1999年/アメリカ/監督:スパイク・ジョーンズ/出演:ジョン・キューザック、キャメロン・ディアス、キャサリン・キーナー、ジョン・マルコヴィッチ、チャーリー・シーン、ショーン・ペン、オーソン・ヴィーン
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

誰でも一度や二度は「自分以外の誰かになってみたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。
TVに映るアイドルみたいに可愛くなりたいと思ったり。
世界で活躍するスポーツ選手みたいに人気者になりたいと思ったり。
アラブの油田王みたいに大金持ちになりたいと思ったり。
そんな「別人願望」を叶えてくれる「穴」があったとしたら、あなたならどうしますか?
入る?入らない?
でもその「穴」に入って「別人」でいられる時間はたったの15分間、しかも誰にでもなれるわけじゃなく「別人」になれる対象はただひとり⸻ジョン・マルコヴィッチのみ。


やめとくか。
【マルコヴィッチの穴】です!
映画【マルコヴィッチの穴】のあらすじザックリ
タイトル「マルコヴィッチの穴」て
クレイグ(ジョン・キューザック)という人形師の男がいました。人形師ってつまり、ヒモを操り人形を動かして劇をするアレです。ストリートで自作の劇を披露したりしてるんですけど、才能がありすぎるためかなんだかよく分からないけど、重いのよ。とにかく彼の創り出す人形劇のテーマは重い。しエロい(時もある)。
実はクレイグが“人形師”であることは重要な伏線になっているとはいえ、いずれにしても今の彼には人形師として身を立てるなんて到底不可能。重いし。
ロッテ(キャメロン・ディアス)という慈愛精神に満ちたペットショップ勤務の奥さんもいることだし、真面目に就職しなさいな。

てなわけでクレイグは、とあるビルの7と1/2階(エレベーターにはボタンがないので7階と8階の間で緊急停止ボタンを押してバールで扉をこじ開けて出る)にあるレスター社で働き始めます。

ここでファイル整理の職に就いたクレイグは、オフィスのキャビネットの裏にちっちゃいドアがあるのを発見。
扉を開けると洞窟のような通路が続いていて、出口は見えません。

これこそが「マルコヴィッチの穴」。
この穴を通るとなんと、俳優ジョン・マルコヴィッチの脳内に入ることができます。
出られなくなるんじゃないかって?ご心配には及びません。15分経ったら自動的にニュージャージーの高速道路の脇の空き地にポイっと投げ出されますから。

あいにく私にも分かりかねます。
なんでマルコヴィッチチョイスか
面白いですよ、だってこんな映画観たことなかったもん。
しかも脳内に入れる対象がジョン・マルコヴィッチて。チョイスが絶妙すぎるやろ。


トム・クルーズではあかんかったんかいな。
絶対あかんよそんなもん。
「トム・クルーズの穴」やったら世界中のファンが殺到してしまうがな。「ブラッド・ピットの穴」も「ジョディ・フォスターの穴」もなし。超人気俳優じゃダメなんです。

ジョン・マルコヴィッチなんか(なんかって)公開当時(1999年)でも“知る人ぞ知る”俳優でしたよ。主演級のルックスではないし、むしろその風貌から悪役や脇役を演じることが多かった俳優ですから。映画ファンにおける知名度は高いものの一般の人には余り知られてなかったでしょう。
映画本編にもこれと同様のエピソードが出てきますんで(「ジョン・マルコヴィッチ」と聞いた人のうち半分くらいは「誰それ?」って言ってる)、ジョン・マルコヴィッチに対する認識に製作国アメリカとのズレはないはず。安心してください。
「マルコヴィッチの穴」だからこそ【マルコヴィッチの穴】は大成功を収めたわけですよ。

ちなみにジョン・マルコヴィッチの親友として本人役で出演しているチャーリー・シーンもなしやからね。主役級俳優だし知名度高いし。
1986年/アメリカ/監督:オリバー・ストーン/出演:チャーリー・シーン、ウィレム・デフォー、トム・ベレンジャー、フォレスト・ウィテカー、ジョニー・デップ/第59回アカデミー作品・監督・編集・録音賞受賞注※このサイトは映画の[…]
映画【マルコヴィッチの穴】の感想一言

「穴を通るとマルコヴィッチの意識に入れる」という発想だけが面白いハチャメチャコメディのように捉えられてしまったかも知れませんが、「なぜビルのオフィスにマルコヴィッチに通じる穴があるのか」という謎も一応回収してくれますし、かなり推せます。
不完全で利己的で愛に飢えているジョン・マルコヴィッチを含む登場人物のみなさん。彼らの姿は痛々しくも滑稽で、そして余りにも身近で、視聴者に奇妙な共感を植え付けます。シュールな笑いと知的な快楽に満ちた傑作ですわ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。















