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【戦場にかける橋】武士道・騎士道・クワイ川マーチ…すべて無に帰す

戦争
 20秒で読める概要とあらすじ

1957年/イギリス、アメリカ/監督:デヴィッド・リーン/出演:ウィリアム・ホールデン、アレック・ギネス、ジャック・ホーキンス、ジェームズ・ドナルド、アンドレ・モレル、早川雪州/第30回アカデミー作品・監督・脚色・主演男優・撮影・作曲・編集賞受賞

1943年、日本軍の捕虜収容所にイギリス軍捕虜が送られてくる。ここでの労役はクワイ川に鉄道をかけること。一刻も早く橋を完成させたい日本軍の斉藤大佐、隊の底力を見せつけたいイギリス軍のニコルスン大佐、鉄道の開通を阻止したいイギリス本国…最前線から遠く離れたジャングルで、それぞれの思惑が交錯する。

※このブログはネタバレしようがしまいが気にせずただ映画について書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

脱走を企てる捕虜のシアーズ中佐

©The Bridge on The River Kwai/戦場にかける橋より引用

♪サル・ゴリラ・チンパンジー♪

↑これ、普通に読みました?

いやいや、大多数の人が曲付きで脳内再生されましたよね?

 

意味の無い後付けの3単語がエンドレスで繰り返されるこのテーマ曲をご存知の方は多いと思います。正式な曲名は『クワイ川マーチ』。この映画の大ヒットにより一気に世界中に広まりました。

運動会でもよく使われるくらい呑気で平和的な印象のテーマ曲とは裏腹に、戦争の無意味さや喪失感や虚無感をこれでもかっちゅーくらい表現した名画、【戦場にかける橋】です。

 

 

「橋」を巡るあれやこれや

「橋」をかけたい日本軍(斉藤大佐)

斉藤大佐(早川雪州)が所長を務める捕虜収容所の使命は「クワイ川に橋をかけること」

捕虜収容所所長斉藤大佐

©The Bridge on The River Kwai/戦場にかける橋より引用

こりゃもうどうしようもないんですけど、第二次世界大戦を扱ったアメリカ映画の日本人の描写ってホント…一貫して残忍で無能でジャッピーな感じで描かれますよね。【パール・ハーバー】山本五十六を観た時は吹き出しましたけど。

あれに比べたら【戦場にかける橋】の斉藤大佐なんてマシな方か。最初こそ横暴でしたが、終盤はすっかり丸くなっちゃって、まるでニコルスン大佐の飼い猫。

「横暴な日本軍も認めざるを得ないほどイギリス軍は優れていた」と言いたかったんでしょうね~。

 

規律を守り妥協や甘えを許さないニコルスン大佐

斉藤大佐とタイマンはって勝利したのが大勢のイギリス軍捕虜を従えて収容所にやってきたばかりのニコルスン大佐(アレック・ギネス)。

急を要する橋建設の人材確保のため、将校も労役に加わることを要求する斉藤大佐に毅然ともの申します。

ニコルスン大佐
無理。

捕虜となった将校の労役はジュネーブ協定に反する。

殴られようと蹴られようと飯抜きで幽閉されようと味方である軍医が説得しようと、テコでも譲りません。

最終的には根負けした斉藤大佐に勝利し橋建設の指揮権を実質握る訳で、軍人としてはすごいんやろうなあって思うものの、ニコルスン大佐みたいな人って退役してからどんな人生を送ったのかとかめっちゃ考えてしまいます。

この徹底した融通の利かない頑固っぷりは、平和な市民生活では浮いてしまうんちゃう?

 

ニコルスン大佐自身も最後の方で28年の軍人生活について思いを巡らせ、何のための人生だったのか自問する日々だと言っています。

橋の工事に協力するニコルスン大佐

©The Bridge on The River Kwai/戦場にかける橋より引用

参考 ジュネーブ条約=戦時国際法としての傷病者及び捕虜の待遇改善のための国際条約である。戦地軍隊における傷病者の状態の改善に関する条約、または赤十字条約とも呼ぶ。

 

「生き抜くこと」が何よりも大切なシアーズ

【戦場にかける橋】の登場人物の誰かに成り代われ、と言われたら私は迷わずシアーズ(ウィリアム・ホールデン)を選びます。言うてることや行動が一番まともでシンプル。

将校の厚待遇を受けたいがために戦死した「シアーズ中佐」を騙[かた]り(実はただの二等兵)、捕虜収容所での労役をさぼるために日本兵に賄賂を贈り仮病を使い、ついにはニコルスン大佐が止めるのも聞かず収容所からの脱走を図ります。

それもこれもたった一つの彼の信念のなせる業。

シアーズ
橋や軍律なんかどうでもええ。

一番大切なんは人間らしく生きることやろ。

みんな「勇気」って言葉に酔いしれてるだけや!

これに尽きますよホントに。

しんどかったら賄賂も仮病も使うでしょうよ。死にそうになったらなりふり構わず逃げるでしょうよ。

橋を爆破に行くウォーデン少佐とシアーズ

©The Bridge on The River Kwai/戦場にかける橋より引用

…いやしかしこんな感じやからシアーズって二等兵止まりやったってこと?生きるためなら部下ほったらかして自分だけトンズラしそうやもんな…。

でもニコルスン大佐と反対に、市民生活に戻ればその変幻自在の立ち回り方が評価されて出世するよきっと。

 

 

戦場に橋はかからず、払った犠牲は計り知れない

ニコルスン大佐を始めとするイギリス軍将校及び兵士達の尽力により、クワイ川をまたぐ橋は期日までに見事に完成。

誇らしげに橋を歩くニコルスン大佐

©The Bridge on The River Kwai/戦場にかける橋より引用

映画のラストでは、完成した頑丈そうな橋の周りに「橋を造った者」と「橋を破壊したい者」が各々の正義と信念と責務を胸に揃い踏むという珍妙な事態が起こります。

敵である日本軍の捕虜収容所の所長と友好的な雰囲気のイギリス軍大佐。決死の思いで脱走した収容所へ戻ってきたアメリカ軍二等兵と命に代えても任務を果たそうとするイギリス軍少佐、その部下。

朱縫shuhou
この状況…

もうここまできてしまったらこの先、一体どうなったら正解なんや…

 

ここまで観てるとたぶん誰でもオチは何となく読めてしまうでしょう。

イギリス軍が造った橋だぜ!

©The Bridge on The River Kwai/戦場にかける橋より引用

完成した橋に掲げられ、ニコルスン大佐が満足気に眺めていた

「1943年、ニコルスン大佐率いるイギリス軍が必死こいて造った橋(ドヤァ!)」

と刻まれた小板は爆破された橋の残骸とともに虚しくクワイ川を流れて行きます。

 

自分は軍人ではないからと、丘の上から遠巻きに列車の通過を待っていた軍医が観客の心境を代弁してくれるラストが好きです。

橋の周辺の惨状を目にした観客はみんなこんな気持ちになっているはず。その気持ちは(製作者側の意図するところとしては)正解であることが軍医のセリフから伺えます。

 

軍医
アホな…

 

橋を造って…

爆破して…

通過する列車を乗客もろとも粉砕して…

戦場でなくとも人が死ぬ…

朱縫shuhou
そんなアホな…

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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