【恐怖の報酬(1953)】

映画【恐怖の報酬(1953)】あらすじと観た感想。運べ!爆発物ニトロ!

1953年/フランス/監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー/出演:イヴ・モンタン、シャルル・ヴァネル、フォルコ・ルリ、ペーター・ファン・アイク、ヴェラ・クルーゾー、ダリオ・モレノ、ウィリアム・タッブス

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【恐怖の報酬(1953)】
©Le Salaire de la peur/恐怖の報酬より引用

ニトログリセリンって知ってます?

アルフレッド・ノーベルが発明した爆薬ダイナマイトの有効成分です。そうそう、導火線に火をつけてドッカーンってなるアレ

本日の映画【恐怖の報酬(1953)】は、そんなアレをトラックの荷台に積んで500km先の油田まで運ばなければならなくなった男たちの苦難の道のりを描いた映画です。

500kmっつったらちょうど大阪・東京間くらいの距離。キレイに舗装なんてされてない悪路を危険なアレを積んで進む男たち。

想像を絶する恐怖に打ち勝ち目的地に辿り着いた時、彼らが得られた報酬とは果たしてなんだったのか。

「恐怖の報酬」とはいったいなんだったのか。

 

取り急ぎ煽ってみた。

 

 

 

映画【恐怖の報酬(1953)】のあらすじザックリ

ベネズエラの場末の街。そこは職が無く、移民達が日々何もすることもなく暮らしている。ある日500 km先の油田で火災が起き、石油会社は爆風で火を消し止めるため2,000ドルの報酬でニトログリセリンをトラックで運ぶ人員を募る。選ばれた4人の男たちは2台のトラックで500 km先の目的地に向かう。

 

 

仕事もなく金もなく、死ぬしかない町で…

影が濃く映る灼熱のどこかの町(わからへんのかい)。

とにかくここでは仕事がない。元気が有り余ってる若い連中はたくさんいるのに、稼ぐ手段がない。稼ぐ手段がないから金が無い。金が無いから当然切符を買うこともできず、広すぎる町を出るための唯一の手段である列車に乗ることは不可能。

 

真っ昼間から町の食堂のテラス席で暇を持て余しているのは、昔、まだ切符が安かった頃にこの町にたどり着いた連中。彼らは電車賃の高騰と就職難により、この町を出ることもこの町で働くこともできず、ただ怠惰な日々を過ごしているのでした。

【恐怖の報酬(1953)】
©Le Salaire de la peur/恐怖の報酬より引用

フランス人のマリオ(イヴ・モンタン)も退屈で不安な毎日を過ごすひとり。相棒のルイージ(フォルコ・ルリ)とともに、節約のためひたすらパスタを食べて暮らしていました。

ちなみにメインキャストのこの二人の名は「マリオ」と「ルイージ」ですが、任天堂の世界的ゲーム「マリオブラザーズ」のあの兄弟とはなんの関係もございません。

あるんだねこんな偶然。

 

ある日マリオは、逃亡生活の果てにこの町へ流れ着いたジョー(シャルル・ヴァネル)という男と出身が同じフランスだったことで意気投合。ジョーを「兄貴」と呼ぶまでに打ち解けます。

【恐怖の報酬(1953)】
©Le Salaire de la peur/恐怖の報酬より引用

はいこちらのジョー(画像向かって右)。

マリオと出会った頃は確かに“ほうぼうで悪事を働いてきた大物感”を匂わせていたはず。ところが“大物”のメッキは物語の中盤ですっかりはがれ、映画が終わる頃にはまるで別のキャラクターのように変わり果てた姿になってしまうのでお見逃しなく。

ジョーの醜態アンド、食堂の住み込みウェイトレスのリンダ(ヴェラ・クルーゾー)のマリオへの積極的なアプローチが【恐怖の報酬(1953)】のハイライトの一端を担っていることは間違いない。

 

 

ニトログリセリンを運ぶ4人の男

ある時、町から500キロ離れた油田で火災が発生。

液体ニトロを使って火災地域周辺を爆破するしか被害を食い止める方法はないと判断した石油会社は、(自社の社員ではなく生活に困っているであろう)マリオの町に求人募集をかけます。

【恐怖の報酬(1953)】
©Le Salaire de la peur/恐怖の報酬より引用

募集人数は4人。

2人ペアで1台のトラックに乗り、2台分のニトログリセリンを500キロ離れた油田まで運ぶ簡単なお仕事です。

成果報酬ひとりにつき2000ドル。

助手
えー!やるやる!免許あるし!仕事くれるならなんでもする!

いやダメよそんな簡単に食いついたら。

そんじょそこらの物質輸送とはワケが違うんですから。

 

彼らを待ち受ける困難の数々

幸か不幸か、選考の末に選ばれたのはマリオとルイジ、それにジョー。そしてリンダと同じ食堂で働く無口で屈強な男ビンバ(ペーター・ファン・アイク)の4人。

最初は「やっと仕事にありつけた!金が入る!故郷へ帰れる!」と喜んでいた4人でしたがね、そんなチョロいもんじゃなかったと。

【恐怖の報酬(1953)】
©Le Salaire de la peur/恐怖の報酬より引用

まずもって500キロの道のりがただの平坦な道だと思ったら大間違いですよ。観る限り舗装されてる道なんてごくわずか。運良く舗装されていたとしてもガッタガタ。ちょっと小石に乗り上げたりハンドル操作を誤ったりするたびに荷台のニトロがプレッシャーをかけてくる。なんなら落石が邪魔して通れなくなってる道もありますから。

どないせえっちゅうねん。

【恐怖の報酬(1953)】
©Le Salaire de la peur/恐怖の報酬より引用

先に述べたジョーのメッキがはがれるのは、マリオとジョーがトラックに相乗りしてニトロを積んで出発して、

すぐ。

助手
え?「すぐ」?

はい「すぐ」。

まあまあの早さでジョーのメッキははがれます。

助手
………

町ではマリオよりもルイージよりも、人一倍威勢が良かったのにね。

【恐怖の報酬(1953)】
©Le Salaire de la peur/恐怖の報酬より引用

 

タイトル【恐怖の報酬(1953)】の「恐怖」が指すのは何も「爆発の瞬間」ではなく、「ニトロ」そのものでももちろんない。

「自分が爆発物と共にある」と常に意識する「恐怖」。

 

まるで自分自身がその場にいるかのような没入感でスクリーンから目を離せなくなる名画です。

 

 

 

映画【恐怖の報酬(1953)】の感想一言

朱縫shuhou

【恐怖の報酬(1953)】は「背中にヤバいもん(=ニトロ)しょってるぜ」っていう物理的なサスペンスに加えて、ニトロを運ぶ4人の男たちが直面する心理的サスペンスに魅力があります。

報酬のために命を賭けたマリオ達。その代償は友情や信頼、自尊心といった「お金には換えられないもの」でした。

 

想像を絶する恐怖に打ち勝ち目的地に辿り着いた時、彼らが得られた報酬とは果たしてなんだったのか。

「恐怖の報酬」とはいったいなんだったのか。

 

最後まで過剰な煽りでレビューを終わりたいと思います。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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