1982年/アメリカ/監督:テッド・コッチェフ/出演:シルベスター・スタローン、リチャード・クレンナ、ブライアン・デネヒー、ビル・マッキニー、パトリック・スタック、ジャック・スターレット
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
本日の映画は【ランボー】です。
1980年代を生きた世代ならまあ知らない人はいないでしょう。
2008年に20年ぶりのシリーズ最終話【ランボー/最後の戦場】が公開されたましたから、今はもっと若い人にも知られているのかしら?
さて、「ランボーシリーズ」といえば、一般的な世間の認識は「ベタなヒーローアクションもの」ですよね。「ランボーシリーズ」を観たことない人のイメージね、イメージ。
確かに二作目【ランボー/怒りの脱出】と三作目【ランボー3/怒りのアフガン】はベタなヒーローアクションで間違いありません(四作目【ランボー/最後の戦場】はまたこれともちょっと違う)。
1985年/アメリカ/監督:ジョージ・P・コスマトス/出演:シルヴェスター・スタローン、リチャード・クレンナ、チャールズ・ネイピア、スティーヴン・バーコフ、ジュリア・ニクソン、マーティン・コーヴ、アンディ・ウッド注※このサイ[…]
1988年/アメリカ/監督:ピーター・マクドナルド/出演:シルヴェスター・スタローン、リチャード・クレンナ、カートウッド・スミス、マーク・ド・ジョング、スピロス・フォーカス、サッソン・ガーベイ注※このサイトは映画のネタバレし[…]
しかし実は一作目の【ランボー】だけは他の三作とはまったく違う次元におわす映画です。
その証拠に「ランボーシリーズ」を観た人は、「【ランボー】が好きな人」と「【ランボー/怒りの脱出】と【ランボー3/怒りのアフガン】が好きな人」の二極に綺麗に分かれます(公開当時の管理人の友人調べ)。
私ですか?
私はもちろん【ランボー】が一番好きです。
【ランボー/怒りの脱出】も【ランボー3/怒りのアフガン】も嫌いではないですけどね。スカッとするし笑えるんで。
【ランボー/最後の戦場】は問題外。二度と観ない。
映画【ランボー】のあらすじザックリ
ベトナム帰還兵ジョン・ランボー
ベトナム戦争の英雄ジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)は、退役後、山あいの小さな町のはずれにあるかつての戦友の家を訪ねます。「僕は息子さんの友人です。戦場で一緒でした」と丁寧に挨拶をしてにこやかに話しかけるランボーに対して、なぜだか終始不機嫌な面持ちの友人の母親。
母親を信用させるため、ランボーは戦場で友人と一緒に撮った写真を差し出します。
ほら、これが息子さんでしょ?
こっちに写ってるのが僕ですわ。
…で、あの、息子さん、どこにいてるんですか?
母親は浮かない表情のまま答えます。
…死んだんよ。
戦争の時の化学兵器の後遺症でがんになって…。
この友人の死はつまり、ランボーが部隊で唯一の生き残りになってしまったことを意味しました。
ランボーは気の毒なほどに肩を落とし、その場をあとにするのでした。
【ランボー】の原題【First Blood】の意味について
放心状態のランボーがたどりついた山のふもとの小さな田舎町。
フラフラと歩いているよそ者のランボーに目をつけたのは町の保安官ティーズル(ブライアン・デネヒー)。いきなり威圧的なティーズルはランボーにパトカーに乗るよう命令し、そのまま遠く離れた町はずれで彼を降ろします。
理由は、ランボーが「何かしでかしそうだから」。
「俺の町で面倒を起こしてくれるな、さっさと出て行け」ってことです。もちろんランボーは町でただ食事をとろうとしただけ。
納得いかないランボーはティーズルのパトカーを追うように再び町へ歩き始めます。それに気付いたティーズルはランボーを引き止め、サバイバルナイフの不法所持を理由にランボーを逮捕しよるんですね。この保安官アホでしょ?
ビビるのはティーズルだけがアホなのかと思ったら彼の部下である助手たちも全員アホだったってこと。
閉鎖的で平和な田舎町のアホ保安官たちはよってたかってよそ者のランボーをいびりにかかります。
「体を洗う」という名目でランボーが消火ホースで放水される虐待シーンは特に有名ですね。
ところで、映画【ランボー】の原題はそのまま【Ranbo】ではないことをご存知ですか?
原題は【First Blood】で、意味するところは「先制攻撃」。
作中字幕に「先に仕掛けたのは向こうだ」という言葉が出てきますが、これこそがまさにタイトル。
このアホどもが元グリーンベレーの英雄に「先制攻撃」なんか仕掛けたもんだから、町じゅう、いやアメリカ全土は大騒ぎ。
ケンカは相手見て売りましょう。
元グリーンベレーの英雄の反撃
アホの保安官たちの隙をついて警察署から脱出したランボーは、近くの山へ逃げ込みます。
嬉しそうに山狩りに精を出すアホの保安官たち。
彼らは当然ランボーが何者かなんてまだ知りません。ただの風来坊だと思っておちょっくてたランボーがいくつも勲章をもらったベトナム戦争の英雄だと知った時のアホどもの表情は一見の価値あり。
ランボーはその経歴が示す通りの無敵の兵士。
ゲリラ戦の勇士に山中でコテンパンにやられて悔しがるティーズル率いるアホ軍団の前に現れたのは、かつてのランボーの上官サム・トラウトマン大佐(リチャード・クレンナ)。
ランボーが何やら騒ぎを起こしていると聞いて駆け付けたトラウトマン大佐の現場での第一声が、これまでの視聴者のうっぷんを一気に晴らしてくれます。
大丈夫?
いやいや、ランボーとちゃうよ、あんたらがよ。
あんたら、ランボーと戦ってよう生きてましたなあ。
見たかコラー!
誰にケンカ売っとんじゃボケーっ!
ランボーのラストの字幕全文
こうしてトラウトマン大佐が造り上げた“無敵の殺人マシーン”ランボーの反撃が始まるわけなんですけども、映画【ランボー】が大衆に伝えたかったのはランボーの強さではありません。当然ボディビルディングで鍛え上げられたシルヴェスター・スタローンの肉体美でもないし、戦争賛辞の映画でもない。
【ランボー】が訴えたいことというのはつまるところラストのランボーのセリフに完璧に集約されています。
これが言いたいがために【ランボー】は、田舎のアホ軍団の虐待を描き、軍人と一般市民との乖離 を描き、ランボーのサバイバルを描いたのです。
以下に映画の核となるラストのランボーのセリフ全文を引用します。
何も終わっちゃいないんだ
俺にとって戦争は続いたままなんだ
あんた(=トラウトマン大佐)に頼まれて必死で戦ったが勝てなかった
そして帰国して空港で非難ごうごうだ
赤ん坊殺しとか悪口の限りを並べやがった
あいつらは何だ?戦争も知らんくせに!頭にきたぜ!
俺はな 世間じゃのけ者なんだ
戦場じゃ仁義があってお互い助け合った
分かるか
戦場じゃ100万ドルの兵器を任せてくれた
でもここじゃ駐車係の口もない!
惨めだよ
どうなってるんだ?
みんなどこだ?
空軍にも気の合う友達がいたよ
大勢戦友がいた
戦場には頼りになる親友がいた
ここには誰もいない
ダンを覚えてる?
あいつとはウマがあってよくバカ話をした
ラスベガスのこととか好きな車の話しなんか
あいつ赤いシボレーがお気に入りで2人でぶっ飛ばそうって…
憎いのはあのベトナムの子だ
靴みがきの箱を持って俺たちの所へ来た
ダンがその子にみがいてくれと頼んだ
そして俺がビールを取りに行った間のことだ
ダンが靴みがきの箱を開けたら爆発した
彼の手足がバラバラになって吹っ飛んだ
肉が俺にへばりついてもうめちゃめちゃだ
血まみれになって手当したよ
でも内蔵がはみ出してきた
誰も助けてくれない
彼は言った
家へ帰りたい帰りたいと言って泣いた
俺は彼のちぎれた脚を捜したんだ
でも見つからない
まるで悪夢だった
もう7年になるが毎日思い出す
悪夢にうなされて—————自分が自分でなくなるんだ
そんなことが丸一日も一週間も続く
どうにもならない
出典:【ランボー】字幕
映画【ランボー】の感想一言
戦場の直接描写がないので納得いかない人もいるでしょうが、私は【ランボー】を「ベトナム戦争映画ベスト2」に挙げます。
だってつらすぎるでしょう。
愛国心を持って戦場に赴いたのに、帰ってきてもその愛する祖国の人々に歓迎されないだなんて、つらすぎますよ。
ただベトナム戦争を生き抜いた屈強な兵士を描くんじゃなく、このベトナム帰還兵の悲哀や怒りや哀しみに焦点を置いた【ランボー】は秀作だと思います。
ちなみに「ベトナム戦争映画ベスト1」に挙げるのは【プラトーン】です。ベタやって?ええベタに。ベタすぎてごめんやけども。やっぱりあの映画は外せへんわ。
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