し続けた音楽隊。
最後にバンドマスターの男性が「君らと演奏できたことを誇りに思う」と言い残すシーンにぐっときます。
救命ボートから沈みゆく船を見つめるしかできない人々
初期の段階で救命ボートに乗ることができたジャックの恩人マーガレット・“モリー”・ブラウン(キャシー・ベイツ)は、海の上から船の惨状を呆然と見つめます。
ボートの上から海に投げ出された乗客を助けに戻れと船員に詰め寄ったのは彼女だけでした。
海に投げ出されても懸命に生きようとする人々
そしてジャックとローズは沈んでいくタイタニック号から海に投げ出され…
ここにいます。
ジャックの名言と「生きる力」
「生命力」とはまた少しニュアンスが違いますよね。
「生きる力」。
私は【タイタニック】を通じて、ジャックと云うキャラクターからこの「生きる力」をバシバシ感じます。
彼は何があろうと絶対に諦めません。
もう最後だからと言わんばかりに弱音と別れの言葉を口にするローズに、何度も何度も言い聞かせます。
生き延びて子供をたくさん作るんや。
死ぬのはこんなとこやない、暖かいベッドの上や。
絶対に諦めんな。
俺のために絶対に生き抜くって約束してくれ。
公開当時、二十歳やそこらの私には(今でもだけど)このジャックの言動は、理解しがたいものがありました。
私だけが助かる?
絶対いや。
私だったらジャックと一緒に深海へ沈みたい。
安っぽいですよホントに、私の愛みたいなもんは…。
ローズもまたジャックを理解し想いを汲んで、凍死したジャックの腕を引き剥がし沈む彼を見送ったあと、死に物狂いで(懸命に、なんてものじゃない。文字通り死に物狂いで)助けを求め生き長らえるのです。
その後のローズの人生は詳細に語られる訳ではありませんが、彼女が肌身離さず持ち歩いている思い出の写真を見れば想像がつきます。
写真に映るのは 窮屈なドレスを脱ぎ捨て馬にまたがり笑顔を見せる彼女の姿。
結婚もして子供にも孫にも恵まれ、今では100歳を超える元気なおばあちゃん。
ローズはジャックとの約束を守ったのです。
ローズおばあちゃんの回想であったことを忘れるほど
美しく碧い輝きは同じであれ、その瞳からズームアウトするとそこには往年のローズではなくシワシワのローズおばあちゃんがいて、はっと気づきます。
「回想やったっけ…」
3時間超えの時間も、回想であったことも、すべて忘れてしまうほど没頭できる名画だと思います。
映画【タイタニック】の感想一言
月並みな映画ではありますが、私はホントに大好きです。
でも今まで【タイタニック】が好きって言ってる男性にはお目にかかったことがありません。
個人的にはラブストーリーに留まらない名作だと思っているんですけど、やっぱり男性からすれば少々甘ったるいのでしょうか?
ちなみに【タイタニック】公開後の2003年には、ジェームズ・キャメロン監督自らが潜水艇に乗り込み沈んだタイタニック号の内部を撮影したドキュメンタリー映画、【ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密】が公開されています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。