1968年/アメリカ/監督:メル・ブルックス/出演:ゼロ・モステル、ジーン・ワイルダー、ケネス・マース、リー・メレディス、エステル・ウィンウッド、アンドレアス・ヴシナス、ディック・ショーン/第41回アカデミー脚本賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
「役と役者のどちらが狂っているのか分かりませんでした」
出典:【プロデューサーズ】DVD特典映像
DVDの特典映像で主演のジーン・ワイルダーが発した言葉です。
いかに撮影現場が狂気に満ちていたかが見て取れますね。
また、狭いエレベーターで男性と密着してしまい己の情欲を封じ込めんと葛藤するオネエのカルメン・ギアを演じたアンドレアス・ヴシナスはこうも言っています。
「今後もう仕事は来ないと思った」
出典:【プロデューサーズ】DVD特典映像
でしょうね。
監督・キャスト・スタッフ一同、決死の覚悟で挑んだ大作、【プロデューサーズ】です。
映画【プロデューサーズ】のあらすじザックリ
実在のプロデューサーをモデルにした映画
かつてのブロードウェイの大物プロデューサー、マックス・ビアリストック(ゼロ・モステル)も、今ではすっかり落ちぶれて髪撫でつけ過ぎのバーコード頭に。
財政難に陥った彼は暇と金を持て余している裕福な“婆さん”の欲望を満たし出資してもらうことで、何とか自分の事務所を存続させていました。
分刻みで“婆さん”達との逢瀬を繰り返しては次々と小切手を切らせるマックス。この男は監督のメル・ブルックスが修業時代に出会った実在のプロデューサーがモデルになっているんだそうです。
恩師の悪事を映画と言う形で全世界に向けて盛大に発信してしまっているけど大丈夫だったのでしょうか。
ある日マックスの事務所にパニック障害の陰気な会計士レオ・ブルーム(ジーン・ワイルダー)がやって来ます。
レオは事務所の帳簿を調べるうちに、舞台を成功させるより失敗させた方が儲かることに気が付いてしまいます。
それをうっかりマックスにしゃべってしまったのが運の尽き。強欲なマックスは対“婆さん”仕込みの華麗な舌先三寸で乗り気じゃないレオをも巻き込んで、「史上最低の舞台」を上演して大金をせしめようと画策するのでした。
史上最低の舞台「ヒトラーの春」
さて、「最低の舞台」を作るためにまず必要なのは「最低の脚本」。
マックスとレオは昼も夜もなく脚本を読み漁り、ついに序幕で観客全員速攻帰るんちゃうかというほどの最低の脚本を発掘します。
ナチの残党の脚本家
舞台のタイトルは「ヒトラーの春」。書いたのはナチ残党のドイツ人脚本家フランツ・リープキン(ケネス・マース)。
いつでも鉄のヘルメットかぶってる。
家でも鉄のヘルメット。舞台の袖でも鉄のヘルメット。観客席でも鉄のヘルメット。
なんや言うたら「総統閣下!総統閣下!」。
え?
ええ、お察しの通り、当時この映画は結構ギリギリやったと思いますよ。
監督のメル・ブルックスが【ソドムの市】のピエル・パオロ・パゾリーニ監督みたいに謎の死を遂げなくて幸いでした。
参考 ピエル・パオロ・パゾリーニ=急進的な思想を持つイタリア人映画監督であったが、1975年、何者かによって惨殺された。未だ事件は解明されていない。
女装趣味の演出家
興行収入の50%以上の配当(アホです)を約束して“婆さん”たちから多額の出資金をせしめたあと、「最低の演出家」を探すことにしたマックスとレオ。
見つけたのはゲイの演出家ロジャー・デ・ブリー(クリストファー・ヒューイット)。
元美容師で使用人兼恋人のカルメン・ギア(アンドレアス・ヴシナス)と仲良く暮らしています。
冒頭でご紹介したDVDの特典映像のコメントで、今後の仕事の心配をしていたのはこの人です。
性別を超えた主役LSD
そしていよいよプロデューサー・脚本家・演出家そろっての主役オーディションの日を迎えます。
「我こそはヒトラーだ!」と言わんばかりの“ハイル・ヒトラー軍団”が集まる中、ただ一人我が道をつっ走り異彩を放っていたジェンダーレスのおっさん(“おっさん”て言うてもうてるやん)、ロレンゾ・セント・デュボワ、略してLSDがヒトラー役に抜擢されます。
かくして「最低メンツ」をそろえた「最低の舞台」が出来上がり、あとは公演が即刻打ち切られ“婆さん”からせしめた出資金が全額マックスとレオの懐に収まるのを待つだけとなったのですが…。
ではここで問題です。
「最低の脚本家」、「最低の演出家」、「最低の主役」のうち、実はある意味「最高」の人物が紛れ込んでいたためこの詐欺計画は台無しになってしまいます。
その「最高」の人物とは一体誰でしょう。
ええそうでしょうとも、「カルメン・ギア!」と答えたい気持ちは痛いほど分かります。
「マックスが調子に乗って雇ったイエローのノーブラワンピースで悩殺してくる秘書ウーラ(リー・メレディス)!」と答えたい気持ちも分かります。
この2人のインパクトは曲者だらけの本作中でも随一ですから。
しかし一応カルメン・ギアとウーラは回答の選択肢にありませんので除外してくださいね。
映画【プロデューサーズ】の感想一言
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。