- コメディ
- 2026年3月22日
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

映画館に行こうかどうしようか迷いに迷って、結局止めたんですよね。
近年のクエンティン・タランティーノ(以下、タラちゃん)の映画は2012年の【ジャンゴ 繋がれざる者】、2015年の【ヘイトフル・エイト】と不発が続いていましたから。
その後、このほどのメディア発売に際してさっそく入手して鑑賞してみた訳です。
するとちょっとだけ後悔しました。

ああ~…。
観に行っときゃよかったかも…。
まあ自宅の特設シアタールーム(ただのリビング)で観ても全然楽しめましたけどね、ラストの火炎放射器以外。
ハリウッドきってのシネフィルで知られるタラちゃんの通算9つ目となる監督作、【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】です。
ネタバレはしてないつもりですけどそこら辺余り気にせず書いてますので自己責任で読んでいただければ幸いです。
映画【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】のあらすじザックリ
タイトル「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の意味
まずは長ったらしいタイトル【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】について言及しておきます。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・○○」は「昔々○○で」を示す熟語で、本作の場合の直訳は「昔々、ハリウッドで…」となります。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・○○」と冠する映画は他に、【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ】や【ウエスタン(原題:Once Upon a Time in the West)】や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズなどがあって、これらがすべて繋がっていると思っている人もいるかも知れませんが、全然関係ありません。
タラちゃんは【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ】と【ウエスタン】のセルジオ・レオーネ監督の大ファンですから敢えてのタイトルではあるのでしょうが、ただそれだけのことであって、物語が繋がっている訳ではありません。
※ただしタラちゃんファンならセルジオ・レオーネ監督の西部劇は観ておいた方が良いかも知れません。
昔々のハリウッドの負の遺産
「昔々…」って言うくらいですから【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】は1969年のハリウッドが舞台。当時の撮影所の様子などが楽しめて映画好きにはたまらない(ほとんどのタラちゃん映画に言えることだけど)仕上がりになっています。
撮影所の片隅に鎮座するスフィンクス像の首を見つけて、

あれはもしや…
「ハリウッド映画史上空前の失敗作」と言われた【クレオパトラ】の大道具では…。
なんて想像してみるのも楽しい。

【クレオパトラ】は1963年の映画なので、【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】の舞台設定(1969年)にもピッタリじゃん。
チャールズ・マンソンのシャロン・テート殺害事件って?
固定観念抜きに映画を楽しみたい私は、基本的には事前にあらすじや関連事項を調べることをせず映画を鑑賞します。
でもこれほどまでに話題になった【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】に関しては完全に情報をシャットアウトするのは難しく、なんとなく前評判は耳に入ってしまっていました。

一部メディアによると、「【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】はチャールズ・マンソンのシャロン・テート殺害事件を題材にしてはいるものの事件のことを知らなくても十分楽しめる映画」とのことでした。
私はこのような記事に対し声を大にしてこう言いたい。

嘘つけ!!
絶対チャールズ・マンソン事件知ってた方がええやろ!
じゃあ逆に問う。
チャールズ・マンソンを知らずしてこの映画のどこに面白さがあるのか。

てこれはさすがに言い過ぎかも知れませんけど、知ってた方が面白いと思いますよやっぱり。
この事件を知らずに観たら、マンソンファミリーの標的が変わった時の得体の知れない高揚感も、事実をねじ曲げたファンタスティックなハッピーエンドの爽快感も味わえない訳ですよね?
絶対ないよそんなん。
「シャロン・テート殺害事件を知らなくても楽しめる」って言ってる人はレオ様及びブラピのファンか武器商人のどっちかでしょう。
当サイト「天衣無縫に映画をつづる」では、「知らなければついていけない訳じゃないけど面白さは半減する」と断言しておきます。
そんなこんなで、有名な事件ですからご存知の方も多いでしょうが、カルト集団「マンソン・ファミリー」の指導者であるチャールズ・マンソン(デイモン・ヘリマン)の生い立ちや事件の概要について軽く触れておきます。
出典:米女優シャロン・テートさん惨殺 衝撃の真相34年11月、オハイオ州シンシナティ生まれ。子供のころから犯罪に手を染め、矯正施設などへの出入りを繰り返した。
60年代にカリフォルニア州で家出少女らと「ファミリー」として集団生活を開始。LSDやマジックマッシュルームで少女をマインドコントロールし、色仕掛けで男性を入信させ、メンバーを100人ほどに増やした。
©Once Upon a Time in Hollywood/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドより引用 映画監督ロマン・ポランスキー氏のハリウッドの邸宅で69年8月、同氏の妻で当時妊娠8か月だったテートさんら男女5人を惨殺したなどとしてカルト集団メンバーとともに逮捕された。ポランスキー氏はロンドン滞在中だった。
米国在住のライターは「マンソンはミュージシャンを自称し、多くの曲を作っていた。しかし、音楽プロデューサーのテリー・メルチャーがマンソンをメジャーデビューさせることを拒否。逆恨みしたマンソンがメンバーにメルチャー宅を指定し、そこの住人殺しを命令。メルチャーは引っ越していて、後に住んでいたテートさんが人違いで殺されたんです。マンソン・ファミリーは計35人殺したと言われています」と言う。
26歳の「妊婦」が「人違い」で惨殺されるという最悪の殺人事件の「首謀者」がチャールズ・マンソン。
実際に手を下したのは「ファミリー」と呼ばれるマインドコントロールされた団体の信者3人。チャールズ・マンソン自身は殺害を教唆した共謀罪や、連帯責任による殺人罪に問われています。

実は最近まで獄中で生きながらえてたんですよねこの人。
2017年11月19日、死刑が執行された訳ではなく自然死によって83年の生涯を閉じました。
ロマン・ポランスキーに関しては珍しく説明的
【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】の主人公リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は、殺された妊娠8ヶ月の女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)と夫で映画監督のロマン・ポランスキーが暮らす邸宅の隣人という設定。
![]()
見ろよ、ロマン・ポランスキーや!
あの【ローズマリーの赤ちゃん】の監督やで!

タラにしては珍しく、やけに説明的やな…。
通常は自分がぶっこむコアなネタを視聴者が知っていようがいまいがオタクスタイルを貫くタラちゃんが、ロマン・ポランスキーとシャロン・テート夫妻に関してだけはわざわざ主人公に説明させているくらいですから、やっぱり本人(タラ)もシャロン・テート殺害事件は知っといて欲しいんですよ、きっと。
マンソンファミリーの住処「スパーン映画牧場」
マンソンファミリーが根城にしている「スパーン映画牧場」も事実に沿っています。今はもう閉鎖された西部劇の撮影所です。

ここでファミリーに囲まれて暮らす盲目の老人ジョージ・スパーンも実在の人物。「スパーン映画牧場」のオーナーで、少女たちにセックスの相手をさせたり身の回りの世話をさせることでここにファミリーを住まわせていたようです。

スパーンを説得してファミリーを追い出そうとする人物がいないとも限らないからか、スクィーキー(ダコタ・ファニング)を始めとするファミリーは全員、他人がスパーンに会うのを阻もうとします。
実際ファミリーが他人にスパーンを会わせようとしなかったかどうかは分かりませんけど、とにかくスパーン映画牧場を包む異様な雰囲気の謎はここが「カルト集団の住処」だと認識していなければ解けないでしょう。
落ち目の俳優リック・ダルトンと専属スタントマンのクリフ・ブース
リック・ダルトンのモデルはバート・レイノルズ
さて、マンソンファミリーについてはこれくらいにしまして、映画本編について。

主人公のリック・ダルトンはかつてTVの西部劇「賞金稼ぎの掟」で人気を博した落ち目の俳優。
70年代に男性セックスシンボルとして大ブレイクしたものの80年代には早くも低迷期を迎えたバート・レイノルズがモデル。

【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】が公開してすぐ、ブルース・リーの遺族がマイク・モー扮するブルース・リーの描写を批判していましたが、どちらかと言えば私はバート・レイノルズの遺族から批判が来たって言われた方が納得できます。
参考 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に登場する「ブルース・リー」に波紋
だってこのリックと言う人物がですよ、一発屋にありがちな横柄な態度丸出しでね?落ち目の癖にプライドだけは高くてさあ。喉が弱いくせに深酒するからいっつも咳して痰を吐いてるし。もううるさい。咳うるさい。痰汚い。そんで涙もろい。哀しくても嬉しくてもすぐ泣く。情緒不安定すぎて怖い。ヒッピーやらイタリアやら差別しすぎ。
こんな人を「バート・レイノルズがモデルです!」って明言された日にゃあ遺族もびっくりですよ。
これに比べたらブルース・リーの「俺はカシアス・クレイに勝てる」って大口くらいかわいいもんです。タラ曰く、実際ブルース・リーは勝てるって言うてたらしいですし。勝ててたかも分からんし。

【大脱走】はスティーブ・マックイーンじゃなかったかも?
そんなリックは「対決ランサー牧場」の共演者ジェームズ・ステイシー(ティモシー・オリファント)からの質問に答える形で、スティーブ・マックイーンの代表作【大脱走】の主演に抜擢されそうだった過去を明かします。

ここで差し込まれる映像は、【大脱走】のワンシーンのスティーヴとリックを差し替えただけのリックの頭の中の妄想。

![]()
俺が…
バージル・ヒルツ※…!!
※【大脱走】でのスティーブ・マックイーンの役名
この時、他にヒルツ候補に挙がっていたとされるのは「3人のジョージ」。
【ティファニーで朝食を】のジョージ・ペパード、歌手で俳優のジョージ・マハリス、【ウエスト・サイド物語】のジョージ・チャキリス。

……。
お分かりだと思いますがこのくだりは全部シャレです。
ヒッピーをデニス・ホッパーと呼ぶのは止めなさい
そしてこの場を借りてひとつリックに物申したい。
マフラーが落ちそうなボロ車で自宅の敷地に侵入してきたマンソンファミリーに向って泥酔状態のリックがこう罵るんですけど。

![]()
ここはお前らが来るようなとこちゃうんじゃ!
さっさと出ていけ!
おいこら!
デニス・ホッパー!
聞いてんのか!

ちょっと!
ヒッピーをデニス・ホッパーって呼ぶの止めてよ!(←ホッパー好き)
クリフの犬ブランディの犬種はアメリカン・ピット・ブル・テリア
西部劇で派手なアクションをすることも多いリックの専属スタントを務めるのは、ブラッド・ピット扮するクリフ・ブース。

ものごとに動じないこの飄々としたキャラクターは、【トゥルー・ロマンス】ん時や【バーン・アフター・リーディング】ん時とカブってる。
クリフの飼い犬ブランディは“アメリカン・ピット・ブル・テリア”と言う犬種。
直系のアメリカン・スタッフォードシャー・テリアは狩猟犬テリアのすばしっこさと闘犬ブルドッグの闘争心を備え持つ「一人軍隊」みたいな犬。

私は犬が好きなので、どうしてこんなマニアックな犬を飼ってる設定にしたんだろうと思いながら観てたんですけど、ラストのブランディの大活躍を考えるとチワワやポメラニアンを飼っていてもダメだった訳ですね。
タラの好きなカメオ出演と美女の脚
それでは最後に、【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】に出てくるタラちゃん作の常連をご紹介いたします。
常連じゃないけど有名ドコロで大物プロデューサー、マーヴィン・シュワーズとしてアル・パチーノが出てますけど、登場シーンも多いしあからさますぎて“カメオ出演”とは呼べないので除外。

西部劇の保安官はマイケル・マドセン
リックが人気を博したTVドラマ「賞金稼ぎの掟」に出てくる保安官は、【レザボア・ドッグス】、「キル・ビルシリーズ」のマイケル・マドセンです。

本当に一瞬の出演だったので笑ってしまいました。
コーディネーターはカート・ラッセル、その妻はゾーイ・ベル
スタントマンのコーディネーターやってるおっさんは【デス・プルーフ】、【ヘイトフル・エイト】のカート・ラッセル。その嫁はんでクリフにキレまくる女性は【デス・プルーフ】や「キル・ビルシリーズ(※ユマ・サーマンのスタント)」のゾーイ・ベル(スタントウーマン)です。

怖気づいて逃げるイーサン・ホーク&ユマ・サーマンの娘、マヤ・ホーク
ポランスキー邸に奇襲をかける寸前で怖気づいて逃げるマンソンファミリーの女の子はイーサン・ホークとユマ・サーマンの娘マヤ・ホーク。

一瞬ユマ・サーマンの究極の若返りかと見紛うほどめっちゃ似てますね。イーサン・ホークの要素は少なめ。
「両親のどちらかに徹底的に似る」と言えば、ブルース・ウィリスとデミ・ムーアの娘のルーマー・ウィリスも出ているはずです(どんな思い出し方やねん)。
参考 ルーマー・ウィリスは幸か不幸か父親のブルース・ウィリスにだけ似ていることで有名。
しかし私には識別できませんでした。
もしかしたらプレイボーイ・マンションのパーティでシャロンを出迎える女性がそうかも知れません。遠目で分かりづらいんですけど、アゴが…そうかも。

LSD漬けタバコの売人はB・B
クリフにLSD漬けのタバコを売りつけてくる女子(ファミリーではない模様)は【キル・ビルvol.2】でザ・ブライド(ユマ・サーマン)の娘B・Bを演じたパーラ・ヘイニー=ジャーディンです。

大きくなったわねえ。
「カット」の声だけタラちゃん
タラですか?
ええ出てますよ、また声だけ。
【ヘイトフル・エイト】ん時の“ナレーターだけ”に味占めたんですかね。

エンドロールのリックのCMの監督役です。
セリフは「はい、カット!」。
ちなみにこのCMのタバコ「レッド・アップル」はタラちゃんフリーク界隈では有名なタランティーノ・ユニバースにのみ存在するオリジナル銘柄。
作中リックも吸っています。

やっぱり出てくる美女の脚
期待を裏切らない足フェチのタラちゃんは、予想通り美女の脚もこれでもかと出させてくれてます。
ヒッチハイクでクリフの車に乗り込んだ“プッシーキャット(マーガレット・クアリー)”はダッシュボードに足乗せる。

シャロン・テートは自分の出演映画を観ながら前の座席に足乗せる。

マンソンファミリーの女の子達は基本的にはみんなホットパンツ姿。見渡す限り脚・あし・アシ…。

ウッハウハ言うてるタラちゃんが目に浮かんで失笑するわ。
映画【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】の感想一言

笑ってしまったけどタラちゃんの意図を読み取りにくかったのが、マーヴィンにイタリアでマカロニ・ウエスタンに出ろと言われて悪態つくリックの描写。
「この俺にイタリア映画に出ろとさ!クソっ!やってられっか!」
クリント・イーストウッドがセルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウエスタン【荒野の用心棒】で一世を風靡したのが1964年。
映画の舞台は1969年。
まだまだイタリア製西部劇を小馬鹿にする風潮があったハリウッドを皮肉ってるのか、当時のイーストウッドの心情を代弁したのか…。
まあただ単にタラちゃんが遊んでるだけでしょうけどねえ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。






