1976年/アメリカ/監督:アラン・J・パクラ/出演:ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン、ジェイソン・ロバーズ、ジャック・ウォーデン、マーティン・バルサム、ハル・ホルブルック、ジェーン・アレクサンダー、F・マーリー・エイブラハム、/第49回アカデミー助演男優・脚色・録音・美術賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
ウォーターゲート事件
72年、ニクソン米大統領の共和党の再選支持派が、ワシントンのウォーターゲートビルにある民主党全国委員会本部に盗聴器を仕掛けるため侵入、逮捕された。ホワイトハウスは関与を否定したが、ワシントン・ポスト紙が調査報道で追及。もみ消し工作も明らかになり、ニクソン氏は74年辞任した。
出典:朝日新聞
上記の醜聞を暴いたワシントン・ポスト紙の2人の記者の手記を基にした映画。
私のようにウォーターゲート事件を全然知らない人でも(おーい)、何となく危険っぽい(おーい)スリリングな展開と徹底的にフィクションを排除した構成に、思わず息を呑むでしょう。
【大統領の陰謀】です。
映画【大統領の陰謀】のあらすじザックリ
ワシントン・ポスト編集部は忠実に再現された映画セット
あらすじは引用文として余すところなく冒頭に記載してしまいました。
結末は分かりましたね?
ウォーターゲートビルに侵入した5人の容疑者らが何か怪しいと踏んだ刑事 並みの嗅覚を持つワシントン・ポスト紙の2人の記者、ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)とカール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)。
彼らはついに一連の事件の黒幕がアメリカ合衆国大統領であることを暴き出します。
あらゆる権力を行使してのらりくらりと疑惑をかわし続けたリチャード・ニクソン大統領が、米国史上初めて辞任することで一応の収束をみた事件を描いています。
きっかけはウォーターゲートビル侵入事件。
結末はニクソン大統領の辞任。
首尾が明らかであるのにこれほどハラハラさせられる映画も珍しい。
ラストの次に記憶に残っているのはウッドワードがあちこち電話をかけまくる長回しのこの場面。
時間にして約7分(!)ノーカットですよ。
その間ロバート・レッドフォードだけでなく、編集部の人達みんなが完璧に演技を続けてる。
たくさんの記者でざわつく編集部のど真ん中のデスクで電話をかけるウッドワード。電話口から色んな情報が一気に流れ込んでくるから自分もメモを取りたい気持ちになってくるし、外野に向って「静かにせえ!」って怒鳴りたい気持ちになってくるし、「どうしよう、どうしよう!」とはやる気持ちを抑えきれなくなってくる。
ここで画面を切り替えてしまうとそんな視聴者の緊張も一気に解けてしまいます。完璧かつ効果抜群の長回し。
編集部内を縦横無尽に歩き回るウッドワードとバーンスタインの姿は、まるでカメラが並走しているかのように映し出されます。
いやきっと実際はカメラが並走してるんだけどさ。
このワシントン・ポスト編集部は、個人のデスクからゴミ箱や小道具にいたるまで、かなりのこだわりをもって忠実に再現されているそうです。
米国大統領を辞職に追い込むタイプの音
誰もが知るこの歴史的事実を、タイプの音と紙に踊る活字のみで表現するラストも衝撃的。
ニクソン大統領再選に沸くニュース番組に目もくれず、ひたすらタイプを続けるウッドワードとバーンスタイン。
2人の意気込みと決意がタイプの音となって編集部に響き渡ります。
セット、キャメラワーク、演出、さらには俳優の演技力。
とりわけすごいのは「知らないうちに巨大な陰謀の片棒を担がされていた人々」の挙動不審な演技。
彼らの中には(と言うか大半は)それとは知らずに結果的に犯罪に手を貸したことになってしまって苦しんでいる人もいます。ウッドワードとバーンスタインはその心情を察し、「彼らは本当は言いたがっている!」と確信を持って、あの手この手で情報を引き出そうとするんです。
ここはちょっと「マスコミは迷惑じゃないんだよ~」と強調しすぎな気がしないでもない…。
実際こんなにしつこく新聞記者にまとわりつかれたら鬱陶しいんでしょうけど、この場合国家の危機だから仕方ないわね。
部下がチョンボしたことで全責任を取るどころか命の危険にまでさらされてなお、“報道の自由”の下に彼らを後押しする編集主幹のベン・ブラドリーを貫禄たっぷりに演じたジェイソン・ロバーズがオスカーを獲得しています。
映画【大統領の陰謀】の感想一言
バーンスタインは「危険がなければ電話を切るな」って言ったのに、情報提供者が「危険なら電話を切るな」と勘違いしちゃった時はちょっと笑ってしまいましたけどね。
そこ絶対間違ったらあかんとこやん!
この勘違いも実話なんだとしたら、バーンスタインはよく生きていてくれたものです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。