【ヴァンパイア(1932)】カール・テオドア・ドライヤー

【ヴァンパイア(1932)】C・T・ドライヤーによる夢うつつの怪奇

【ヴァンパイア(1932)】カール・テオドア・ドライヤー

1932年/フランス・ドイツ/監督:カール・テオドア・ドライヤー/出演:ジュリアン・ウェスト、レナ・マンデル、ジビレ・シュミッツ、ジャン・ヒエロニムコ、ヘンリエット・ジェラルド、ジェーン・モーラ

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【ヴァンパイア(1932)】カール・テオドア・ドライヤー
©Vampyr/ヴァンパイアより引用

私は超がつく怖がり屋さんです。【エルム街の悪夢】はおろか【チャイルド・プレイ】ですら怖くて視聴することができません。

【オーメン(1976)】だけは幼少期にTVで観てしまった ・・・・・・ことがありますが、白昼の往来で誰かの胴体が真っ二つになるシーン(?うろ覚え)が死ぬほど怖かったので二度と観ることはないでしょう。

【リング】【呪怨】と云ったジャパニーズホラーは問題外。TVCMで一瞬映り込む映像だけでもしばらく夜一人で寝られなくなるほど怖い。やたらに恨めしそうなロン毛の女とか白目の無い子供とか、アレ一体なんなの?

この世から消えてなくなればいい。

それにしてもお前の怖がり方は異常やで。

私の怖がり度を知った連中は大抵こんな風にのたまいます。そんな時はこう返すようにしています。

朱縫shuhou
やかましい! オンドレとは“想像力”が違うんじゃ!

そう、逞しい想像力が絶えず私を怖がり屋さんにさせるのです。

本日の映画【ヴァンパイア(1932)】なんかはまさしく、観る人の想像力で恐怖度が変わる稀有な名画と言えるのではないでしょうか。

 

 

 

映画【ヴァンパイア(1932)】のあらすじザックリ

アラン・グレイというフランスの田舎町を旅する青年が、とある村の城の近くの宿屋にやって来た。その晩、アランの部屋に見知らぬ老人が訪れ、1冊の本を置いて去っていく。翌朝、村を徘徊していたアランは、自在に動く影を持つ義足の兵士と不気味な医者の姿を目にする。

 

 

想像力で恐怖の度合いが変わる映画

例えばホラー映画を視聴していて、画面に川辺を歩くひとりの男性が映し出されたとしましょう。背広姿で荷物を抱えた何の変哲もない旅行者です。

【ヴァンパイア(1932)】カール・テオドア・ドライヤー
©Vampyr/ヴァンパイアより引用

そこに短調の恐怖の旋律が流れてきたとします。

すると私のようなウルトラ臆病な人種はこんなことを想像するワケですよ。

朱縫shuhou
(後ろから誰かが追いかけてきたらどうしよう…)
朱縫shuhou
(大事そうに抱える鞄の中に絶対何かある…)

それも「追いかけて来る誰か」や「鞄の中に隠している何か」を、必要以上に恐ろしい姿で想像してしまうんです。

さらにその想像力は画面を抜け出しこんな風に増進していきます。

朱縫shuhou

(ちょっと待って…)

(今振り向いたら後ろに誰かおるかも知れへん…!)

視覚的な恐怖だけでなく感覚的な恐怖も想像したりします。

朱縫shuhou

(私も皮剥がれたりしたらどうしよう)

朱縫shuhou

(私も狭い場所に閉じ込められたりしたらどうしよう)

こうして単に目で見て耳で聞く以上に、「想像しうる恐怖」がどんどん膨らんで行くんですよね。

【ヴァンパイア(1932)】カール・テオドア・ドライヤー
©Vampyr/ヴァンパイアより引用

【ヴァンパイア(1932)】はきっと、こういった「勝手に怖いことを想像しちゃう人」でもない限りは1ミクロンも恐怖を感じないファンタジー吸血鬼映画です。

 

ドライヤー監督が狙った通りの「夢うつつ」

一応トーキーだけどセリフが極端に少ない【ヴァンパイア(1932)】は、徹頭徹尾 かすみがかったような超自然的な雰囲気に包まれていて、これが夢であるのか現実であるのかも定かではありません。

【ヴァンパイア(1932)】カール・テオドア・ドライヤー
©Vampyr/ヴァンパイアより引用

ストーリーはあるにはあるけどかなり突拍子もない展開が待っているので明確に筋立ててしまうのはナンセンス。不明瞭な映像と脈絡のない物語は不可思議な映画に仕上げようとしたカール・テオドア・ドライヤー監督の狙い通り。

自分が感じたまま素直に受け止めるのが正解だと思います。

 

棺桶の窓から空を仰ぐ恐怖

決して怖い映画ではありませんが、「怖さ」があるとしたら貞子がTVから這い出てきて「ギャーッ!」みたいなチープな「恐怖」ではなくて、神や死を恐れる「畏怖いふといった印象。

なかんずく私が「子供の頃に観なくて良かった」と心底思ったのは、邪悪なものについて研究してばかりいる変人のアラン・グレイ(ジュリアン・ウェスト)が、意識があるまま棺桶に入れらる場面。

【ヴァンパイア(1932)】カール・テオドア・ドライヤー
©Vampyr/ヴァンパイアより引用

幽体離脱(?)したアランが棺桶に横たわる自分自身を目にしたあと、視点は徐々に棺桶の中のアランのものへと切り変わって行きます。

アランにまだ意識が残っていることを知ってか知らずか、老婆の姿をした吸血鬼マルグリット・ショパン(ヘンリエット・ジェラルド)の2人の手下(ひげ面の医師(ハン・ヒエロニムコ)と義足の兵士)は手際よく棺桶を密閉し、どこかへ運び出すんです。

【ヴァンパイア(1932)】カール・テオドア・ドライヤー
©Vampyr/ヴァンパイアより引用

アランはこの一部始終を棺桶の中から見つめています。

【ヴァンパイア(1932)】カール・テオドア・ドライヤー
©Vampyr/ヴァンパイアより引用

小窓から自分をのぞき込む医師と兵士がちらちらと見えたかと思ったら、次に目に飛び込んでくるのはただひたすら村の建造物の屋根・木・空…。

 

この映像を「怖い」と感じるのは想像力というよりもその人の死生観によるのかも知れませんけど、私がもしこの場面を幼い頃に観ていたらちょっとしたトラウマになっていた自信があります。

 

 

映画【ヴァンパイア(1932)】の感想一言

朱縫shuhou

もしかしたらこの映画全部がアランの見ている夢か、果ては【ヴァンパイア(1932)】を観たこと自体が夢だったのかと思わせるほどのフワフワした映画。

筋書きが明らかでないため、観るたびに登場人物や風景が変わっていようが気にならないであろうファジーさは唯一無二です。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

【ヴァンパイア(1932)】カール・テオドア・ドライヤー
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