1976年/アメリカ/監督:ブライアン・デ・パルマ/出演:シシー・スペイセク、パイパー・ローリー、ベティ・バックリー、ウィリアム・カット、ジョン・トラボルタ、ナンシー・アレン、エイミー・アーヴィング、P・J・ソールズ
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

【シャイニング(1980)】、【スタンド・バイ・ミー】などの著作で知られるアメリカのホラー小説家スティーブン・キング。
1980年/アメリカ/監督:スタンリー・キューブリック/出演:ジャック・ニコルソン、シェリー・デュヴァル、ダニー・ロイド、スキャットマン・クローザース、バリー・ネルソン、フィリップ・ストーン、ジョー・ターケル注※このサイトは[…]
1986年/アメリカ/原作:スティーブン・キング/監督:ロブ・ライナー/出演:ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル、リチャード・ドレイファス、キーファー・サザーランド、ケイシー・シー[…]
彼の小説を原作とする数ある映像化作品の中でも特に高い評価を得ているのが本日の映画、【キャリー(1976)】。
父親が整形外科医だったブライアン・デ・パルマ監督の目には、血液が“綺麗”に映ったと言います。
道理で、だから血に始まり血に終わるんか。
甘い青春の香りをちょっぴり利かせたモダン・ホラーにテレキネシスを融合した贅沢な映画。
2013年にはクロエ・グレース・モレッツ主演でリメイクされています。
映画【キャリー(1976)】のあらすじザックリ
キャリーはいじめられっ子、で、テレキネシスの持ち主?
高校生のキャリー・ホワイト(シシー・スペイセク)は、冴えない容姿と地味なキャラクターのため学校でいじめに遭っています。
ある日の体育の授業後のこと。シャワーを浴びている最中にキャリーが出血。

なんのことはない、ただ生理が来ちゃっただけなんですけど、驚くべきことにキャリーは今出血したこの瞬間まで初潮も生理も知らなかったんです。
いきなり前知識もなく自分の体から流れ出る血を見たキャリーは大パニック。

裸で錯乱するキャリーを見た他の女生徒たちはシャワー室に備え付けてあるナプキンをキャリーに投げつけて大喜び。

みんな!キャリーが生理になったってよ!
ナプキン投げてあげてー!
きゃははは!

ひとりとして友達のいないキャリーが校内で唯一頼れるのは女性体育教師のコリンズ先生(ベティ・バックリー)だけ。

こんな鬱屈した生活の中で、キャリーは自分がテレキネシスを持つ超能力者であることに気付きます。強く念じれば手を触れることなく物体を動かすことができたりする、アレです。

…いやそんなことないか、いじめられて溜まった負の感情が秘めたる超能力を呼び覚ますとか、常人には理解できない超能力のお陰でいじめられるとか、「いじめられっ子」と「超能力者」の親和性って結構高いのかも。
この能力がのちの惨劇を招く引き金になるのです。
狂信的にキリストを崇拝するパイパー・ローリー
そもそもどうしてキャリーが高校生まで生理のことを知らなかったかというと、キャリーの母親マーガレット(パイパー・ローリー)に問題があるんです。

夫に逃げられた(キャリーはもちろん町じゅうの人が知る事実らしい)マーガレットは狂信的なキリスト教徒。性交渉はおろか男女交際も生理ですらも汚れていると信じていて、当然キャリーに初潮や生理について教えることもありませんでした。セックスはともかく生理なんかどないせえっちゅうねん。
シャワー室で出血した日、家に帰ったキャリーが生理のことを母親に伝えると、母親は(なぜか)怒り狂ってキャリーを叩きのめします。「やましいこと考えてるから生理がくる」?んなワケあるか。

おっそろしいんですよこの母親が。言うてること無茶苦茶なのに、ちょっとでもキャリーが口応えしようもんなら折檻折檻ですわ。
大体性交渉が汚れた行為やって言うてるけど、ほんならお前はどないしてキャリーを授かったんやっちゅうねんねえ?
まあキャリーを授かった理由については作中で母親自ら明かしてくれるんですけども。
このイカれた母親を演じたのは【ハスラー(1961)】のヒロイン役が美しかったパイパー・ローリー。
1961年/アメリカ/監督:ロバート・ロッセン/出演:ポール・ニューマン、ジョージ・C・スコット、ジャッキー・グリーソン、パイパー・ローリー、マイロン・マコーミック/第34回アカデミー美術(白黒)・撮影(白黒)賞受賞注※この[…]
美しいのにただのお飾りじゃなくて汚い役も悪役も演 ってくれるから好きです。
映画【キャリー(1976)】の代名詞シシー・スペイセク
そしてパイパー・ローリーに負けず劣らずの圧巻の演技で映画【キャリー(1976)】そのものの代名詞となったのがシシー・スペイセク。
キャリーと言えばシシー・スペイセク、シシー・スペイセクと言えばキャリー。

生まれて初めて母親に逆らって参加したプロムパーティでのキャリーは、これがあの地味ないじめられっ子と同一人物だとは信じられないほどにキュートで華やかな女の子に変身します。
それがですよ。

テレキネシスを爆発させるラストでは悪鬼ですよ悪鬼。地獄の閻魔。

確かにこの時のキャリーは怖いんだけど、ここまで映画を観てきた観客にはキャリーの抑圧された感情が爆発していることが痛いほど伝わってきます。
観客は悲しいような悔しいような非常に複雑な気持ちで悪鬼と化したキャリーが引き起こす惨劇を見守らなければなりません。
それもこれも“キャリー”という難役を見事に演じてくれたシシー・スペイセクありき。
ホラー映画でありながら深く感情に訴えかけてくる映画です。
映画【キャリー(1976)】の感想一言
いじめはあかん。家庭内虐待もあかん。抑圧したらどんなカタチであれいずれ爆発するんですって。
抑圧された何かが爆発していじめたヤツ単体に仕返しするならまだいいけど、抑圧された側がキャリーみたいにテレキネシスを持ってないとも限りませんやん。超能力者だった場合は映画みたいな無差別大量殺人に繋がりますよ。
そうでなくてもなにがなんでもいじめはあかん!
おい聞いてんのかジョン・トラボルタ!

※ジョン・トラボルタは女子のリーダー的存在クリス(ナンシー・アレン)の色香に惑わされて「キャリーいじめ」に加担するアホのビリー役で出演しています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。