1967年/アメリカ/監督:マイク・ニコルズ/出演:ダスティン・ホフマン、アン・バンクロフト、キャサリン・ロス、マーレイ・ハミルトン、ウィリアム・ダニエルズ、エリザベス・ウィルソン、ブライアン・エイヴリー、バック・ヘンリー/第40回アカデミー監督賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
二十歳前後の頃ってなんとなく情緒不安定になったりするもんですよね。
親や先生や上司に反抗してみたり。
ちょっと悪いことしてみたり。
悪いことしたことを武勇伝みたいに語ってみたり。
「何がしたいねん」みたいなね。
そんな大人の階段を上り始めた21歳の青年ベンジャミン・ブラドック(ダスティン・ホフマン)のやるせない日常を、サイモン&ガーファンクルの楽曲になぞらえて描いた名作、【卒業(1967)】です。
映画【卒業(1967)】のあらすじザックリ
大学卒業して燃え尽きたベンジャミン・ブラドック
もうすぐ21歳になるベンジャミン・“ベン”・ブラドック(ダスティン・ホフマン)は、大学卒業を機に帰郷。そんな彼の物語は、両親が開いてくれたと見える盛大な卒業パーティーで幕を開けます。
親類縁者でごった返す屋敷の中、ただ一人浮かない表情をしている主役のベン。
放心状態で自室に閉じこもり、呼びにきた父親に向って「一人にして欲しいんだ父さん」ておいおい。お前のための卒業パーティーじゃんよ。
部屋にはバカでかい水槽、庭にはプール、大学も出させてもらって、卒業祝いには真っ赤なアルファロメオをプレゼントフォーミー。
一体何が不満や!
要するに金持ちのボンボンがしょーもない虚無感にさいなまれとるお話でございます。
仮面のような笑顔に生活感のない家
しかしベンが虚無感というか脱力感というか、今で言う「燃え尽き症候群」のような症状を引き起こしてしまうのも分からんでもない。
まずもって親がおかしいんですよねブラドック家は。
オトン(ウィリアム・ダニエルズ)もオカン(エリザベス・ウィルソン)も笑顔で陽気でハイテンションではあるけど、なんとなく薄っぺらい。
住んでる家もどことなくおかしい。
美しすぎて生活感ゼロだし、インテリアカラーも白に統一しすぎて寒々しいし、まるで映画のセットみたい(いや映画のセットなんやけど)。
家って言うより別荘とかホテルにいるみたいで落ち着かないんじゃね?
自分の家が狭くて生活感バリバリだから嫉妬しているのではございません。
私はこんな恵まれ過ぎた家庭で何不自由なく育つと人生のどっかで歪みが生じるという偏見を持つ昭和生まれです。
40代熟女による「20代青年の落とし方」
卒業パーティーでやる気ない態度を見せるベンに声をかけてきたのは、昔から知ってるオトンの友人ロビンソン氏の奥さん。
言ってしまうと、このミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)は、ベンとセックスしたいんです。
久しぶりに友達の息子さんに会ってみたら自分好みの青年に成長してたからんん~!食べちゃいたい、ってことですね。
ミセス・ロビンソン自身がベンに向って「あなたと私は倍も歳が違うのよ」って言ってるシーンがあるので、恐らく彼女は40代前半。40歳超えて20歳の男を誘惑するためのお手本がここにはあります。
押す!
とにかく押す!
何を言われても大人のオンナの余裕の笑顔で押す押す!
恥も外聞もなく押しまくらないと、こんなに若い男とベッドイン(古い)なんてできないよね。ブラボーミセス・ロビンソン。
服はもちろん肉食系アニマル柄ね。
おちょくるつもりが逆に惚れる
ロビンソン夫妻にはベンと同じ年頃の一人娘エレーン(キャサリン・ロス)がいて、ベンの両親とロビンソン氏は幼馴染みの二人がどないかなってくれたらいいのに~と勝手な妄想を描いている様子。
ただ一人、当たり前だけどミセス・ロビンソンだけはベンとエレーンが付き合うことに猛反対。
猛反対どころか、ベンがエレーンに会うことすら許さない。
ミセス・ロビンソンが本気でベンを愛していたのならともかく、ただ若いセフレが欲しかったのであれば娘の幼馴染に手を出すのは止めた方が良かったよね。ややこしいったらありゃしない。
この頃はまだ出会い系サイトもSNSもなくて相手を探すのが大変だったんでしょうかね。
ミセス・ロビンソンから「娘のエレーンには会わないで!」と散々釘を刺されていたベンでしたが、ベンの両親の強引な勧めで仕方なくデートさせられる羽目になります。
エレーンに嫌われて二度と会わなくて済むように仕向けるため、デートでのベンは終始ふくれっ面。
ディナーの場所に選んだのはステージで裸のダンサーが踊るいかがわしいバー。
乳首に付けたフサ飾りをぐるぐる回して踊って見せるダンサー。
ちょっとエレーン、見てみろよ。すごいな。
君アレ出来る?
できるか。
首を横に振り、どうして幼馴染のベンが自分にこんな仕打ちをするのか分からず泣き出してしまうエレーン。かっわいいんですよねまた、このシーンのエレーンがね。
幼い頃から元々エレーンに好意は持っていたようですが、ここでベンは完璧に恋に落ちてしまう、と。
半ば脅迫に近いほどこれでもかこれでもかとグイッグイ押してくるミセス・ロビンソン。
一方うつむいて何も言わず、一筋の涙を流すだけでベンの心を虜にしてしまうエレーン。
若さの勝利。
笑顔が消えたラストの2人…その後はきっとこうなる
さて、【卒業(1967)】といえば、肉食系熟女ミセス・ロビンソンに翻弄される童貞ベンの不倫劇と、ベンが教会からウエディングドレス姿のエレーンを奪い去るラストですよね。
ドラマティックすぎるラストに興奮してしまうのも束の間、飛び乗ったバスの中で少しずつ正気に戻る二人を見て、視聴者もハッとします。
よく考えたらめちゃめちゃやばいよこれは。
この先、若い二人には一体どんな未来が待っているのか…。
まずベンはロビンソン氏(夫妻)に訴えられる。不貞行為と誘拐罪かなんかで。
そして多額の慰謝料請求される。
借金背負う。
生活に困窮する。
四畳半のアパートですることないからセックスばっかりする。
子供がたくさん産まれる。
ますます生活に困窮する。
仕方ないからエレーンもパートに出る。
オカンにかまってもらえないから子供が非行に走る。
子供が夜の校舎の窓ガラスを壊して回ったり警察沙汰の事件を起こしたりする。
ヤケクソになったベンが商売女に手を出す。
ミセス・ロビンソンとエレーンしかオンナを知らなかったベンが商売女に入れあげてますます生活が困窮する。
商売女に生活費を使い込んでいたことがバレて四畳半の自宅が修羅場と化す。
エレーンが子供たちを連れて出て行く。
ベンと離婚したエレーン(この時点でまだ30歳前後)がパート先の店長と再婚する。
残されたベンが孤独死する。
やっぱり結婚は家族や友人に祝福されてするのがいいですよね。
映画【卒業(1967)】の感想一言
女房の不倫を知ってベンのアパートに乗り込んできたミスター・ロビンソン(マーレイ・ハミルトン)。
怒り狂っている彼に向かって言い放ったベンのセリフが火に油を注ぎすぎ。
待ってくださいロビンソンさん!僕にとって奥さんとのことは何でもないんです!
握手したようなもんです!
僕がホンマに好きなんは娘さんの方です!
小さい頃からお世話になってる夫婦の嫁はん相手に筆おろしした上毎晩毎晩セックスしまくっといて「握手」!
おまけに大事な一人娘までキズモノにしようとは!
妻を寝取られた中年に面と向かってよくもこんなむごいこと言うわ!(爆笑)
まだ「あんなに魅力的な奥さんを持ってあなたは幸せだ」とか言ってあげた方がよかったんじゃない?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。