1942年/アメリカ/監督:アーヴィング・ラパー/出演:ベティ・デイヴィス、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ、グラディス・クーパー/第15回アカデミー作曲賞受賞
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今日の映画は「元祖【プリティ・ウーマン】」って言うてもええんちゃうかと思ってます。
1990年/アメリカ/監督:ゲイリー・マーシャル/出演:リチャード・ギア、ジュリア・ロバーツ、ローラ・サン・ジャコモ、ラルフ・ベラミー、ジェイソン・アレクサンダー注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこ[…]
絶対モテへん地味なおばちゃんが「大女優ベティ・デイヴィス」に変貌する場面は息を呑む美しさです。
男女の出会いから恋愛関係に発展するまでが短期間であったり、恋した相手が妻子持ちの不倫劇であったり、お昼のメロドラマのようなメロメロしさは終始漂っていますが、ありきたりでも安っぽい訳でもない。だって主人公がボストンの名家のお嬢様だから、近所のおばはんの不倫愛とはそもそものスケールが違う。
主人公の考え方に納得はできませんけど、私の大好きなベティ・デイヴィスの魅力を堪能できる名作、【情熱の航路】です。
映画【情熱の航路】のあらすじザックリ
太眉の冴えないオールド・ミスが「ベティ・デイヴィス」に変身!
ボストンの名家ヴェール家の長女シャルロッテ・ヴェール(ベティ・デイヴィス)。
シャルロッテには何人か歳の離れた兄がいますがみんな独立していて、今ヴェール家のお屋敷に住んでいるのはシャルロッテと当主である母親のみ。
母親が歳をとってから生まれた「恥かきっ子」のシャルロッテは、子供の頃から母親につらく当たられ何年も自室に軟禁状態。母親の行き過ぎた束縛としつけはシャルロッテが「オールド・ミス」「行き遅れ」と言われる年齢になった今なお続き、彼女は「一人娘」と言うよりはまるで使用人のような生活を送っていました。
このオカンの歪んだ愛情ときたらまったく不可解で、服装から髪型からシャルロッテのやることなすこと細かく制限し、彼女の意見になど微塵も耳を貸しません。シャルロッテはすっかりイジけた陰気なオールド・ミスになり果てています。
そんな彼女を不幸に思った義姉のはからいで(兄貴ちゃうんかい)、シャルロッテは精神分析医ジャクイス(クロード・レインズ)の療養所に預けられることになります。
毒親のもとを離れて治療に専念すること三か月…。
ジャクイス医師の療養所にはかつてのひねくれたオールド・ミスと同一人物とは思えないゴージャスなレディーに変貌したシャルロッテがいました。
ここで改めて実感するのは「人間(特に女性)の顔面における眉毛の重要性」。もちろん髪型とか服装とかもかっこいいんですけどね。髪型なんてオールバックでうなじも露 わなまとめ髪で、宝塚歌劇の男装の麗人のようでめちゃくちゃ艶 やか。
しかしそれもこれも「ゲジ眉からの細眉」のインパクトの前では色褪せます。
女性のみなさん、仮に口紅も頬紅もアイシャドウもダイエットもしないとしても、眉毛くらいはきちんと整えておきましょう。
本当にそれ以上は望まないの?
ジャクイス医師と義姉からの退院祝いとして(或いはオカンからか?)、シャルロッテは豪華客船での一人旅を許されます。シャルロッテはその船上で出会った妻子持ちのジェリー・デュランス(ポール・ヘンリード)という男性と恋に落ちるのでした。
ジェリーはかなり早い段階から自分に妻子がいることをシャルロッテに打ち明けていますから、彼に悪意がないのは分かるんですけど、それにしてもジェリーに恋をし深みにハマっていくシャルロッテが気の毒。
ジェリーの友人が「ジェリーはノリで結婚してしまってすでに夫婦関係は破綻している(失礼やな)」というようなことを教えてくれるものの、じゃあなんでシャルロッテのために離婚しないのよジェリーさんよ?って感じですよ。妻がカトリックなんだったかな?
てか離婚できないならできないでそもそもええ歳こいた未婚女性にちょっかい出すんじゃないわよ。明らかにシャルロッテはあなたに恋しちゃってんじゃないのさ。
一方シャルロッテ本人はというと、シャルロッテと同じように母親から嫌われて精神を病んでいるジェリーの末娘と運命的に出会い、彼女を引き取って自宅に住まわせることを決意します。
そして言うことには「ジェリー、お月様を求めるなんてやめましょう。私達には星があるんだから」って、それって何なの、「お月様」が「正妻のポジション」で、「星」が「ジェリーの末娘」ってこと?
「妻にはなれないけどあなたの子供を育てるからいいわ」?
それヤバないか?
次の男ができたら絶対末娘が邪魔になるパターンやで。
さっき可哀想って書きましたけど、シャルロッテはシャルロッテで、このように「女性にとって結婚はすべてではない」とさらっと言ってのけます。ただ妻子持ちのジェリーを愛しちゃったけどね、ふふ、みたいな。
往々にして不倫してる人ってこんなこと言って開き直ったり(?)しがちですけど、ちょいちょい、って思いますよね?
そら今はええわいな、ってことですよ。
子供も連れ合いもおらへんで、老後どんなけ寂しいか想像してみたことある?
友達がおるやんって言うても所詮は他人やし、最後にはやっぱり家族でっせ。
小道具のタバコが絶妙
とは言えやっぱりシャルロッテとジェリーの純愛はメロメロしくてTVの前のおばちゃんからするととても好ましい。メロドラマはドロドロであればあるほど好ましい。
ジェリーが再三に渡ってやってのける「二本つけたタバコを一本渡す」仕草にはどうしようもない男の色気が漂っていますしね。
もうタバコ止めたけど、吸ってた頃に男にこれやられてたら普通に一線超えてたね。ベッドインやでベッドイン(古い)。
映画【情熱の航路】の感想一言
タバコの下りと言い、公然の不倫と言い、現代では理解しがたい内容な気がしますけど(今だったら公然と不倫する前に離婚するよね)、「1940年代のメロドラマ」と割り切って観ると面白い。
そしてやっぱりベティ・デイヴィスの演技は良くも悪くも人の心に突き刺さります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。