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【我等の生涯の最良の年】ワイラーの傑作!あらすじと観た感想

クラシック
映画の概要と注意事項

1946年/アメリカ/監督:ウィリアム・ワイラー/出演:マーナ・ロイ、フレドリック・マーチ、ダナ・アンドリュース、テレサ・ライト、ヴァージニア・メイヨ、キャシー・オドネル、ハロルド・ラッセル/第19回アカデミー作品・監督・主演男優・助演男優・脚色・編集・ドラマコメディ音楽・特別・記念賞受賞

注※このブログは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

ブッチのバーでも偶然一緒になり酒を酌み交わす3人

©The Best Years of Our Lives/我らの生涯の最良の年より引用

「帰還兵」と聞いて私が真っ先に思い出すのは実はシルヴェスター・スタローン主演の【ランボー】やったりします。ベトナムでのゲリラ戦で無敵を誇った男ジョン・ランボーが涙ながらにその心情を吐露する場面には号泣したもんです。

あっちはベトナム戦争、こっちは第二次世界大戦と、時代は違えどやっぱり兵役を終えて市民生活に戻った人々の苦悩や苦難ははかり知れません。

 

第19回アカデミー賞で9部門を受賞した名画、【我等の生涯の最良の年】です。

 

 

映画【我らの生涯の最良の年】のあらすじザックリ

第二次世界大戦が終結し、同郷のアル、フレッド、ホーマーの3人の帰還兵は偶然同じ軍用輸送機に乗り合わせ故郷に帰ってきた。事故で両手を失ったホーマーは家族の対応に戸惑い、元銀行員のアルは妻と子供達と幸せを噛みしめ、新婚だったフレッドは職探しに明け暮れる。

 

 

同郷の3人の帰還兵が共に帰路につく

物語はフレッド・デリー(ダナ・アンドリュース)、アル・スティーブンソン(フレドリック・マーチ)、ホーマー・パリッシュ(ハロルド・ラッセル)という同郷の3人の帰還兵が一緒に軍用輸送機に乗り合わせて帰宅の途につくところから始まります。

出身地が同じであるだけで年齢も階級も違う3人は、機内でそれぞれの戦場での体験談や故郷での暮らしぶりなどをざっくばらんに語り合い打ち解けるのです。

偶然乗り合わせた3人

©The Best Years of Our Lives/我らの生涯の最良の年より引用

面白いのは3人の軍隊と市民生活での階級がまったく違うという点。

軍隊で最も階級が高かったのは大尉のフレッド、次が軍曹のアル、そして海兵のホーマーと続きますが、市民生活においてはアルが高級ホテルのクロークみたいな管理人が常駐する高級マンションに住む富裕層、ホーマーは一般的な生活を営む中流家庭、そして下町のほったて小屋みたいな家に住むフレッドは貧困層

そしてこの3人の中で復職に最も苦労するのはやはり貧困層のフレッドなのです。

 

軍での英雄的活躍も数々の勲章も、市民生活においてはまったく関係ないことがうかがえます。

 

 

事故で両手を失った海兵:ホーマー

3人の中で唯一独身で最も若い海兵のホーマーは、爆撃によって手を吹き飛ばされ、義手になって帰ってきました。

談笑するホーマー一家

©The Best Years of Our Lives/我らの生涯の最良の年より引用

軍病院でのリハビリの甲斐あって日常生活に困ることはほとんどないとホーマーは言いますが、戻ったホーマーのその手を最初に見た母親は泣きだし、父親はホーマーの前で極力を手を使う動作をしないように努め、自分を腫物扱いする周囲の人間にホーマーは嫌気がさして心を閉ざしていきます。

「…今まで通りでいいのに!」って言うホーマーの言い分も解りますけど、親の立場やったら絶対そうなりますよね?私だって息子が両手無くして戦争から帰ってきたら号泣してしまう…。

 

これに関してはホーマーの叔父さんのブッチがええこと言ってます。

ブッチ
君も周囲の人々も

慣れるしかないんや

そうなんです。無くなった手は戻ってきませんもん。もう慣れるしかない。

 

最初から全然ブレないウィルマの愛

3人で軍用機に乗っていた時のホーマーの心配事は、婚約者のウィルマ(キャシー・オドネル)がこの義手を見てどんな反応をするかということでした。

実際に会ってみると、少し驚いた表情は見せたものの、ウィルマはすぐさまホーマーに駆け寄り首に腕を回り抱きしめ満面の笑みで「おかえりなさい」と言ってくれます。

 

でもホーマーは周囲の人間の自分への対応から疑心暗鬼になっていき、次第にウィルマの愛情を素直に受け止められなくなり、自分とは一緒にならない方がいいと冷たい態度を取るようになります。

銃の練習をするホーマー

©The Best Years of Our Lives/我らの生涯の最良の年より引用

いよいよウィルマとは別れてしまうのかという時、フレッドに背中を押されたホーマーはダメでもともととばかりに就寝前の自分の姿をウィルマに見せます

 

服は脱げる。

寝間着も着られる。(ボタンだけは無理)

そして義手を外す。

 

…ここからが問題。

 

当然ながらホーマーは、一旦義手を外してしまうと朝起きて誰かに付けてもらわない限りは身の回りの一切ができなくなってしまうのです。

ホーマー
…どうだい?

僕と一緒になることがどれだけ大変か分かったろう?

こんなことは序の口だ

他にもどれだけ苦労する場面があることか…

このシーンのウィルマの表情は【我等の生涯の最良の年】の中でも最もええ演技ちゃうかと思うほど素晴らしい。これまで何の相談もしてくれず勝手に身を引こうとしていたホーマーの前でずっと不安そうな顔をしていたウィルマが、過酷な現実を突きつけられてようやく安堵の笑顔を浮かべるのです。

 

「なんやそんなこと心配しとったんかいな~」とばかりにウィルマは嬉しそうにホーマーの寝間着を整えベッドに横たわらせ、義手を脇の椅子に丁寧に置き、「愛してる。二度と離れない」と告げます。

結婚式を挙げるホーマーとウィルマ

©The Best Years of Our Lives/我らの生涯の最良の年より引用

朱縫shuhou
ああ~んもう!

たまらんね~

後に行われる結婚式ではホーマーは上手に義手で指輪をはめてあげるんですよウホホ♪

 

 

元銀行員の富裕層・陸軍軍曹:アル

ちなみに軍用輸送機から降りた3人はタクシーにも乗り合わせてホーマーから順番に降りて行く訳ですが、まあホーマーは中流階級なんで一般的なアメリカンな一戸建てに住んどる訳ですよ。

そんで次がこのアルで、

朱縫shuhou
あれ?

この人妻も子供もおるって言ってたのにホテル住まい

って思ったらまさかのこれが自宅

富裕層のアルはめっちゃええマンションに住んでる

©The Best Years of Our Lives/我らの生涯の最良の年より引用

めっちゃええとこ住んでます。この後に出てくるフレッドの家なんかもうマジで風で吹き飛ばされそうなあばら家で可哀相。

風でも飛んでしまいそうなフレッドの実家

©The Best Years of Our Lives/我らの生涯の最良の年より引用

自宅に戻ると美しい妻に成長した娘と息子、大好きな酒を浴びてはご機嫌気分、そして出征前以上の役職で銀行員に復職…と、アルが3人の中で最も幸福で潤沢な人生を送っている感じです。

 

 

数々の勲章を持つ陸軍航空軍大尉:フレッド

倉庫みたいな実家に戻ってきたのは3人の中で胸に最も勲章をぶら下げているフレッド。出征の20日前に結婚し実家に残してきたはずの妻の姿はなく、どこぞのナイトクラブで働くために街中に引っ越したそうな。

…「ナイトクラブ」?

なんかもうオチ見えてきますよね。想像通りの妻が出てきた時はちょっと笑ろてまいましたけど。

フレッドの「想像通りの妻」

©The Best Years of Our Lives/我らの生涯の最良の年より引用

 

戦地での勲章も役に立たない再就職

フレッドは出征前はドラッグストアで売り子として働いていました。まあ若いし、バイトみたいなもんかな。

「ソーダ水売りに戻る気はない。もうちょっとマシな仕事を」と豪語していたものの、思った以上に就職にてこずり、結局元勤めていたドラッグストアに再就職することになります。それも軍から支給されていた賃金とは比べ物にならない安月給で…。

おばはんの相手をするフレッド

©The Best Years of Our Lives/我らの生涯の最良の年より引用

店主と面接している時のやりとりがシュールでやりきれない感が残ります。

店主
軍隊で何してた?
フレッド
爆撃してました
店主
何かもっと実用的なことは?

事務処理とか、救護経験とか

フレッド
してません。

目的の場所に爆弾を運んで、落としてただけです。

来る日も来る日も。

爆弾落としてただけです。

…なんとなく…言葉を失いませんか?フレッドはどういう気持ちで言ったことやろう、とか、逆に経営者やったらどう捉えたらええやろう、とか。

 

でもこれは伏線になっていて、ラストでフレッドの親父が感動的に回収してくれます。あっぱれです。

 

 

映画【我らの生涯の最良の年】の感想とまとめ

3時間弱の長い映画ですが、それぞれのドラマティックなロマンスやコメディタッチな笑える要素も散りばめられていて飽きることなく観ることができる映画です。

 

ちなみにホーマーの義手はCGもない当時どのように撮影したのやら?と思いましたら、ホーマー役のハロルド・ラッセルは本当に軍役中の爆発事故で両手を失った素人俳優さんでした。

【我等の生涯の最良の年】でウィリアム・ワイラー監督に見出され、いきなりアカデミー助演男優賞と特別賞をW受賞しています。

自宅に送ってもらったホーマー

©The Best Years of Our Lives/我らの生涯の最良の年より引用

海外か何かの批評で、「【我等の生涯の最良の年】はハロルド・ラッセルの演技以外は最高の作品だ」みたいなことを書かれているのを見たことがありますけど、私普通に「めっちゃ上手いこの俳優~」って思いながら観ましたけどね。

ホーマー自体が周囲の目が気になってオドオドしてる設定のキャラクターなのでこれはこれで全然違和感なかったけどなあ?

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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天衣無縫に映画をつづっている人

「天衣無縫」と「温故知新」を信条として、主に古い洋画を好む映画好き。
様々な映画を観たいのにホラーだけは怖くて観られない可哀相な初老。

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