2002年/日本/監督:曽利文彦/出演:窪塚洋介、ARATA、中村獅童、サム・リー、大倉孝二、夏木マリ、竹中直人
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
ペコの飛翔や口調やトリッキーな戦闘スタイル、スマイルの醸し出す高飛車でどこか寂し気な雰囲気、アクマ・チャイナ・ドラゴンといった強敵ずらり、どれを取ってもすごい再現度の高さで驚いたもんです。
脚本は(予想通り)宮藤官九郎ね。
死ぐ?
死がねえよ。
【ピンポン】です。
映画【ピンポン】のあらすじザックリ
スマイルと“ヒーロー”ペコ
月本(通称“スマイル”)(ARATA)と星野(通称“ペコ”)(窪塚洋介)は幼馴染。
スマイルはいじめられてる自分をいつも助けてくれたペコをヒーローだと思っています。
まあペコが自分で「ヒーロー見参!」って言いながら現れるんですけどね?
それにしたって仏頂面でノリが悪く友達もいないスマイルにとって、天真のペコは本物のヒーローのように映ったでしょうよ。
一方何よりも卓球が大好きなペコは、世界に通用する卓球選手を夢見て幼い頃からタムラ卓球場にいりびたっているものの、才能にあぐらをかいてしまってロクに練習なんてしてません。
これまではそれでも十分通用してきましたが、高校一年生になり強豪うごめくインターハイ予選に出場することになったペコは、ここで初めて挫折を味わうことになります。
ペコが窪塚って!!
実写化にあたり、最初にペコのキャスティングを知った時は悲鳴上げましたよ。だって当時窪塚洋介はすでに22~23歳くらいだったし、それまでの役柄からちょっとイカれた不良少年みたいなイメージがありましたし。
ところがふたを開けてみればこれほどペコらしいペコもいなかったというオチですわ。
いつも映画を観ていて思うことですが、まるで役が憑依しているかのような演技をする俳優は当然すごいんですけど、そもそも配役する人ってもっとすごくないですか?
私だったら「ペコ=窪塚洋介」の発想はなかったと思いますもん(「ドラゴン=中村獅童」はあったかも知れない)。
映画の配役って誰が決めてるの?監督?脚本家?原作者?「こいつなら出来る!」ってピンとくるものがあるんですかね?
いやあすごい。
「ピンポン」?卓球漫画?
初めて原作を読んだ時(友達に勧められた)、
卓球って。
地味やわ。絶対おもろないやん。
って普通に思いましたね。素直に、ええ。すみません。
だって1980~90年代なんてもう少年漫画黄金期ですよ。スポーツ漫画だけに絞っても「SLAM DUNK」、「タッチ」、「キャプテン翼」、「はじめの一歩」なんて名作が目白押してました。
そのどれをとっても、扱うのはバスケットボールや野球、サッカー、ボクシングなど、華麗な花形スポーツばかり。
「卓球を扱った有名漫画」といえばせいぜい「行け!稲中卓球部(※ギャグ漫画)」止まり。
そんな風潮の中、「ピンポン」を読んだ私は、「卓球は地味」というこれまでの固定概念が瞬く間に崩れ去る音を聞きましたよ。
(ガラガラガラ…)
(↑固定概念が崩れた)
卓球熱い!
まあ卓球自体の魅力のみならず、キャラクターとか友情とか、巧みに絡めてあるんで余計面白いんですけど。
単行本全5巻で完結してるっていう、程よい短さもファビュラス。是非原作もあわせてご覧ください。
スマイルとペコを見守る2人の師
卓球の才能にまみれたスマイルとペコですが、才能だって伸ばさなければ伸びない訳で。
ロッキーだってトレーニングするから世界チャンプになれた訳で。
スマイルとペコを指導する卓球部顧問の小泉(竹中直人)とタムラ卓球場の経営者オババ(夏木マリ)がまた良い。
2人とも若い頃はかなりの実力者だったっぽいけど、変な回想とか絡めてこない。
元卓球選手の小泉が引退した理由が明かされる以外は、小泉とオババが幼馴染っぽいということくらいしか分からないくて、この謎のベールが2人のただ者じゃない感じを増幅してます。
スマイルとペコの戦いぶりを懐かしそうに見守る姿勢も最高。
人生2週目疑惑のドラゴン
打倒ドラゴンのために中国から雇われた留学生・孔文革(通称“チャイナ”)(サム・リー)。
スマイルやペコと同じくタムラ卓球場に通っていて、その後卓球の名門海王学園高校に入学した佐久間学(通称“アクマ”)(大倉孝二)。
海王学園高校卓球部キャプテンにして最強の男・風間竜一(通称“ドラゴン”)(中村獅童)。
インターハイには強豪選手がひしめいています。
日本では偉そうにしてるチャイナは、実は上海ジュニアユースの落ちこぼれ。日本のインターハイで敗けたりしたら選手生命を絶たれることにもなりかねない、想像を絶するプレッシャーの中で戦っています。
ペコに異様な敵対心を燃やすアクマは、憧れのドラゴンに追いつくこともできず、スマイルに才能がないとずばり指摘され、潔くラケットを置きます。
それぞれがそれぞれの想いを抱えて卓球に打ち込む中、その大人び過ぎてる言動から人生2週目疑惑がつきないのがドラゴン。
とりあえず見た目怖すぎ。原作漫画にかなり寄せてきてる。しかし獅童顔怖い。
まあペコに匹敵するキャラクターはやっぱりドラゴンくらいのもんでしょう。
堅苦しいんかお前は。
絶対高校生ちゃうでしょ?流血するくらいまでトレーニングしてるし、顔が怖い以前に、言動がおかしいんですよもう。
映画【ピンポン】の感想一言
2004年の窪塚洋介の転落事故について「窪塚が“アイキャンフライ”しちゃった」と揶揄された時の元ネタは、この【ピンポン】でペコが「アイキャンフライ!」と叫びながら川にダイブする場面です。
「アイキャンフライ」だけでなく、「反応反射、音速高速!」とか「“さん”、くれろ」とか、名言も多い作品。
鑑賞後はきっと、“ペコ語”もしくは“ドラゴン語”をちょっと使ってみたくなるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。