1947年/アメリカ/監督:オーソン・ウェルズ/出演:リタ・ヘイワース、オーソン・ウェルズ、エヴェレット・スローン、グレン・アンダース、テッド・デ・コルシア
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
怪物オーソン・ウェルズの【オーソン・ウェルズINストレンジャー】の次の作品。
主人公の頑健な男マイケル・オハラをオーソン・ウェルズが、そのマイケルを惑わす謎多き美女エルザ・バニスターを撮影時ウェルズの妻であったリタ・ヘイワースが演じています。
撮影時すでに別居状態だったとは言うものの、やたらにリタ・ヘイワースのアップが多いのはオーソン・ウェルズが彼女に夢中だったことと無関係でもないでしょうよ、【上海から来た女】です。
映画【上海から来た女】のあらすじザックリ
オーソン・ウェルズとリタ・ヘイワースの不気味なフィルム・ノワール
主人公のマイケル・オハラ(オーソン・ウェルズ)以外の登場人物全員が何を考えているのかよく分からない不気味な映画。
かつて素手で人を殺したこともあるという怪力のマイケルは、ある夜見かけた謎の美女にどうしようもなく惹かれてしまいます。少々強引にナンパしようとするさなか、彼女に夫があることを知って一気に萎えるマイケル。
ここちょっと笑うんですけど、マイケルって「旦那がおろうが関係あるかい!俺の女になれ!」とでも言い出しそうな風貌してるくせに「旦那がおるんか…?!」とか言って意外とすんなり身を引こうとするんですよね。
この態度で彼が思いの外“常識人”であることがうかがい知れます。
知らないのは自分だけ?みんな「何を知ってる」の?
「分からない」のは他の連中。件 のマイケル以外は本当に何を考えているのかさっぱり分からない。
なんかみんなが「変」なんですよ。
あの夜の謎の美女エルザ・バニスター(リタ・ヘイワース)は「マイケルを愛してしまったフリをして夫である著名な弁護士アーサー・バニスター(エヴェレット・スローン)の殺害を企てるファム・ファタール」…という設定以上に 謎だらけ。
電話一本でチャイナタウンの怪しげな中国人を操れるだなんて、一体何者なのこの女?
私の妻(=エルザ)は若く美しい。
そしてマイケル、君は逞しい。
カメレオンみたいにギョロリとした大きな目でマイケルとエルザを交互に見つめながら、妻エルザの浮気を容認するとも取れる発言をする足の不自由な弁護士バニスターも底知れなくて気持ち悪い。
エルザが自分と結婚したのは金目当てであることはおろか、エルザが遺産目当てに自分の命を狙っていることさえも承知していそうな雰囲気なのに、そこまでしてどうしてエルザと一緒に居たいのか。「無茶苦茶愛してる!」って感じでもないのにですよ?
バニスターの相棒ジョージ・グリズビー(グレン・アンダース)はいつもジットリ汗をかいた顔面に下品な笑顔が張り付いていて不快指数マックス。
何がおかしいのお前?なんでいつもニタニタ笑ってんの?
最高潮にモヤモヤするのは殺人の罪を着せられたマイケルの裁判の場面。
この裁判が実に奇妙なんです。
被告(=マイケル)の人生がかかっていると言うのに、陪審員が花粉症(かどうかは知らんけどめっちゃ鼻をかむ)だったりゲラゲラ笑ったりして、不謹慎極まりないんですよ。裁判長なんか評決が出るまで見晴らしの良い部屋でチェスをして遊んでいたかと思ったら、評決が出たら出たで口臭予防のマウススプレーをコミカルな手付きでシュパシュパやっちゃったりしてね?
なんなのみんな?
みんな「何を知ってる」の?
ラストのミラーハウスでの斬新な演出(当時)が有名な映画ですが、ミラーハウスに入らずとも終始「自分以外は全員イカれてるおかしな世界」に迷い込んだような感覚になる不気味な映画です。
映画【上海から来た女】の感想一言
さてはウェルズ……。
「水着の上に男物のジャケットを羽織ってキャプテン帽かぶってるリタ・ヘイワース」(←最っ高)を見せびらかしたかっただけやな…?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。