1939年/アメリカ/監督:ジョン・フォード/出演:ジョン・ウェイン、クレア・トレヴァー、トーマス・ミッチェル、ジョージ・バンクロフト、ジョン・キャラダイン、アンディ・ディバイン/第12回アカデミー助演男優・音楽賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
「西部劇と言えばコレ」ってほど有名な不朽の名作。
1939年ですよ、公開。
何年経っても何回観ても色褪せませんねホントに。
駅馬車(えきばしゃ)は、通常は4頭立ての馬に牽引された旅客や貨物を輸送する屋根つき馬車の一種である。鉄道が普及する前に広く用いられ、駅馬車で旅行する人たちの休息の場所となっていた英語で stage や station と呼ばれる施設の間を定期運行していた。
出典:Wikipedia
様々な事情を抱えた乗客を乗せ、アパッチ族襲撃の危険と隣り合わせの旅路は続く。
【駅馬車(1939)】です。
映画【駅馬車(1939)】のあらすじザックリ
荒野を進む駅馬車の乗客は曲者だらけ
ニューメキシコ州ローズバーグへ向かう駅馬車がアリゾナ州トントを出る時の乗客は全部で6人。
御者のバック(アンディ・ディバイン)と保安官のカーリー(ジョージ・バンクロフト)は馬車の上に乗ります。
あちこちでジェロニモ率いるアパッチ族の襲撃事件が起こっていたため、少々危険な旅となりそうです。
【駅馬車】は西部劇でありながら登場人物の境遇や心の機微が繊細に描かれているのが特徴。
狭い馬車の中にお互い素性も知れない6人もの乗客が押し込められている様にはちょっと手に汗握ります。
まず貴婦人ルーシーと銀行家ゲートウッドは娼婦ダラスをよく思っていないし、ルーシーをひと目見て「天使だ」などと正気を疑うセリフを吐いていた賭博師ハットフィールドはルーシーだけに紳士的な振る舞いをして同じ女性であるダラスは完全無視。アル中のブーン医師は酒商人ピーコックのカバンの中の酒をくすねようと狙ってる。
これから長い旅になるというのに和気あいあいとしてるのは御者バックと保安官カーリーくらいのもので、こんな気まずい空間で何時間もケツの痛そうな駅馬車に揺られなければならない状況を自分に置き換えて考えてみるとなんだかゲッソリ…。
スマホいじってるわけにも行かへんし…。
寝たフリやな…。
馬車の前に現れた脱獄囚リンゴ・キッド
荒野を行く駅馬車の前に突然現れたのは、銃を担いだ脱獄囚リンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)。
若くてもやっぱりジョン・ウェインの声は最高。好き。
ところでリンゴって、脱獄囚で懸賞金500ドル賭けられてるお尋ね者なのは間違いないんですけど、そもそもどうして捕まってたんでしたっけね?誰もそこには触れてなかったような…。
まあとにかく、リンゴは荒くれ者のプラマー三兄弟に牧場主だった父親と弟を殺されていて、脱獄してまでシャバに出てきた目的は彼らへの復讐。
お尋ね者だけど肉親の復讐のために立ち上がるダークヒーロー(ダークて感じでもないけど)っていうこのベタな設定が良い。
プラマー兄弟がいるらしいローズバーグへ行きたいリンゴは、そのまま駅馬車に乗り込んできます。
馬車の中にはすでに6人も乗客がいるってのに一体どうやって乗るのかと思ったら、まさかの大男リンゴが地べたに座ると言う展開。リンゴかわいい。さながら電車で地べたに座る若者よ。最近あんまり見なくなったね。
リンゴはブーン医師を除いた乗客みんなが腫れ物のように扱うダラスにもあっけらかんと接します。
ルーシーやハットフィールドがダラスを避けてることに絶対気付いてるはずなのに(ダラスの近くの席から移動したりダラスに水をあげなかったり…露骨すぎ)、ごく自然に彼女を女性として扱うリンゴが眩しいのですよ。
そしてそのリンゴを見つめるダラスの恋する瞳ね。そりゃ惚れちゃうわ。
西部劇でこれほどデリケートな人間模様や恋模様を観せてもらえるとは…と驚いたものです。
アパッチ族VS駅馬車、プラマー兄弟VSリンゴの二極
くるぞくるぞ…とういう不穏な影を落とすだけ落として中々出てこないアパッチ族は、あとわずかでローズバーグへたどり着こうかという時に満を持して襲い掛かってきます。
有名なアパッチ族との戦闘シーンは死ぬまでに一度は観ておいた方がいい。
マジで。
いくらCGや3Dの技術が向上したところで、この場面の力感あふれるダイナミックな描写に敵うものではないでしょうよ。
アパッチ族を狙撃するリンゴを屋根の上に乗せ全力疾走する駅馬車。
そしてカメラの横でメガホン持って並走しているであろうジョン・フォード監督を想像すると鳥肌が立ちます。
これが映画ですよ!(語彙無し)
かっこいい~っ!!
執拗に追ってくるアパッチ族を振り切れず、もうダメだと思った時に響く騎兵隊のラッパとかね。
これが西部劇ですよ!(語彙無し)
そして無事ローズバーグにたどりつき、たった一人でプラマー三兄弟に立ち向かうリンゴ。
無理やわ!
3対1で勝てるわけないやん!
リンゴは勝てへん…。
逮捕して刑務所に入れておくのが一番安全なんや…。
はいよく聞いておきましょうね?これらのセリフは全てフリですよ。
勝てない・負ける・無謀だと、存分に刷り込んでおいて、まあ~秒速で勝つと。
プラマー三兄弟と撃ち合う瞬間、自分から前方にすべり込むリンゴにはちょっと笑ってしまうんですけど。リンゴは早撃ちではないしエモノも拳銃じゃなくてライフルだから仕方ないんですね。
そして「ブーン医師もカーリー保安官も本当はリンゴが大好き」って言うオチがもう荘厳すぎて恐れ多いぐらい。こんなに粋でおしゃれな終わり方の西部劇には、あとにも先にも出会ったことがありません。
映画【駅馬車(1939)】の感想一言
西部劇を観たことがなくて、どれから観ようか決めあぐねている人がいたら、私は迷わずこの【駅馬車】を勧めます。
人間ドラマも恋模様もアクションもふんだんに盛り込まれていて、「インディアン」や「騎兵隊」といった西部劇にかかせないファクターの描き方も良い意味でセオリー通り。
そしてジョン・フォード監督とジョン・ウェインという黄金コンビを最初に知っておくと、これ以降に観る西部劇の観方も変わってくると思います。死ぬほどおすすめ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。