1964年/アメリカ/監督:ジョージ・キューカー/出演:オードリー・ヘプバーン、レックス・ハリソン、スタンリー・ホロウェイ、ウルフリッド・ハイド=ホワイト、グラディス・クーパー/第37回アカデミー作品・監督・主演男優・編曲・録音・撮影・美術・衣裳デザイン賞受賞
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オードリー・ヘプバーンのファンってちょいちょい偏執的な人がいませんか?
特に女性に多いような気がします。私はこれまでの人生で少なくとも3人はそういう人に会ったことがあります。
中でも中学の時の同級生にオードリーオタクみたいな女の子がいて、ブロマイドやポストカードやビデオを収集し、晩年の彼女の慈善活動を熱く語り、それはもう熱狂的だったのをよく覚えてます。
当時オードリー・ヘプバーンに全く興味がなかった私は「へえ~…」って白けてたもんですけど、やっぱりオードリー・ヘプバーンは観れば観るほど、知れば知るほど凄い人でしたよね。
そんなオードリー・ヘプバーンがただ美しいだけのお人形さんではない確かな演技力を見せつけたミュージカル映画、【マイ・フェア・レディ】です。
映画【マイ・フェア・レディ】のあらすじザックリ
花売り娘イライザの品のなさが最高な映画
後半、どこぞの王族かと見紛うほどレディ然として振る舞うオードリー・ヘプバーンももちろん素敵ですけどね。
【ローマの休日】の時の王女アンを観ちゃうとね、あっちは「まるで王女みたい」じゃなくて本物の王女ですから。
1953年/アメリカ/監督:ウィリアム・ワイラー/出演:グレゴリー・ペック、オードリー・ヘプバーン、エディ・アルバート、ハーコート・ウィリアムズ、マーガレット・ローリングス/第26回アカデミー主演女優・原案・衣裳デザイン賞受賞[…]
それよりも【マイ・フェア・レディ】におけるオードリー・ヘプバーンの魅力は、下品で粗野な花売り娘を演じてる時に大爆発してると思っています。
花売り娘イライザ・ドゥーリトルに扮したオードリー・ヘプバーンは、「これがあのオードリー?!」と目を疑うほどの変貌ぶりを見せるんです。特殊メイクでもしてるんでしょうか、ボロを着てよろよろと猫背で花を売り歩く姿は老女さながら。
オードリー・ヘプバーンのイメージからかけ離れているのはその見た目だけではありません。
降り出した雨を避けて全力疾走で通行人に激突したイライザは、「中身」がオードリーであることを見失ってしまうくらい衝撃的なひと言を発します。
我が耳を疑うあまり一言一句復唱せずにはいられない。
外見がみすぼらしければ心も貧しい花売り娘。
お~い。
“銀幕の妖精”オードリー・ヘプバ~ン。
どこや~。
そんなイライザに興味を持った紳士が一人。
言語学者のヒギンズ教授(レックス・ハリソン)は友人のピカリング大佐(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)と賭けをします。
お題は「イライザを一人前のレディにすることができるかどうか」。
誰にも疑われることなく「レディ」として舞踏会に参加できればヒギンズ教授の勝ち。ホントはガラが悪いのがバレちゃったらピカリング大佐の勝ち。
習ったるから教えんかい。
でも1ペンスしか払わへんからな!
しかし当のイライザは「言葉遣い教えてあげよう」というヒギンズ教授にもこの態度。
あの外見から繰り出されるこのガラの悪い言葉が新鮮で面白く、私はレディに変貌してからのイライザよりこっちのイライザの方が好きです。何となく親近感沸くし。
よし、教養はあとにしようか
元があんなんなものですから当然苦労はするものの、一度コツをつかむとみるみる訛 りを克服していくイライザ。
ヒギンズ教授は舞踏会の前哨戦として、紳士淑女が集まる競馬場へイライザを連れて行ってみることにします。
透明感抜群の美しい外見とエレガントな振る舞いは合格点。
ただし会話の内容はやっぱりトンチンカン。
…うん、よし。いっぺん帰ろ。
教養はちょっと、な。
ぼちぼちな。
この辺りになってくるとさすがに「下町の花売り娘」はすっかり影を潜め、オードリー・ヘプバーンの安定の名コメディエンヌっぷりが炸裂してきます。他の作品でもよく見られる定番のあの感じです、あの感じ。
レディだろうが花売りだろうが変わらないこと
舞踏会で誰にも怪しまれないほどのレディに成長したイライザは、別れが近くなって初めてヒギンズ教授に惹かれていることに気付きます。
でもヒギンズ教授は自分がレディになっても喜んでも褒めてもくれない。
どんな大勢の高貴な人達に認められようと褒められようと、レディだろうが花売りだろうが「女性」として自分を見て欲しいのは一人だけ。
頑張って言葉遣いを治したのも、美しく着飾り所作を学んだのも、すべてはたった一人に喜んで欲しいから。
コメディタッチに描かれる本編からラスト数分の甘く切ない乙女心まで、完璧に演じ抜く妖精オードリー。
そりゃ熱狂的ファンも生み出すわ。
映画【マイ・フェア・レディ】の感想一言
ちなみに作中のオードリー・ヘプバーンの歌声は(ほぼ)吹替です。歌っているのは【王様と私】でデボラ・カー、【ウエスト・サイド物語】でナタリー・ウッドの吹替も行った“稀代のゴーストシンガー”マーニ・ニクソン。
【ティファニーで朝食を】の“ムーン・リバー”で見事な歌声を披露してくれたオードリーなら吹替なしで行ってくれても良かったような気もしますけど、全幕歌唱となるとやっぱりプロじゃないと厳しいんだね。
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