死にそうなアンディ(演:トム・ハンクス)

映画【フィラデルフィア】あらすじと観た感想。トム・ハンクス死にそう

死にそうなアンディ(演:トム・ハンクス)

1993年/アメリカ/監督:ジョナサン・デミ/出演:トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン、アントニオ・バンデラス、メアリー・スティーンバージェン、ジェイソン・ロバーズ/第66回アカデミー主演男優・歌曲賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

法廷でのミラーとアンディ
©Philadelphia/フィラデルフィアより引用

エイズってご存知ですか?

HIVウィルスに感染した人が引き起こす後天性免疫不全症候群のことで、1980年代~1990年代、世界中で爆発的に感染者が増えた新病です。

今では日常生活における接触でHIVに感染することはないと周知されてますよね。

でも流行し始めた当時は正体不明で特効薬もない未知の病。子供心に「このまま人類は滅亡するのかも知れない…」とか考えてしまうほど怖かったのを覚えています。

 

トム・ハンクスがみるみる痩せて弱っていくエイズ患者を演じたことでも話題になりました。

「○歳の子供にも分かるように説明してください」が流行語大賞にノミネートされなかったのが未だに不思議。

 

エイズ患者に対する差別や偏見を扱った映画、【フィラデルフィア】です。

 

 

 

映画【フィラデルフィア】のあらすじザックリ

同性愛者でありエイズ患者であることを同僚に隠していた弁護士のアンディは、重要な書類を紛失したことを理由にフィラデルフィア市随一の大規模法律事務所を解雇される。アンディは解雇の実質的理由をエイズ診断の影響だと確信、著名な弁護士であるミラーに弁護を依頼し訴訟を起こす。

 

 

エイズ患者アンディへの周囲の対応について

有能な弁護士のアンドリュー・“アンディ”・ベケット(トム・ハンクス)は同性愛者でエイズ患者

両親も4人のきょうだいたちもそのパートナーも、近しい人達はみんな知っていることでしたが、職場の同僚たちにはその事実を隠していました(ボスのウィラー社長(ジェイソン・ロバーズ)に打ち明けようとしたこともありましたが、ウィラー社長の口からゲイに対する差別発言が飛び出したため断念)。

まだ元気なころのアンディ
©Philadelphia/フィラデルフィアより引用

ある日アンディは身に覚えのないチョンボの責任を取らされる形で事務所を解雇されます。

表向きには「アンディ自身の能力が低いから」ということになっていますが、実際は自分の疾患のせいであることに気付いたアンディは、事務所を相手取って訴訟を起こします。

 

アンディの弁護を請け負ったジョー・ミラー

訴訟を請け負ってくれる弁護士を探すアンディでしたが、まさかの9連敗。最後の頼みの綱として、どんな案件でも扱う有名弁護士ジョー・ミラー(デンゼル・ワシントン)を訪ねてきます。

ジョー・ミラー(演:デンゼル・ワシントン)
©Philadelphia/フィラデルフィアより引用

【フィラデルフィア】の前半は、結構ビュンビュン時間が経過して行きます。ほんの数分で「6週間後」とか「7ヶ月後」とかいった感じに。

法廷劇がメインになるのでそこまでの過程はすっ飛ばしてるんでしょうけど、場面が変わるたびにみるみる病状が悪くなっていくアンディの姿に戦慄するんですよね…。

ウィラー法律事務所で働いていた頃は、エイズ患者に見られる特徴的なアザはあったもののまだまだ健康そうに見えたのに、数ヶ月後ミラーの事務所を訪れた時のアンディの姿は明らかに健康な人のそれとは程遠いもの。

ミラーの事務所を訪れた時のアンディ
©Philadelphia/フィラデルフィアより引用
朱縫shuhou

えっ…

 

これアンディ?

(ごくり…)

絶句ですよ。

ホントに「みるみる」よ。

「どんどん」?「じゃんじゃん」?「サクッと」?

なんて言ったらいいのやら、アンディの人生は急速に死へ向って走り出してしまうんですよ

ホントに恐ろしい病気ですよね。

 

一方で自分の事務所を訪れたアンディに「俺エイズやねん」と告白された時のミラーのリアクションも当時としてはごく当たり前。

しかもミラーは赤ちゃんが産まれたばかり。

「事務所の備品に触らんといてくれ…」
「空気感染せえへんねやろな…」
「赤ちゃんが感染したらどうしよう…」

「差別はいかん、正しい知識を」って分かってはいても、ミラーも作中で言ってますけど、今までの学説が後の研究で覆されることなんていくらでもある訳で、「実はエイズは空気感染することが明らかになりました!」ってある日突然発表されないとも限らない。

それを知った時「すでに家族全員エイズに感染しちゃってました!」なんてシャレにならない。

 

かかわりたくないと思ったミラーがアンディの依頼をいったん断ったのも頷けてしまう…。

 

ウィラー法律事務所の重役たち

まあもっともアンディに対して差別的行いをするのがウィラー法律事務所の重役たちでありますが。

でも彼らの言い分も分からなくもないんですよね。

というのは、アンディはエイズであることを会社に隠してたから。

…こりゃ嫌ですよ、健康な人から見ると。

 

さっきのミラーにしてもそうですけど、やっぱり怖いですもん、エイズ患者と接するのも、一緒に仕事するのも。綺麗ごとじゃなくて。

でもちゃんと病気を告白した上で安全性を教えてもらえれば、周囲の人も色々と心積もりができますやんか。

嘘ついてたのはまずかったよね。

アンディの不当解雇に関する裁判
©Philadelphia/フィラデルフィアより引用

恐らくアンディは、ホモ(作中ではホモホモホモと連発される)に理解がない重役連中にエイズであることを告白したところで事態が好転することはないと考えたのでしょうが、裁判では案の定隠してたことをツッコまれてる。

病気を隠していたことを解雇の理由のひとつに加えられるくらいなら、最初からサクッと「エイズです!ホモです!」って告白してしまった方が良かったような…。それなら大っぴらに解雇はできないし、壮絶な社内イジメはあるかも知れないけど、それであれば完全に「『エイズ』で『ホモ』であることを理由にした不当な扱い」だから、同じように会社を相手取って訴訟を起こしてももっとスムーズに行ってたかも知れなくない?だめ?

 

ちなみに法廷で脚線美を惜しみなく披露する被告側のコーニン弁護士を演じたのはメアリー・スティーンバージェン。良いよねこの女優はホントに。

評決を聞いて「すぐに上訴の手続きに入ります」って言ってるものの、どこか敗けてホッとしてるような表情最高。

 

 

アンディの周囲にあふれる愛

ここ最近はかなり性的マイノリティの人達にも世間の理解は広がってきたように思いますけど(実態は分かりませんが)。

アンディの救いは彼を取り巻く人々に愛が溢れていること。

恋人のミゲール(アントニオ・バンデラス)然り、同性愛者仲間然り、そして何よりも両親を含めた家族の愛が凄い。

ミゲールとアンディ
©Philadelphia/フィラデルフィアより引用

アンディの妹が言っています。

アンディが同性愛者であることで母親はこれまでもつらい思いをしてきたと。

それでも母親は「私は偏見に負ける子供を育てなかった」と言い、父親は「お前を誇りに思う」と言う。

すごい。

ホントに?

心の底からそう思ってるの?

自分の子供が将来同性のパートナーを連れてきたら私…こんなこと言えるかな…。

 

そしてラストは他の(ノーマルの)きょうだいたちと同じように、キャッキャとはしゃぐ幼い頃のアンディの姿が映し出されます。

原点というか、エイズ患者で同性愛者であるだけで差別的扱いを受けたアンディが「同じ人間」であることが強調されて終わるラストがね、なんとも哀しいですよ。

 

 

映画【フィラデルフィア】の感想一言

朱縫shuhou

「泣ける法廷ドラマ」って珍しいですよね。

法廷ドラマと言えば爽快感とか達成感が残るものが多いでしょ?

 

まあ私は涙腺と堪忍袋の緒がヤワにできてるのでしょっちゅう泣いたり怒ったりしてるんですけども。

 

最後まで法廷で戦い抜いたアンディの姿には誰だって涙をもよおすはず。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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