1967年/アメリカ/監督:リチャード・ブルックス/出演:ロバート・ブレイク、スコット・ウィルソン、ジョン・フォーサイス、ポール・スチュワート、ジェフ・コーリー、ジェームズ・フラヴィン
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アメリカの小説家トルーマン・カポーティのノンフィクション・ノベル「冷血」の映画化作品。1959年に実際に起こった殺人事件を、加害者へのインタビューを通して詳細に描いています。
トルーマン・カポーティは女流作家ハーパー・リーと幼馴染で、彼女の小説及び同名映画【アラバマ物語】に出てくるディルのモデルとしても知られています。
1962年/アメリカ/監督:ロバート・マリガン/出演:グレゴリー・ペック、メアリー・バダム、フィリップ・アルフォード、ロバート・デュヴァル、ブロック・ピーターズ/第35回アカデミー主演男優・脚本・美術(白黒)賞受賞注※このサ[…]
「冷血」を執筆中のトルーマン・カポーティ、及び彼の取材に同行したハーパー・リーについては伝記映画【カポーティ】で詳しく描かれてるので、こちらも併せてチェケラッチョ。
【冷血(1967)】です。
映画【冷血(1967)】のあらすじザックリ
閲覧注意かも知れないノンフィクション
実際に起こった凄惨な殺人事件、そして加害者の逮捕から死刑執行までを赤裸々に描いているので、衝撃映像が記憶に残ってしまうタイプの人は閲覧注意かも知れません。
さすがに散弾銃で至近距離から顔面を撃たれた被害者の映像は出てきませんけど、絞首刑を執行された加害者はバッチリ映し出されますので。
淡々と事実を追っていて基本的には暗いお話です。
平和な描写と言えば加害者のひとりペリー・スミス(ロバート・ブレイク)の母親と過ごした幼い頃の記憶と、ヒッチハイクしてきた少年と一緒にコーラの空き瓶を探しながらドライブする場面くらい。
もうひとりの加害者ディック・ヒコック(スコット・ウィルソン)は好青年然として終始明るい笑顔を振りまいていますが、その裏では平気で犯罪を繰り返すサイコであって、そう考えると全然目が笑ってないような気がしてただただ怖い。
モノクロ映画であることも手伝って、ホラーな訳ではないけどしこたま不気味。
「冷血」なのは一体誰なのか?
ムショ仲間から裕福な農場主クラター一家の金庫に大金が保管されていると聞いたディックは、人を殺したことがあると言うペリーを誘って強盗に押し入ります。
しかし金庫があるなんて嘘っぱち。
金庫どころかクラター家には現金すらなく、ディックとペリーが手に入れることができたのはたったの43ドルとラジオだけ。
2人はクラター家の家族4人を惨殺し逃亡しますが、カンザス州捜査局の執念と有力な証言によって逮捕されます。
普通に考えればタイトルの「冷血」が指すのは加害者の2人ってことになるんですけど、でもそれは「明らかに」ってわけではなくて、まあ、「妥当」って感じなんですよね。
ちょっと角度を変えると色んな見方ができるすごいタイトル。
表題の「冷血」は特にこれといった理由もなく、何の落ち度もない家族を惨殺した加害者を表していると言われているが、表向き加害者と友情を深めながら、内心では作品の発表のために死刑執行を望んでいたカポーティ自身を表すのではないかという説もある。
出典:Wikipedia
こんな風にトルーマン・カポーティ自身と取ることもできるだろうし、私は息子に銃を向けるペリーの父親や殺人事件を起こしてもバカ息子を信じてるディックの親もある意味では冷血だと思うし、ペリーとディックに死刑判決を下した陪審員も“隅っこ”と呼ばれる絞首刑の執行場にいた人達も冷血といえば冷血なのかも知れないと思ったりします。
主観的な表現を徹底的に排除した作風になっていて、登場人物の様々な立ち位置に立って冷静に事件を捉えることができる映画です。
映画【冷血(1967)】の感想一言
白黒ではありますが場面の切り替え方やトリックのような映像が美しい。
中でも死刑執行前に独房で懺悔(?)をするペリーの顔に窓の外の雨を映して、まるで滴る涙のように見せる技は秀逸。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。