1957年/アメリカ/監督:ビリー・ワイルダー/出演:タイロン・パワー、マレーネ・ディートリヒ、チャールズ・ロートン、エルザ・ランチェスター、ジョン・ウィリアムス
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
この映画をご覧になっていない方のためにも結末は決してお話にならないように。
出典:【情婦】字幕
近年ではM・ナイト・シャマラン監督の【シックス・センス】で主演のブルース・ウィリスが「この映画の結末は誰にも話さないでください」と前置きをして話題になりましたが、観客にそういった注意喚起をする映画の元祖ではないかと勝手に思ってます。
原作は“ミステリーの女王”アガサ・クリスティの「検察側の証人」。
さすがアガサ・クリスティ。
さすがビリー・ワイルダー。
【情婦】です。
映画【情婦】のあらすじザックリ
殺人事件だけど登場人物良い人ばっかり
常に看護婦を伴うことを条件に退院したばかりの弁護士ウィルフリッド卿(チャールズ・ロートン)は、付き添い看護婦のプリムソル(エルザ・ランチェスター)の止めるのも聞かず早速仕事を再開しようとします。
そこへ弁護の依頼にやってきたのは親しかった未亡人殺しの罪に問われているレナード・ボール氏(タイロン・パワー)。
殺されたお金持ちの未亡人は愛想の良いボールを大層気に入っていて、ボールに妻があることも承知で、まるで恋人のように自宅に招き仲良くしていました。
ところがある日、未亡人は自宅で他殺体となって発見されます。
その日は家政婦も休みで外から侵入された痕跡もなく、しかも未亡人は遺産の相続人の名義をボールに変更したばかり。
当然疑われるのは最後に未亡人と一緒にいたボールで、殺害時刻のアリバイを証明できるのはボールの妻のクリスチーネ(マレーネ・ディートリヒ)のみ。でも容疑者をかばったり偽証したりする可能性もあるので、裁判では身内の証言はあんまり重要でないケースもあるんだってね。
この絶望的な状況を打破するべく白羽の矢が立ったのが、実は結構重病人であるウィルフリッド卿なワケです。
人懐っこいボールを我が子のように恋人のように可愛がっていた未亡人。
「僕はやってない!」と真摯に訴え、ウィルフリッド卿の“片眼鏡のテスト”(どうやら人の嘘を暴く効果があるらしい)に合格したボール。
そんなボールの人柄を見込んで、医者に止められてるのを押して弁護を請け負ってくれるウィルフリッド卿。
「タバコだめ!」「お酒だめ!」と口うるさく注意してはウィルフリッド卿に「お前絶対殺したるからな」などと暴言を吐かれる看護婦プリムソルは、なんと言われようとも軽くいなしてウィルフリッド卿の世話を焼く。(ちなみにプリムソルを演じたエルザ・ランチェスターはチャールズ・ロートンの妻。2人のやり取りはかなり自然で面白い)
ここまでは出てくる人出てくる人基本的には良い人ばかり。
みんなで頑張ってボールの疑いを晴らそう!って気分になってきます。
ただひとり異彩を放つ妻クリスチーネ
ところがボールの妻クリスチーネだけはなんだか異様な雰囲気。
夫が逮捕されたというのに冷静で取り乱す様子もなく、淡々と状況だけを確認します。
ボールの話では夫婦はこの上なく愛し合ってるってことだったのに、クリスチーネの側からはとてもそんな風には見えない。
夫の逮捕なんてまるで他人事。
……えっと、よし。
とりあえずもっと親身になろっか。
もともと身内は役に立たないかも知れないというのに、加えてこんな具合ではまともに証言できるのかも疑問であることから、ウィルフリッド卿は彼女を証人にするのは諦めます。
うん、そうした方がいい。
しかしクリスチーネを演じたマレーネ・ディートリヒはかっこいい。勝手なイメージですけどこの冷淡な雰囲気が「THEドイツ!」って感じ。(ディートリヒはドイツ人)
そして【情婦】はこのマレーネ・ディートリヒに心臓飛び出るくらい驚かされる映画なんですが、冒頭にも書いたとおり結末やストーリーを人に言うたらあかんとのお達しが出ているのでここでは伏せておきます。
とにかく観てみてください。ビックリ度は保証します。
タイロン・パワーより輝いているチャールズ・ロートン!
主役は明らかにチャールズ・ロートン扮するウィルフリッド卿なんですけども。
まあ演技力とか存在感はさておき、タヌキのような風貌のチャールズ・ロートンにはいかんせん華がないんで、作品としてタイロン・パワーとマレーネ・ディートリヒが前面に押し出されがちなワケですが、いやいや、タイロン・パワーよりも断然チャールズ・ロートンの方が輝いてるよ。(マレーネ・ディートリヒは別の意味で際立ってる)
もともとチャールズ・ロートンは【戦艦バウンティ号の叛乱】の頃から好きですけど、今までは「マスコットみたいでかわいい」って感じだったんですけどね。(おい)
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【情婦】でのチャールズ・ロートンは普通にイケメン枠でかっこいい。
フラッフラになりながらも不味い薬を甘いココアで無理矢理流し込んで法廷で弁論する姿なんてもうトム・クルーズですよトム・クルーズ。オーランド・ブルームでもええわ。
タヌキをイケメンに変える魔法のような映画です。
映画【情婦】の感想一言
映画の原題は小説の「The Witness for the Prosecution(検察側の証人)」と同じ【Witness for the Prosecution】なんですよね。
ところが邦題は思いっきり簡略化して【情婦】に。
クリスチーネが鍵となる物語の核は残しつつ(どちらのタイトルもクリスチーネのことを指してる)、【情婦】というタイトルにはマレーネ・ディートリヒの妖艶さもプラスされていて、好きな邦題のひとつです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。