アメリカの映画団体AFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)が1998年から(ほぼ)1年毎に発表し始めた「アメリカ映画100年シリーズ」。
ラインナップ
- 1998年:アメリカ映画ベスト100
- 1999年:映画スターベスト100
- 2000年:コメディ映画ベスト100
- 2001年:スリルを感じる映画ベスト100
- 2002年:情熱的な映画ベスト100
- 2003年:ヒーローと悪役ベスト100
- 2004年:アメリカ映画主題歌ベスト100
- 2005年:アメリカ映画の名セリフベスト100
- 2005年:映画音楽ベスト100
- 2006年:感動の映画ベスト100
- 2006年:ミュージカル映画ベスト
- 2007年:アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)
- 2008年:10ジャンルのトップ10
この記事は「アメリカ映画100年シリーズ」のうち、2008年に発表された「10ジャンルのトップ10」の一覧・詳細情報・所感・おすすめ度(★)をまとめたものです。
リストの下に私自身のおすすめ作品も掲載しています。
あなたが今日観る映画の参考になれば幸いです。

お好きなジャンルをご覧ください。
この下には法廷ドラマ映画のランキングがあります。
法廷ドラマ映画
映画ジャンル別ランキング★法廷ドラマベスト10

第1位【アラバマ物語】

本作の主人公アティカス・フィンチ(グレゴリー・ペック)は、アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)の「アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100」のヒーロー部門で堂々の一位に輝いています。
そして作品自体もこの「10ジャンルのトップ10(法廷ドラマ映画)」で1位を獲得。
異論ないです。この結果だけでもどれだけ素晴らしい映画であるかがうかがい知れますね。
黒人差別が根強く残るアラバマ州の田舎町。妻に先立たれた弁護士のアティカス・フィンチは、遊び盛りの2人の子供を男手ひとつで育てていました。
アティカスが白人女性への婦女暴行容疑の黒人の弁護を引き受けたことで、フィンチ一家は町中から心無い中傷を浴びます。しかし黒人が無実であることを確信したアティカスは、陪審員全員が白人という圧倒的に不利な裁判で、たった一人で黒人の無実を訴えて戦います。
「負け戦」と言ってもいい無茶な裁判に挑むアティカスを、彼の主観ではなく2人の子供の目線で描いているのが素晴らしい。
ただ庭に出てきゃっきゃと遊んでいるだけかと思いきや、子供たちはアティカスの生き様を完璧に心に焼き付けて、ちゃっかり自分たちが生きる世界にも応用しています。
ちなみにアティカスの娘スカウト(メアリー・バダム)のモデルは原作小説の作者ネル・ハーパー・リー自身で、スカウトたちと友達になる隣家の少年ディル(ジョン・メグナ)のモデルはこのランキングの第8位【冷血】の原作者トルーマン・カポーティ。
第2位【十二人の怒れる男】

密室劇の金字塔。
本当に面白い映画には、豪華なセットも派手な衣装も大胆な濡れ場も高度なCGも一切不要。なんやったら登場人物の固有名詞すら不要。完璧な脚本さえあればそれでいいんです。
扇風機がフル稼働してるのに、うだるような暑さはちっともやわらぐ様子もない真夏の陪審員室。親殺しの容疑がかかった少年の裁判で、評決は満場一致の有罪になるものと思われました。
しかしただ一人。
「陪審員8番(ヘンリー・フォンダ)」だけは少年の無罪を主張。
この殺人事件に疑問を持った「陪審員8番」は検察側の証拠を次々と覆してみせ、それを聞いた他の陪審員たちの中にも考えを改める者が出てきます。
さっさと役目を終えて(評決を出して)解散したかった陪審員たちが、少年の無罪の証明のために少しずつヒートアップしていく過程を観ていると、こんな私のしょうもない正義感までもがたぎってきちゃう。
何でもいいから世の中のためになることしたくなってくる。
コンビニで募金してこよう。
第3位【クレイマー、クレイマー】

何の前触れもなくある日突然妻のジョアンナ(メリル・ストリープ)に逃げられた仕事一筋の夫テッド・クレイマー(ダスティン・ホフマン)。
仕方なく一人息子のビリー(ジャスティン・ヘンリー)と二人三脚の生活を始めるものの、主夫業と仕事の両立は簡単ではなく、テッドは会社を解雇されてしまいます。それでも忙しい毎日と引き換えに見失っていたビリーとの絆を取り戻したテッドは幸せでした。
出て行った日と同じように、ジョアンナがある日突然テッドとビリーの前に戻ってくるまでは…。
日本でも3組に1組の夫婦は離婚するようになってしまった昨今。
決して他人事ではない現実がここにはあります。
第4位【評決】

第2位【十二人の怒れる男】のシドニー・ルメット監督作品がここにもランクイン。主演はハリウッドの正統派二枚目スター、ポール・ニューマン。
しかし【評決】の時のポール・ニューマンは衝撃的にカッコ悪い。
アル中で、中年で、正義は空回りして、権力をはねつけたかと思ったらすがりついて、良いところなんてひとつもない。
なのに最後は死ぬほどカッコいいという不思議。
不思議の国のファンタジー映画だと思って観てもいいかも知れない。
第5位【ア・フュー・グッドメン】

“正統派イケメン”トム・クルーズ、“怪優”ジャック・ニコルソン、“紅一点”デミ・ムーア。
なんだか交わりにくそうなアクの強い3人を見事に融合させてる海軍の規律を扱った法廷ドラマ。
キューバの海軍基地で隊員の死亡事故が発生。容疑者は被害者と同じ部隊の隊員2人。容疑者の2人は上官から被害者への「制裁」を意味する“コードR”の命令を受けたと主張。しかし基地の総司令官ジェセップ大佐(ジャック・ニコルソン)はコードRの存在自体を否定。
キャフィ中尉(トム・クルーズ)とギャロウェイ少佐(デミ・ムーア)ら弁護チームは、ジェセップ大佐を証人として召喚し、法廷で組織規模の嘘を暴こうとします。
キャフィ中尉にギャロウェイ少佐、ジェセップ大佐から容疑者の2人まで、さすがアメリカ海軍とでも言いましょうか、みんながみんな揺るがない己の正義を持っていてシビれます。
第6位【情婦】

公開年:1957年
上映時間:116分
監督:ビリー・ワイルダー
キャスト:タイロン・パワー、チャールズ・ロートン、マレーネ・ディートリヒ他
アガサ・クリスティの「検察側の証人」が原作なので、必然的に期待値は上がりますけども。
それでもいくら原作が名作であろうとも、監督がビリー・ワイルダーで主演がチャールズ・ロートンでなければ、これほどの名画にはなり得なかったでしょう。
親しい未亡人の殺害容疑で逮捕されたレナード・ボール氏(タイロン・パワー)の弁護を頼まれたのは、著名な老弁護士ウィルフリッド卿(チャールズ・ロートン)。
ボールのアリバイを証明できるのは妻のクリスチーネ(マレーネ・ディートリヒ)だけでしたが、ドイツ人で「便宜上」ボールと結婚した彼女に夫に対する愛情はなく、ボールの逮捕に関してもまったくの他人事。
ウィルフリッド卿は仕方なく、こちらの証人はいないままで裁判にのぞみます。
第7位【或る殺人】

物語の内容が優れているというよりは、当時の映画界への貢献度が高かったんだろうなあって感じの作品。
【或る殺人】では当時プロダクション・コードで規制されていた放送禁止用語が連発されます。しかも法廷で。
だって主人公の弁護士ポール・ビーグラー(ジェームズ・ステュアート)が扱う事件が「奔放な妻のレイプ事件」だもんでね。放送禁止用語言わないとお話にならないんですよ。
「あなたはその時×パンティをはいていましたか?」だの「×レイプされたという証拠となる×精液は検出されませんでした」だの。
これほど連発されてしまってはねえ…この頃からプロダクション・コードの威力は弱まり、1966年頃には実質廃止の途をたどるのです。
第8位【冷血】

アメリカの小説家トルーマン・カポーティのノンフィクション・ノベル「冷血」の映画化作品。1959年に実際に起こった殺人事件を、加害者へのインタビューを通して詳細に描いています。
何度インタビューしたところで殺人犯の気持ちなんて分かろうはずもないですが、善良な農場主一家4人を惨殺したペリー・スミス(ロバート・ブレイク)とディック・ヒコック(スコット・ウィルソン)の描き方がこれ以上ないくらい客観的。
加害者2人の事件当日から逮捕後処刑されるまでがただ淡々と映し出されるので、絵画で言えば「写実主義」って感じ。
「客観的」なのにペリーの心情が痛いほど伝わってくるラストの雨の独房のシーンが忘れられません。
第9位【クライ・イン・ザ・ダーク】

公開年:1988年
上映時間:122分
監督:フレッド・スケピシ
キャスト:サム・ニール、メリル・ストリープ他
1980年、オーストラリアのエアーズロックの麓でキャンプをしていた夫婦の生後9週間の赤ん坊が行方不明になった実際の事件の映画化。
母親のリンディ(メリル・ストリープ)は野犬のディンゴが娘を連れ去ったと主張しますが、殺人罪に問われてしまいます。妻と共に無罪を訴える夫のマイケル役にサム・ニール。
2012年にはディンゴが赤ん坊を連れ去ったという証拠が見つかり、夫婦は正式に無罪となっています。
第10位【ニュールンベルグ裁判】

連合軍による実際のナチス・ドイツの戦犯裁判「ニュルンベルク裁判」を基にした作品。
戦時中、ナチスにとって都合の悪い無実の人々に有罪判決を下してきた元法務大臣で元判事でもあるドイツ人法律家エルンスト・ヤニング(バート・ランカスター)他4人の元判事を、はるばるメイン州からやってきたダン・ヘイウッド(スペンサー・トレイシー)裁判長が裁きます。
強制収容所解放部隊での苦い経験から徹底的に「ドイツ人」の罪を追及しようとする検察官には“ハイエナ”リチャード・ウィドマーク、唯一演技部門でオスカーを獲得した若手熱血弁護士役にマクシミリアン・シェル、ナチスに夫を処刑された影のある未亡人にマレーネ・ディートリヒ、父と慕う老ユダヤ人と性的関係を持ったとして追及されるアーリア人女性にジュディ・ガーランド、母親の精神疾患や自分の学習能力に問題があるとして断種された青年役にモンゴメリー・クリフト。
すんごい豪華キャストです。
選外★おすすめ法廷ドラマ映画
おすすめ①【告発の行方】

ジョディ・フォスターがピンボール台の上で3人の男にレイプされる主人公サラを演じ、第61回アカデミー主演女優賞を獲得した映画。
「パンティーを引きずり下ろして一人目が私の中に…」
「周りの男たちは『プッシーに突っ込め!』とはやし立て…」
レイプシーンも壮絶だけど、法廷で事件の夜について包み隠さず証言するサラの姿が痛々しすぎ。
おすすめ②【フィラデルフィア】

エイズを理由に解雇された同性愛者アンディ(トム・ハンクス)が会社を相手取って裁判を起こす社会派ドラマ。
場面が切り替わるたび、みるみる痩せて弱っていくトム・ハンクスの姿に戦慄。
関係ないけどトム・ハンクスとアントニオ・バンデラスのカップルは、アリやと思います。
おすすめ③【レインメーカー】

「金の雨を降らせるやり手弁護士」ルーディ・ベイラー(マット・デイモン)、そして彼の周囲の弱者と強者を描いた映画。
多少は卑怯な手段も辞さない覚悟がなければ弱者なんて守れないよね。それを悟ったルーディはいったん法曹界から逃げてしまったけれど。
おすすめ④【シビル・アクション】

その名も「民事訴訟」というタイトルの法廷ドラマ。
大企業の工場排水による水質汚染で何人もの町民が亡くなったウーバンの町のために立ち上がった実在の弁護士ジャン・シュリットマン(ジョン・トラボルタ)を描きます。
真実なんぞ振りかざしても法廷では勝てっこないんですよ。それこそが底なし沼の底にある真実。
おすすめ⑤【クイズ・ショウ】

1950年代、アメリカの人気クイズ番組「21」をめぐるスキャンダルを描いたロバート・レッドフォード監督作品。
確か法廷の場面があったわ、と思ってこのランキングに入れましたけど、正確には放送業界の「立法委員会」でした。
法廷ドラマ映画ベスト10★まとめ
★は朱縫shuhouのおすすめ度です。
- 【アラバマ物語】
- 【十二人の怒れる男】
- 【クレイマー、クレイマー】
- 【評決】
- 【ア・フュー・グッドメン】
- 【情婦】
- 【或る殺人】
- 【冷血】
- 【クライ・イン・ザ・ダーク】※未視聴
- 【ニュールンベルグ裁判】
選外
- 【告発の行方】
- 【フィラデルフィア】
- 【シビル・アクション】
- 【レインメーカー】
- 【クイズ・ショウ】

法廷ドラマ映画ランキングは以上です。
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