ダイヤルMを廻せ!タイトル

映画【ダイヤルMを廻せ!】“M”の意味とあらすじと観た感想

ダイヤルMを廻せ!タイトル

1954年/アメリカ/監督:アルフレッド・ヒッチコック/出演:レイ・ミランド、グレース・ケリー、ロバート・カミングス、ジョン・ウィリアムズ、アンソニー・ドーソン

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

首を絞められるグレース・ケリー
©Dial M for Murder/ダイヤルMを廻せ!より引用

この映画を観ていつも疑問に思うこと。

それは「首を絞められて息も絶え絶えの女性がハサミで背中を刺したくらいで健康な成人男性が死にいたるのか」ってこと。

斧を力いっぱい振りかぶるとか、ハンマーで頭殴るとかなら分かるけど、裁縫用の普通のハサミで背中を一回刺したくらいですぐ死ぬなんてありえないよね?

 

まあアルフレッド・ヒッチコックの映画はこれ以外にも結構あっさり人が死んだりするけどね。

【ダイヤルMを廻せ!】です。

 

 

 

映画【ダイヤルMを廻せ!】のあらすじザックリ

プロテニスプレーヤーだったトニーは資産家である妻のマーゴとロンドンのアパートに住んでいる。マーゴが自分の留守中にアメリカ人の推理作家マイクと浮気していることを知ったトニーは、妻を殺害して資産を手に入れようと考え、緻密な殺害計画を練り上げる。

 

 

タイトルにある“ダイヤルM”の意味は?

若い人はダイヤル式の黒電話の実物なんて見たことないかも知れませんね。公衆電話もどんどん撤去されていきますし。

黒電話はプッシュ式じゃないんで当然メールはおろかポケベルのメッセージすらも送れません。

ポケベルが流行していた当時、家の電話が黒電話だった私は、ポケベルのメッセージを送信するために近くの公衆電話まで走って行ったりしていました。メッセージを送って家に帰ってきたら自分のポケベルに返事が来てるからその返事を送りにまた公衆電話に行く…みたいな不毛なことしてましたね。笑える。

ダイヤル式黒電話に書かれたアルファベット
©Dial M for Murder/ダイヤルMを廻せ!より引用

さてこのダイヤル式電話のダイヤル、ただ数字が書かれているだけの日本に対して、英語圏では数字+アルファベットが割り当てられています。

配列は現在の携帯電話やスマホに書かれているものとほぼ同じ。つまり「1」は無し、「2」に「ABC」、「3」に「DEF」、「4」に「GHI」、「5」に「JKL」、「6」に「MNO」、「7」に「P(Q)RS」、「8」に「TUV」、「9」に「WXYZ」(または「0」に「Z」)って感じですね。

どうしてこんな仕様になっているのかと言うと、英語圏の電話番号にはアルファベットが入っているものがあるから。

例えばスティーブ・ジョブズやiPhoneで有名なアップル社の米国サポート窓口の電話番号は“1-800-MY-IPHONE”で、数字に直すと“1-800-694-7466”となります。スマホで見てみると分かりやすいかも(最後の“E”は語呂合わせっぽい)。

 

【ダイヤルMを廻せ!】では、妻の殺害を謀る夫が作戦実行の合図として自宅に電話をかけます。

その時夫が最初にダイヤルするのが数字の“6”であり、奇しくもそこに充てられたアルファベットは「殺人」を意味する“Murder”の頭文字“M”である、どうよ、怖いやろが、という理由でタイトルに「ダイヤルM」が入っているんですね。

スワンに殺人を強要するトニー
©Dial M for Murder/ダイヤルMを廻せ!より引用

さらに殺しのターゲットである妻の名はマーゴ(グレース・ケリー)、その妻の浮気相手の名前はマイク(ロバート・カミングス)で、どちらもイニシャルが“M”だという偶然にも引っ掛けてあります、たぶん。

マーゴ’(グレース・ケリー)とマイク
©Dial M for Murder/ダイヤルMを廻せ!より引用

 

 

ほぼ密室劇の倒叙ミステリー

【ダイヤルMを廻せ!】は言うなれば「殺人(未遂)犯が主人公の『刑事コロンボ』」です。

犯人もその企みも事件の一部始終も、すべてを視聴者にバラしておいてから、事件を解決する刑事が現れる。それを犯人側目線 ・・・・・で描いています。

 

レイ・ミランドの演技がおもしろい

物語のほとんどが殺人現場となったアパートの一室で繰り広げられる「密室劇」の【ダイヤルMを廻せ!】。

視覚的変化が少ないのに退屈に感じられない理由は、心が離れてしまったつれない夫を見限って浮気に走る妻マーゴを演じたグレース・ケリーの美しさと、妻の殺害を大学時代の先輩に強要する狂気の夫トニー役のレイ・ミランドの 面白い演技 にあります。

面白い演技を見せるレイ・ミランド
©Dial M for Murder/ダイヤルMを廻せ!より引用

真面目に演じれば演じるほど面白い「メン・イン・ブラックシリーズ」のK(トミー・リー・ジョーンズ)にも通じるものがあるような気がするこのキャスティング。

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鍵屋に隠れてるフランク

こちらだけが何が嘘で何が真実かすべて分かった状態でシレっと嘘の上塗りを繰り返されると、相手がしらばっくれればしらばっくれるほどなんだか笑えてくる。

しらばっくれる演技を続けるトニー
©Dial M for Murder/ダイヤルMを廻せ!より引用
朱縫shuhou

バレてないと思ってるんやな…。

【ダイヤルMを廻せ!】でのコロンボ刑事に当たるハバード警部(ジョン・ウィリアムズ)がひと芝居打って、みんなで隠れてトニーの行動をうかがう場面なんてもうドッキリカメラですよ。まんまとトニーが罠にかかってくれた日にゃあ「(テッテレー!)大~成~功~!」てなもんですわ。

 

色んな意味で面白い映画です。

大学の同窓会の写真にドヤ顔で混じってるヒッチコックにも吹き出すこと請け合い。

ダイヤルMを廻せ!のヒッチコック
©Dial M for Murder/ダイヤルMを廻せ!より引用

初期の作品だとどこに出てるのか探すのが大変だったヒッチコック名物のカメオ出演も、この頃にはかなり分かりやすくネタ的に自分を押し出してきてるんですよね。

そしてこのドヤ顔が意外とカッコいいからまた笑える。

 

 

映画【ダイヤルMを廻せ!】の感想一言

朱縫shuhou

事件解決の鍵となるのは文字通り「部屋の鍵」。

この鍵は「閉める時は自動で閉まる」ようになっています。

鍵が必要なのは「開ける時」だけ。

 

だからトニーは、警察署へ行くため家を出る時には鍵が違っていることに気付かず、自宅へ戻って鍵を開けようとした時に初めて鍵が違っていることに気付いたということです。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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