【ノスフェラトゥ(1979)】

映画【ノスフェラトゥ(1979)】あらすじ感想。1922年版のリメイク作

【ノスフェラトゥ(1979)】

1979年/西ドイツ・フランス/監督:ヴェルナー・ヘルツォーク/出演:クラウス・キンスキー、イザベル・アジャーニ、ブルーノ・ガンツ、ローラン・トポール、ワルター・ラーデンガスト、ダン・ヴァン・ハッセン

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【ノスフェラトゥ(1979)】
©Nosferatu: Phantom der Nacht/ノスフェラトゥより引用

【吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)】に感銘を受けたドイツ人映画監督ヴェルナー・ヘルツォークが、オリジナル版の世界観を崩すことなく現代の技術を駆使して丁寧に撮ったリメイク作。

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【吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)】

西ドイツとフランスの合作で、バックに流れる音楽と鮮やかな色彩の映像が美しすぎて、ホラー映画というよりは歴史ある美術館のプロモーションビデオみたい。

ヘルツォーク監督の【吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)】への愛もひしひしと伝わってきます、【ノスフェラトゥ(1979)】です。

 

 

 

映画【ノスフェラトゥ(1979)】のあらすじザックリ

ブレーメンに住む不動産業者ジョナサン・ハーカーは、トランシルヴァニアのドラキュラ伯爵からの新しい邸を買いたいという求めに応じて長い旅に出た。やっと辿りついたドラキュラ邸では、伯爵が丁重なもてなしをしてくれた。その頃、家ではルーシーが悪夢にうなされていた。

 

 

F・W・ムルナウ監督【吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)】のリメイク作

「『吸血鬼ドラキュラ』を扱った映画の最高峰」とされる【吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)】を忠実にリメイクした映画。

オリジナル版でもっとも有名だと思われる、ドラキュラ伯爵(オリジナル版:マックス・シュレック、リメイク版:クラウス・キンスキー)が窓からこちらを覗いているシーンもこの通り。

【ノスフェラトゥ(1979)】
©Nosferatu: Phantom der Nacht/ノスフェラトゥより引用

とにかく映像と音楽が美しく、40年以上も前に公開された映画だとはとても思えません。

ポップな感じで捉えられてしまうと困るんですけど、他に表現の仕方を知らないのでそのまま書きますと、コントラストがくっきりしていて色彩が鮮やか。映像美だけに関して言えば、当然ながら100年近くも前のサイレント映画である【吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)】とは雲泥の差があるはずなのに、オリジナル版からかけ離れた別物に仕上がっていないというのは、ひとえにヴェルナー・ヘルツォーク監督の「ノスフェラトゥ愛」の賜物なんでしょう。

【ノスフェラトゥ(1979)】
©Nosferatu: Phantom der Nacht/ノスフェラトゥより引用

視聴の際は新旧続けてご覧になるのがおすすめです。きっと感動が増します。

 

 

美しく彩られた“ノスフェラトゥ”

美しいのは音楽と色彩だけでもなくて、【ノスフェラトゥ(1979)】では邪悪な吸血鬼であるはずのドラキュラ伯爵までもがクリーンナップされています。

オリジナル版では単なるモンスターであったドラキュラ伯爵に、性格付けがされているんですね。しかもその付け加えられた性格というのは、ヘタレの一言に尽きます。

【ノスフェラトゥ(1979)】
©Nosferatu: Phantom der Nacht/ノスフェラトゥより引用

【ノスフェラトゥ(1979)】のドラキュラ伯爵はですね、不動産の斡旋にやってきたジョナサン・ハーカー(ブルーノ・ガンツ)やその妻ルーシー(イザベル・アジャーニ)に、泣き言吐くんですよ。

「お前孤独って分かるか?」とか、「死ぬことより永遠に生きることの方がはるかに辛いんやぞ」とか。

朱縫shuhou
ブツクサ言うとらんとモンスターらしく一心不乱に美女の生き血を求めんかいな…。
【ノスフェラトゥ(1979)】
©Nosferatu: Phantom der Nacht/ノスフェラトゥより引用

近年特に「モンスターにも実は隠している人の心がある」みたいな設定が好まれる傾向にありますけど、人間のエゴで作られたフランケンシュタインの怪物や人として生まれたのに外見が崩れてしまったエレファントマンならともかく、闇の申し子であるドラキュラ伯爵に人の心をチラつかされると正直ちょっと萎えるところではあります。

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ボリス・カーロフ

 

当てにならないヴァン・ヘルシング教授と吉本新喜劇も真っ青のコケ

【ノスフェラトゥ(1979)】の完成された世界観を壊すようで恐縮ですが、この美しい映画にはどうしてもツッコミたくなる箇所も存在します。

それも2箇所も。

 

まずは2004年にはヒュー・ジャックマン主演でイケメン吸血鬼ハンターとして映画化までされてしまったヴァン・ヘルシング教授(ワルター・ラーデンガスト)がですね、全然役に立たないんですよ。

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ヴァン・ヘルシング教授と言えば、小説「吸血鬼ドラキュラ」でドラキュラ伯爵の脅威におののく人々に様々な助言(弱点や撃退方法)を与え、最終的に伯爵を闇に葬る救世主な訳ですよ。原作ではイケメンじゃなくてただの植物学者かなんかやってる爺さんなんですけども。

【ノスフェラトゥ(1979)】
©Nosferatu: Phantom der Nacht/ノスフェラトゥより引用

ところがどっこい【ノスフェラトゥ(1979)】のヴァン・ヘルシング教授は、ルーシーが「吸血鬼を退治するから手伝ってください!」と助けを求めた時、なんて言ったと思います?

ヴァン・ヘルシング教授

吸血鬼なんて迷信やって。

 

?!

 

もうひとつのツッコミどころは、ジョナサンがドラキュラ城を目指して旅をしている時。

とある宿屋でジョナサンが「ドラキュラ城に行きたいんやけど」と口にした瞬間、宿屋の主人と女将さんばかりか客全員が一斉にこっち向いて固まるんです。

【ノスフェラトゥ(1979)】
©Nosferatu: Phantom der Nacht/ノスフェラトゥより引用

おじゃましまんにゃわあ~!

ふんわかぱっぱ!ふんわかぱっぱ!ふんわかぱっぱっぱ!

 

 

映画【ノスフェラトゥ(1979)】の感想一言

朱縫shuhou

オリジナル版に忠実であった本編に対してラストだけが正反対に改変されているのは、ドラキュラ伯爵に前述のような性格付けをしてしまった時点で避けられなかったように思います。

「人であった頃の記憶」を心の奥底に秘める「哀しい(ヘタレの)吸血鬼」はこうして生まれるのですね。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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