【失われた週末】あらすじ感想。ワイルダーの作風に「飲まれる」一本

1945年/アメリカ/監督:ビリー・ワイルダー/出演:レイ・ミランド、ジェーン・ワイマン、フィリップ・テリー、ハワード・ダ・シルヴァ/第18回アカデミー作品・監督・主演男優・脚本賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

酒を求めて街を徘徊するドン
©The Lost Weekend/失われた週末より引用

「依存症」と聞いて、あなたは何を思いつきますか?

また、今現在何かに「依存」していますか?

 

ニコチン依存症、ギャンブル依存症、恋愛依存症、カフェイン依存症、インターネット(携帯電話)依存症、ゲーム依存症、活字中毒、仕事中毒などなど…。

数ある「依存症」と呼ばれる症状の中で最も有名なもののひとつに、アルコール依存症が挙げられます。

 

かく言う私はかつて、重度のニコチン依存症でした。

起きている時間は絶え間なくタバコをくわえているような状態。

すでに日本を代表する嫌煙家の一人となって久しいですが、依存していた頃の禁断症状たるやタバコ以外のことは一切考えられないほどだったので、本作の主人公ドンの気持ちは痛いほど分かると同時に、本当に依存症の怖さを思い知らされます。

 

ビリー・ワイルダー監督がスリリングな音楽とカメラワークで、重度アルコール依存症の男の地獄のような週末を描いたアカデミー最優秀作品賞受賞作、【失われた週末】です。

 

 

 

映画【失われた週末】のあらすじザックリ

かつて天才と呼ばれたドン・バーナムも、33歳となった今では無職のまま小説家の夢を追い続け兄ヴィックの世話になるアル中患者と成り下がっていた。ヴィックは再三に渡って嘘をつき隠れて酒を飲むドンに愛想をつかすが、恋人のヘレンだけはそれでもドンを救おうとする。

 

 

「そこまでするか…」想像を超える依存症状

ニューヨークのアパートの高層階。

開け放たれた窓からぶら下がる酒の瓶。

室内には何やら荷造りしている男性が二人。

朱縫shuhou
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窓からぶら下がる酒
©The Lost Weekend/失われた週末より引用

窓からぶら下がってる瓶の謎はすぐに解けます。

ヴィック

ドン、準備できたか~?

この週末はゆっくり旅行に行けて最高やな!

ドン

ホンマホンマ。

…あ!兄貴!

旅行先で小説書くから、クローゼットの中のタイプライター探してくれへんか?

ヴィック

よっしゃ分かった!

別室でタイプライターを探す兄ヴィック(フィリップ・テリー)の目を盗み、するすると窓の紐を手繰り寄せ、手にした酒瓶を大事そうに旅行鞄へ詰め込むドン・バーナム(レイ・ミランド)。

 

そうです、この重度アルコール依存症・33歳・小説家志望・無職のドンという男は、あろうことか酒を断つためのリフレッシュ旅行にコソコソと酒を持っていこうとしているのです。

その時ちょうどドンの婚約者のヘレン(ジェーン・ワイマン)が訪ねてきて、ヴィックにこっそり「お酒は大丈夫?」と問いかけます。

ヴィック

(大丈夫、弟が酒を隠しそうな所は全部分かってる)

(どこにも隠してなかったよ)

ヴィックは自信満々。

しかしまさかの「窓に吊るす」

ドンのアイデアの勝利。

 

 

ガラガラと音を立てて崩れゆく週末旅行

しかし詰めが甘く、あと一息というところで隠していた酒が見つかってしまったドンは、ヴィックから大目玉食らってアパートに放置されます。

「放置」ってさらっと書いてますけど、小説家として芽も出ず無職で文無し、ヴィックの家に居候して生活費の一切まで世話になっているドンにとって、ヴィックにそっぽを向かれるのは死活問題。

 

それなのに売り言葉に買い言葉。

ヴィックに謝りもせずヘレンが止めるのも聞かず、ドンはヤケクソ状態で再び酒を浴びるのです。

 

クラクラしてくる禁断症状

ヴィックのへそくりを見つけて盗み、その金で買った酒が底をつけば他人のバッグを盗もうとするドン。

危うく窃盗犯に成り下がろうかというほどの耐え難い禁断症状に息を呑みます。

ナットに説教されるドン
©The Lost Weekend/失われた週末より引用

馴染みの店からツケ払いを断られ(大体ツケって言うてもヴィックが払うんやろ?)、ドンは自分の小説家の夢に不可欠であるタイプライターを質に入れて酒を買う金を作ろうとします。

しかしその日はちょうどユダヤ教の祝日でどの質屋も閉まっていました。

ドン
なんでや…なんで質屋が全部閉まってるんや!!

なりふり構わずそこら中の人に怒鳴り散らし、汗を垂れ流しながらフラフラと酒を求めて街をさまようドンを観ていると、ピントのぼやけた映像とサスペンスフルなBGMも手伝って、こっちまで何とも言えない渇いた気分になってきます。

酒を求めて街を彷徨い歩くドン
©The Lost Weekend/失われた週末より引用

砂漠で水を求めるのに似た感覚?

水は飲まなきゃ死んじゃうけど、酒なんて飲まなくても生きていけるのに?

 

ホント怖いよアルコール依存症。

 

 

依存症を克服するために必要なものとは?

禁断症状が進みすぎ幻覚まで見るようになってしまったドンは、ついに自殺を決意

実際私も「もうここまで行ったら死ぬしかないんでは…」なんて考えながら観ていたので、案の定。

 

しかしピストルを持ち出し遺書を書くドンに向かってヘレンが言います。

ヘレン

お酒なんか好きなだけ飲みなさい!私も付き合うから!

死ぬよりマシだわ!

ドンを説得するヘレン
©The Lost Weekend/失われた週末より引用

ヘレングッジョブ。

 

×地獄のような週末→○禁酒の入り口に立てた週末

ヘレンの声にようやく耳を貸したドンが、持っていた酒のグラスにタバコの吸い殻をポトリと落としたことで永遠に酒と決別した かのような ラストで終わる【失われた週末】。

でも私はきっとまたドンは酒を飲むと思っています。

こういう男は絶対また飲む!

 

でも大丈夫だと思うんです。

ドンの傍にはヘレンがいるんで。

酔っても酔ってもドンはヘレンに手を上げることはなかったし(怒鳴り散らすことはあっても)、きっとヘレンのような人が側にいることですぐには無理でも少しずつ治っていくと思うんです。そうこうして頑張っていればヴィックもきっと戻ってくれるだろうし、酔っぱらったドンにクダを巻かれているバーの店主だって破滅的なドンを心配してくれています。協力者はまだいます。

きっと大丈夫でしょう。

 

 

映画【失われた週末】の感想一言

朱縫shuhou

とある重度アルコール依存症の男が、落ちるところまで落ち地べたを這いずり死を覚悟したことで真っ暗な闇の中にも微かな希望の光が残っていることに気付けた週末を深くえぐった映画。

あなたは何かに依存していますか?

 

 

>> 翌年(第19回)のアカデミー最優秀作品賞はこれ!

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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1902年公開の【月世界旅行】から2010年公開の【ブラック・スワン】まで。
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