- クラシック
- 2026年3月25日
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私は好きなんだけどねえ、ロバート・アルトマン監督の撮る映画。
まあねえ、映画産業も金儲けですから(これを皮肉ってか本編には主人公の映画会社副社長が繰り返し「映画は芸術だ」と言う場面があります)、あんな当たるかハズレるか全く読めない不可思議な映画ばかり撮るロバート・アルトマンをハリウッドの上層部が煙たがっていたであろうことは容易に想像がつきますわね。
「“ハリウッド的”ではない」と疎まれてきたロバート・アルトマン監督が“ハリウッド”そのものを風刺した痛快な映画、【ザ・プレイヤー】です。
映画【ザ・プレイヤー】のあらすじザックリ
オチに吹き出すサスペンス(←?)
【ザ・プレイヤー】は、あからさまにオーソン・ウェルズの【黒い罠】を意識している超長回しから始まります(この時、警備主任のウォルター(フレッド・ウォード)が【黒い罠】の長回しについて話してもいる)。

ハリウッドの映画会社副社長グリフィン・ミル(ティム・ロビンス)は、一日平均125本にものぼる脚本家からの電話を受けストーリーを聞いて映画化するかどうかを決めるという、多忙でやりがいのある毎日を過ごしていました。

そんな彼のもとにたびたび不穏なメッセージが届くようになります。方法は様々で、ある時はスタジオのメール係経由で手紙が配達され、ある時はミルの自家用車のワイパーにハガキが挟まれ、ある時はFAXが送られてくる。

手段は違っても書かれている内容は毎回ほぼ同じ、「お前を殺す」というような過激な脅迫文。
最初は無視していたミルもいよいよ看過できなくなってきて、ついに犯人捜しに乗り出します。
脅迫文の内容から相手は何らかの映画関係者であることは間違いない。思い当たるのは自分が却下した脚本を持ち込んだ脚本家。
ミルは脅迫文が届き始めた時期から割り出して、昔脚本を読んでボツにしたことがあるデイヴィッド・ケヘイン(ヴィンセント・ドノフリオ)という脚本家が怪しいという結論に行きつくのでした。

【卒業 PARTⅡ】の企画は絶対通らない
タイトルの【ザ・プレイヤー】とは製作の鍵を握る映画スタジオの重役たちを指すハリウッドの隠語。「プロデューサー」よりも「プレイヤー」と呼ぶ方が「駒を操ってるゲーム感」が増しますよね。
ちなみに他に「プロデューサー」と冠する面白い映画としてはこんなのもございます。
ミルに脅迫文を送ったと疑われるケヘインのような「いつまでも陽の目を見ない三流脚本家」から見れば、座り心地の良い椅子にふんぞり返ってストーリーを聞いてはバッサバッサと取捨する映画スタジオのお偉いさん方なんて地獄の閻魔のような存在なのでしょうが、プロデューサー業も大変だと思いますよ実際。

朝出社するなり怒涛のように押し寄せてくるプレゼンテーターたち。それらすべてに真剣に耳を傾けても使える企画は僅かでしょう。
本日の目玉企画は【卒業 PARTⅡ】。
タイトルからしてまさかの1960~1970年代を代表するヒット作の抱き合わせ。
内容はブラックコメディで、大学生になったベン(ダスティン・ホフマン)とエレーン(キャサリン・ロス)の娘にジュリア・ロバーツをキャスティング希望。自宅にはかつてベンと不倫関係にあったエレーンの母ミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)も同居していて、彼女には最近認知症の気配が感じられる。

どんなんやねん!
そんなもんウケるかドアホ!
こんなアホな企画にもずーっと耳を貸さなければならないなんて、忍耐のいるキツイ仕事だと思いません?しょうもない脚本しか書かれへんくせしてボツにされたらされたで逆恨みするアホもいることですしね。

しかし実態はどうあれ【ザ・プレイヤー】でのプロデューサーたちは、「制作国がアメリカで、有名スターが出ていて、サスペンスとセックスがあって、ハッピーエンドであれば映画は当たる」という神話だけを頑なに信じている無能どものように描かれています。

ロバート・アルトマン監督のしたり顔が目に浮かぶ、究極のハリウッド風刺映画です。
ほぼノーギャラだったらしいカメオ出演者たち
ところで「映画監督に対する俳優からの人気度」というのはもしかしたら、カメオ出演の多さである程度は測れるのかも知れません。
だとしたらロバート・アルトマンなんか超人気だよね。わんさか出てます。1975年のヒット作【ナッシュビル】の時にも多くのカメオ出演者がいましたが、今回はその時よりはるかに多い。しかもほぼノーギャラだったというから驚きです。
それではここで、ギャランティを受け取らずにカメオ出演してくれた殊勝なスターの皆様をご紹介しましょう(私が分かった人だけ)。以下に記載するカメオ出演者らは全員「本人役」で出演しています。
まずは映画スタジオ内のカフェ的なところで【マルコビッチの穴】のジョン・キューザックと【アダムス・ファミリー】のアンジェリカ・ヒューストンに遭遇。

ハリウッドのセレブと来たらホント、口を開けば「パーティ楽しかったね」だの「別荘においでよ」だの、頭の中遊ぶことばっかりですわ。
同じようにスタジオ内でバート・レイノルズにも遭遇。なぜか終始不機嫌でプロデューサーらに悪態をつく。

なんともハリウッドらしい豪勢なホームパーティでは、「バナナボート」で有名な歌手のハリー・ベラフォンテ、【夜の大捜査線】のロッド・スタイガー、【お熱いのがお好き】のジャック・レモン(ちょっと自信ないけど多分そう)、【ザ・フライ】のジェフ・ゴールドブラムが出没。

【トッツィー】、【愛と哀しみの果て】のシドニー・ポラック監督も映ってますけど彼はカメオ出演じゃなくて普通にキャスティングされています。製作にはかかわっておらず、純粋に俳優としての参加みたいですね。
脅迫文の主との待ち合わせ場所を訪れたミルの前に現れたのは、【時計じかけのオレンジ】のマルコム・マクダウェルと、【恋はデジャ・ブ】のアンディ・マクダウェル。
誰かが「ロディ・マクダウェル(=マクドウォール)はおれへんのか」みたいなこと言ってボケてくるけど全然おもろない。

さっき出てきたバート・レイノルズや、マルコム・マクダウェルもそうなんですけど、俳優たちがミルのような映画プロデューサーに対して明らかに敵意を持って接してくる描写に吹き出してしまいます。
さて続いては、さきほどのホームパーティとは圧倒的に規模が違う著名人目白押しの豪華なパーティ。
ここでは【月の輝く夜に】のシェール、【イージー・ライダー】のカレン・ブラック、【ケープ・フィアー】のニック・ノルティが抜かれます。他にも何人か抜かれますが誰が誰だか分かりません。ニック・ノルティの隣にいる女性が【カッコーの巣の上で】のルイーズ・フレッチャーなような気がしないでもない。

へんこの脚本家トム・オークリー(リチャード・E・グラント)が持ち込んだしょうもなさそうな映画の主演は、【ダイ・ハード】のブルース・ウィリスと【エリン・ブロコビッチ】のジュリア・ロバーツ。
よう引き受けたなこんな映画の主演。

無実の罪を着せられてガス室送りになったジュリア・ロバーツを、【ロッキー・ホラー・ショー】のスーザン・サランドンとTVドラマ「刑事コロンボシリーズ」のピーター・フォークが見つめます。

絶対居るはずのロバート・アルトマン作品の常連エリオット・グールドがどうしても見つけられない…。

「ここに出てるよ!」ってご存知の方がいたら教えてください。
映画【ザ・プレイヤー】の感想一言

カメオ出演ではなくミルを追い詰める刑事スーザン役としてウーピー・ゴールドバーグも出演しています。
スーザンが後輩女性刑事のタンポン(レギュラーサイズ)を小粋にぐるぐる回しながらミルに聴取するシーンはシュールで最高。何を回しとんねん何を。
ちなみにスーザンのタンポンはジャンボサイズ。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。




