1974年/アメリカ/監督:メル・ブルックス/出演:ジーン・ワイルダー、ピーター・ボイル、マーティ・フェルドマン、マデリーン・カーン、クロリス・リーチマン、テリー・ガー、ケネス・マース、ジーン・ハックマン
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
悲報。
ユニバーサル・ピクチャーズのモンスター映画の傑作「フランケンシュタインシリーズ」が、パロディ映画の巨匠メル・ブルックスの餌食になってしまいました。
「幼気な少女を小川に投げ入れるより家に投げ入れた方がオモロイのに…」とか?
「体中すべてがビッグサイズの怪物がさらに絶倫やったら女性が離さへんのに…」とか?
「偉大な先祖の実験器具で美人助手と情事に浸ったらええのに…」とか?
けしからん!
真面目に観ろ!
名作を汚すな!
思考回路どないなっとんねん!
おもろいやないか!
映画【ヤング・フランケンシュタイン(1974)】のあらすじザックリ
【フランケンシュタイン(1931)】の孫が再び怪物を創造するパロディ映画
本作の元ネタは以下の四作。
④に関しては作品そのものではなく、ヴィクトル・ユーゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」の主人公カジモドの、“キャラクターだけ”をパロっています。そもそも【フランケンシュタインの復活】に出てくるせむし男イゴール(ベラ・ルゴシ)がカジモドへのオマージュ的キャラクターで、【ヤング・フランケンシュタイン】のアイゴール(マーティ・フェルドマン)はさらにそのパロディ。
ちなみに「ノートルダム・ド・パリ」は何度も映画化されているのにどうして元ネタ一覧に【ノートルダムの傴僂男(1939)】をチョイスしたかと言うと、私の大好きなチャールズ・ロートンがカジモド役で主演しているから。安定の素晴らしい演技を見せてくれます。
【ヤング・フランケンシュタイン(1974)】は「コメディ」じゃなくて「パロディ」ですから、元ネタ(④以外)を観ていないことには残念ながら面白さは半減されると思います。
ぜひ元ネタをご覧になってから観ていただきたいところですけど、そんな古い映画観てられるかって人のために、【ヤング・フランケンシュタイン(1974)】に出てくる面白い人達を並べてご紹介いたします。
すでにご覧になった人にもこれから観ようと思っている人にも楽しんでいただければ幸いです。
1931年/アメリカ/監督:ジェイムズ・ホエール/出演:ボリス・カーロフ、コリン・クライヴ、ヴァレリー・ホブソン、メイ・クラーク、ジョン・ボリス、エドワード・ヴァン・スローン注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気に[…]
1935年/アメリカ/監督:ジェイムズ・ホエール/出演:ボリス・カーロフ、コリン・クライヴ、ヴァレリー・ホブソン、アーネスト・セジガー、エルザ・ランチェスター注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書[…]
面白い人①フレデリック・フロンコンスティン改めフレデリック・フランケンシュタイン
【フランケンシュタイン(1931)】で怪物(ボリス・カーロフ)を造り出した張本人ヴィクター・フランケンシュタイン(コリン・クライヴ)の孫息子フレデリック(ジーン・ワイルダー)。
脳外科医でボルチモアの医大講師も務めています。先祖の行い(父親のウォルフ・フランケンシュタイン(ベイジル・ラスボーン)も【フランケンシュタインの復活】で怪物を復活させている)を嫌悪していて、名前も科学の世界では悪名高い“フランケンシュタイン”ではなく米国読みの“フロンコンスティン”と名乗っています。
学生に「フランケンシュタイン先生!」と呼ばれるとめっちゃキレる。
この人の何が面白いのかと言うと、私にとっては演じているのがジーン・ワイルダーであることがすでに面白い。
【ブレージングサドル】や【夢のチョコレート工場】に出ていて、一時期すごくハマりました。この人ね、コメディとかパロディにめっちゃ出てるのに元コメディアンとかじゃないんです。今の日本で言うたらズバリ大泉洋みたいな立ち位置。「俳優なのに芸人並みにオモロイ」。
本作でも抜群のアホ演技で笑わせてくれます。
1974年/アメリカ/監督:メル・ブルックス/出演:クリーヴォン・リトル、ジーン・ワイルダー、ハーエイ・コマーン、マデリーン・カーン、スリム・ピケンズ、メル・ブルックス/第47回アカデミー助演女優・歌曲・編集賞受賞注※このサ[…]
1971年/アメリカ/監督:メル・スチュアート/出演:ジーン・ワイルダー、ピーター・オストラム、ジャック・アルバートソン、ジュリー・ドーン・コール、デニス・ニッカーソン、パリ・テメン、マイケル・ボルナー注※このサイトは映画の[…]
面白い人②怪物
死にたてほやほやの死体に“異常者”の脳を入れられ、フレデリックによって蘇生された名も無き“怪物”(ピーター・ボイル)。
セリフは「ヴー!ヴー!」だけ(ほっといたれ)。
2mを超える大男であるのは、何もかも(手足も血管も)大きく造った方が手術その他やりやすいやろ?と言う創造主ヴィクターの考えによるもの(オリジナルにはそんな設定なかったと思うけど)。
それを聞いたフレデリックの助手インガ(テリー・ガー)が目を輝かせて「じゃあ男性機能も倍増?!」って言うのはクライマックスへの振り。
面白い人③せむし男アイゴール
ぎょろぎょろの目玉が印象的なせむし男のアイゴールを演じたマーティ・フェルドマンは正真正銘のコメディアン。目玉が飛び出しているのはバセドウ病の後遺症みたいですが、そんなハンデを見事に笑いに変える芸人魂の持ち主。
得意技は出オチ。
「ばあ!」。
面白い人④助手インガ
フレデリックがフランケンシュタイン城にやってくると聞いたアイゴールは、気を利かせて美人(微妙)助手を用意していました。
干し草の上で転がるのが大好きな彼女の名前はインガ。胸がデカいのが実は自慢らしい。アイゴールが彼女を一体どこから拉致ってきたのかまったく不明だけどフレデリックの実験の手伝いから夜のお伴まで幅広くこなす有能秘書。
その働きが報われてラストでは“この世の天国”を見つけることに成功します。
面白い人⑤使用人のブルッハーさん
フランケンシュタイン城の使用人ブルッハーさん(クロリス・リーチマン)。使用人と言うか、この城にはフレデリックが戻るまで長年誰もいなかったはずなので実質女城主みたいなもん。
今は亡きヴィクターとできてたらしく、ヴィクターが生み出した怪物をまるで自分の子供のように可愛がるサイコ。
誰かが「ブルッハーさん」と呼ぶたびにどこかで馬がいななくのがめっちゃオモロイんですけど、どうして馬が「ブルッハー」に反応していななくのかは言葉の壁の限界を超えられない私には理解不能。このネタが分かる人、教えてください。
面白い人⑥義手のケンプ警部
右手が義手のケンプ警部(ケネス・マース)は、【フランケンシュタインの復活】に出てくるクローグ警部(ライオネル・アトウィル)のパロディ。
義手ギコギコしすぎ。
面白い人⑦盲目の老人
さてもさてもメル・ブルックスと云う変態監督ときたら本当に、森の奥に一人で暮らす盲目の老人と怪物が心を通わす【フランケンシュタインの花嫁】の感動の名場面まで汚したもう罰当たりにあらせられますわ。
とにかく盲目の老人の目が見え過ぎている!
絶対見えてるやろって言う体の盲目の老人の演技が上手過ぎる!
それもそのはずこの老人の正体は名優ジーン・ハックマン!
駆け出しの頃とかじゃないですよ、【フレンチ・コネクション】(1971年)でオスカー獲ったあとですよこれ!
あんたこんなとこで何やってんねん!
1971年/アメリカ/監督:ウィリアム・フリードキン/出演:ジーン・ハックマン、ロイ・シャイダー、フェルナンド・レイ、トニー・ロビアンコ、フレデリック・ド・パスカル、マルセル・ボズフィ、エディ・イーガン/第44回アカデミー作品・監督[…]
面白い人⑧フレデリックの恋人エリザベス
奇しくも祖父ヴィクターと同じく“エリザベス”と言う名の恋人がいるフレデリック。
しかしエリザベス(マデリーン・カーン)は「何もかもがLサイズ」の怪物によって“この世の天国”を体験させられ、一晩に7回も付き合うことのできる絶倫花嫁となってしまうのでした。
【フランケンシュタインの花嫁】の“花嫁”のファンキーなヘアスタイルは色んな映画でパロられているので敢えて言及する必要もないですかね(画像左が“花嫁”、右がエリザベス)。
映画【ヤング・フランケンシュタイン(1974)】の感想一言
名作をコケにするだけしておいて、最後の最後は元ネタ全然関係なしのドストレートな下ネタ!
爽快!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。