1958年/アメリカ/監督:ヴィンセント・ミネリ/出演:レスリー・キャロン、モーリス・シュヴァリエ、ルイ・ジュールダン、ハーミオン・ジンゴールド、イザベル・ジーンズ、エヴァ・ガボール/第31回アカデミー作品・監督・脚色・撮影(カラー)・ミュージカル映画音楽・歌曲・美術監督装置・衣装デザイン・編集賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
鑑賞する前、この映画のことを、
【マイ・フェア・レディ】のフランス版?
って思ってました。あらすじが似てたんで。
1964年/アメリカ/監督:ジョージ・キューカー/出演:オードリー・ヘプバーン、レックス・ハリソン、スタンリー・ホロウェイ、ウルフリッド・ハイド=ホワイト、グラディス・クーパー/第37回アカデミー作品・監督・主演男優・編曲・録音・撮[…]
しかし鑑賞後の感想は、
【マイ・フェア・レディ】の劣化版?
って印象です。
【マイ・フェア・レディ】の方が後に制作(1964年)されてるんですけどね?
本日は【マイ・フェア・レディ】と比較しつつ、大まかなプロットは同じではあるはずなのになぜにこんなにおもろないのかという疑問に迫ってみたいと思います。
【恋の手ほどき】です。
映画【恋の手ほどき】のあらすじザックリ
【恋の手ほどき】に足りないもの①ヒロインの魅力
ああ~…。
「ヒロインに魅力が足りない」とか言うてもーたー…。ひどいひどい~…。
いやちゃいますちゃいます、ちゃうんですよ。
単に【マイ・フェア・レディ】のイライザ(オードリー・ヘプバーン)と【恋の手ほどき】のジジ(レスリー・キャロン)の外見的な魅力の落差を言っているわけではないんです。
それもあるにはあるんですけど(そんなもんオードリー・ヘプバーンに敵う女優もそうそうおらへんがな!)、それを差し引いてもですよ、「ジジ」は「キャラクター」そのものの魅力に欠けるんです。
【恋の手ほどき】のジジは、家柄も本人の内面も、もともとそんなに酷くないです。
母親に育児放棄されているものの、祖母がまだまだ健在で、その祖母の妹はかつて社交界に君臨していた正真正銘の貴婦人です。家柄は文句なしだし本人だってちょっとお転婆なだけで“レディ”として全然許容範囲。
片や【マイ・フェア・レディ】のイライザは、生まれも育ちも劣悪。
イライザのオトンなんかイライザに言葉遣いを教えてくれている教授の家に悪態つきながら殴り込んできますからね。そんなオトンに育てられたもんだから、花売りをしていた時のイライザだってガラの悪いことヤクザのごとしですよ。
そこが問題。
「まあまあ裕福な家庭の無邪気な少女がレディに成長する」お話と、「ガラの悪いヤンキーがレディに成長する」お話と、どっちがおもろいかってことです。
前者は振れ幅が少なすぎるんですよね。
「ビリギャル」は何がおもろかったのかと言うと、「学年ビリのギャルが慶応に受かった」ことがおもろいんであって、「学年トップのガリ勉が慶応に受かった」のではゴールは同じでもそこに至るまでのドラマ性が全然違います。
実は読んでないんで内容知らないんですけど(知らんのかい)。「ビリギャル」。なんか語感がええからもっぺん言うてみよ。「ビリギャル」。
【恋の手ほどき】に足りないもの②相手役の魅力
そしてジジと恋に落ちるお兄ちゃんにしてもですよ。
【恋の手ほどき】のジジの相手役ガストン(ルイ・ジュールダン)には、もともと巨乳の恋人がいます。その彼女にフラれて傷心していた時にジジの無垢な魅力に気付く訳です。
仮にジジと出会っていなかったとしてもガストンはもともと若くて金持ちでハンサムですから、他に女なんていくらでも寄ってくるでしょう。
一方【マイ・フェア・レディ】の相手役ヒギンズ教授(レックス・ハリソン)は、イライザに出会った頃からすでにもうええ歳したおっさんです。偏屈で堅物で周囲に女性の影なんてまったくなし。このショボいおっさんが美しいオードリー・ヘプバーンと恋に落ちるなんて誰が想像できたでしょうか。
ずっと偉そうにしていたヒギンズ教授が、イライザがいなくなって初めて自分の気持ちに気付きどうすればいいのか分からず葛藤する姿は滑稽で同情すら覚える。でもイライザ目線で観ているとこの滑稽さが快感なんですよ。
ガストンとジジでは普通にお似合いすぎてドラマティックさに欠けます。
【恋の手ほどき】に足りないもの③レディとして振り切ってない
【マイ・フェア・レディ】の終盤のイライザは、もう元のガラの悪さなんて毛の先ほども見当たらないくらい骨の髄まで「レディ」が浸透しています。
釈然としない態度のヒギンズ教授に怒鳴ったりもしますが、怒鳴り方だって以前のそれとは全く違うものです。
しかし【恋の手ほどき】の終盤のジジには、まだ元のままの無邪気さが残っています。
本質は変わってないのです。
最初に書いた通りジジは「もともとそんなに酷い子ではない」ですから、なんやったら「ただわんぱく少女が恋をして成長しただけ」のお話になってしまっています。
そんな風に解釈するとそれはもうただパリの片隅のとあるカップルの日常を切り取っただけのことで、そらそんなもんを映画にしたっておもんないわなって仕上がりになるのも頷けますよね。
映画【恋の手ほどき】の感想
ちょっとあかんかな。
【マイ・フェア・レディ】と比較するなんてひど過ぎる?
いやでもね~。比較対象なしでそのままレビューを書こうとするとねえ~、
●「異性として意識するようになりました」
●「少女は恋をし女性に成長するのでした」
てな感じの抑揚の少ない起承転結で終わっちゃうんですよね~。
全然おもろない映画の全然おもろないレビューでした!ごめんね!ビリギャル!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。