2005年/イギリス、アメリカ、オーストラリア/監督:ティム・バートン/出演:フレディ・ハイモア、ジョニー・デップ、デイビッド・ケリー、ヘレナ・ボナム=カーター、ノア・テイラー、ミッシー・パイル、ディープ・ロイ、ジェームズ・フォックス、アダム・ゴドリー、フランツィスカ・トローグナー、クリストファー・リー
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
1964年の児童小説「チョコレート工場の秘密」を原作としたティム・バートン監督作。
「チョコレート工場の秘密」は1971年の【夢のチョコレート工場】に続く2度目の映画化となります。
1971年/アメリカ/監督:メル・スチュアート/出演:ジーン・ワイルダー、ピーター・オストラム、ジャック・アルバートソン、ジュリー・ドーン・コール、デニス・ニッカーソン、パリ・テメン、マイケル・ボルナー注※このサイトは映画の[…]
小生意気なクソガキが小人のウンパルンパの鉄槌を食らって退場していく様子が実に爽快。
でも作中最も嫌な奴なのはクソガキ共が脱落していく姿を見てニタニタ笑ってる工場長のウィリー・ウォンカ本人。完全に大人の皮を被ったいじめっ子。
片や超絶貧乏でも優しく暖かい心を持つチャーリーとその家族を見るとほっとします。
クリスマスが舞台だったような気がしてたけど雪降ってる場面があるだけでクリスマスは全然関係なかった映画、【チャーリーとチョコレート工場】です。
映画【チャーリーとチョコレート工場】のあらすじザックリ
ウィリー・ウォンカのお菓子工場へ
世界中で大人気のウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)の板チョコに、世界一のお菓子工場を見学できる“ゴールデン・チケット”が5枚だけ入ってるらしい。
持てる財力を総動員して板チョコを買い占めたり確率を計算してドンピシャの板チョコを狙ったり、羨ましい子供達が次々とゴールデン・チケットを引き当てる中、超絶貧乏のチャーリー・バケット(フレディ・ハイモア)は誕生日にたった1枚のチョコレートを買ってもらうのが精いっぱい。
その1枚きりの板チョコはもちろんというか当然というか…はずれ。
でも昔ウィリー・ウォンカのお菓子工場で働いていたこともあるジョーおじいちゃん(デイビッド・ケリー)がなけなしのへそくりをはたいてくれて、もう1枚買えることに!
急いで板チョコを買って開けてみるけどやっぱり…はずれ。
意気消沈のチャーリーがとぼとぼと歩いていると、道端にお金が落ちている。
こっそり拾い上げたそのお金で買った板チョコにはなんと、最後の5枚目のゴールデン・チケットが!
家族を大事にしている優しいチャーリーが家族からもらったお金ではなく拾ったお金でチケットを引き当てるのがなんだかシュールでいいよね。
そこはあんまり夢ないんや。
工場長のウィリー・ウォンカ
この時は何作目だったかな、【シザーハンズ】、【エド・ウッド】、【スリーピー・ホロウ】、の、次だから4作目かな?ティム・バートン監督とジョニー・デップがタッグを組んだ映画。
良いか悪いかは別として、すっかりティム・バートンが造り出す世界観になくてはならない俳優になりましたね。ジョニー・デップの端正な顔を面白くしてイロモノ扱いしてしまうのはティム・バートンくらいでしょうしね。
ほんでなんなんな今回のこれは。
不健康そうな蒼白な顔にさらさらのおかっぱ頭、小粋にステッキ持ってシルクハット被ってる精神年齢の低そうなこの男性はなんなんな一体。変変。
1990年/アメリカ/監督:ティム・バートン/出演:ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダー、ダイアン・ウィースト、アラン・アーキン、ヴィンセント・プライス注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてま[…]
1994年/アメリカ/監督:ティム・バートン/出演:ジョニー・デップ、マーティン・ランドー、サラ・ジェシカ・パーカー、パトリシア・アークエット、ジェフリー・ジョーンズ、ビル・マーレイ、リサ・マリー、ジュリエット・ランドー/第67回ア[…]
1999年/アメリカ/監督:ティム・バートン/出演:ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ、マイケル・ガンボン、クリストファー・ウォーケン、ミランダ・リチャードソン、キャスパー・ヴァン・ディーン、リサ・マリー、ジェフリー・ジョーン[…]
小人のウンパルンパが鉄槌を下すトラウマになりそうな動画4連発
ウィリー・ウォンカの上をいく お菓子な おかしなキャラクターと言えば、チョコレート工場で働く165人の小人ウンパルンパ(全員ディープ・ロイ)。
演じたディープ・ロイもティム・バートン映画の常連として知られていますが、この人が俳優だけでなくスタントマンという顔も持っていることは今さっき初めて知りました。
ウンパルンパ、スタントするんや!
ウィリー・ウォンカの工場見学にやってきた5人の子供達のうち、ウィリーの意にそぐわなかったチャーリー以外の4人は次々と「脱落」していきます。
脱落に至る理由はひとりずつ違いますが、実際に鉄槌を下すのはウィリーではなくウンパルンパ。
歌と踊りが大好きなウンパルンパ達が陽気に(真顔やけど)容赦なく子供達を排除していく場面はこの映画の見どころの一つなんで、とりあえず動画並べておきます。
トラウマ注意。
ウンパルンパ1曲目「オーガスタス・グループ」
ウンパルンパ2曲目「バイオレット・ボーレガード」
ウンパルンパ3曲目「べルーカ・ソルト」
ウンパルンパ4曲目「マイク・ティービー」
ウィリーが工場見学を企てた真意とチャーリーが選んだもの
4人が脱落し最後の1人となったチャーリーに、ウィリーはこのチョコレート工場を譲ると言い出します。
世界一のお菓子工場を。
ただしウィリーの条件は、工場と引き換えに「家族を捨てること」。
【チャーリーとチョコレート工場】に出てくるウィリーの生い立ちに関するエピソードは、ティム・バートン版のみのオリジナル設定。
ウィリーの過去がたびたびフラッシュバックすることによって、ウィリーがどうしてこんなバカげた交換条件を提示したのかがよく分かります。
家族を捨てることなんて出来なくて当たり前でしょうけど、一瞬もためらうことなく家族を選ぶチャーリーが頼もしく愛おしい。
大体この交換条件を飲めるような子供にチョコレート工場は譲ったらあかんよね?
トラウマを持つウィリーにはそんな簡単なことも分からなくなってるってことですね。
見た目にはウィリーが大人でチャーリーが子供であるのはあきらかなのに、自分の気持ちが整理できなくてヤキモキしているウィリーとトラウマを克服するように諭すチャーリーはまるで立場が逆。
リメイク作(“再映画化”にしろ)って改悪されることが多いけど、典型的なアダルトチルドレンであるウィリーにスポットを当てたこのオリジナルエピソードは良い方向に働いたと思います。
【サイコ】【2001年宇宙の旅】他映画やバンドへのオマージュ
【チャーリーとチョコレート工場】にはゴシックホラーと怪獣映画が大好きな変人ティム・バートン監督の、様々な映画や音楽へのオマージュが込められています。
さくっと見ていきましょうか。
オマージュ①【ベン・ハー】
まずはチョコレートの川を渡る船。
こちらは【ベン・ハー】でジュダ=ベン・ハー(チャールトン・ヘストン)が漕いでたガレー船(奴隷船)のオマージュ。
ウンパルンパも工場見学御一行様も気楽に乗っていらっしゃいますけど、本来は死ぬまで漕がなきゃならない代物よ?
1959年/アメリカ/監督:ウィリアム・ワイラー/出演:チャールトン・ヘストン、スティーブン・ボイド、ジャック・ホーキンス、ハイヤ・ハラリート、ヒュー・グリフィス、サム・ジャッフェ、フィンレイ・カリー、キャシー・オドネル/第32回ア[…]
オマージュ②【鳥】
ティム・バートンはアルフレッド・ヒッチコックも大好きです。
歯列矯正してる高飛車少女べルーカ・ソルトがリスに襲われる場面はアルフレッド・ヒッチコック監督の【鳥】へのオマージュ。
1963年/アメリカ/監督:アルフレッド・ヒッチコック/出演:ティッピ・ヘドレン、ロッド・テイラー、ジェシカ・タンディ、ヴェロニカ・カートライト、スザンヌ・プレシェット、エセル・グリフィス、チャールズ・マッグロー注※このサイ[…]
オマージュ③【2001年宇宙の旅】
SFだって大好きですよティム・バートンは。
休憩中なのか物体転送機のテスト要員なのか、TV室に入るとひとりのウンパルンパがのんびりTVを観ています。彼が観てるのは明らかに【2001年宇宙の旅】。
【2001年宇宙の旅】へのこだわりはしつこくて、このあとさらにウォンカバーを謎の石板モノリスに置き換えてみたりします。お茶目。
1968年/アメリカ/監督:スタンリー・キューブリック/出演:キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター、ダグラス・レイン/第41回アカデミー特殊効果賞受賞注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが[…]
オマージュ④【サタデー・ナイト・フィーバー】
ジョン・トラボルタの代名詞的映画【サタデー・ナイト・フィーバー】。
マイク・ティービーが転送機に吸い上げられる際、一瞬だけポーズを決めようとするけど宙に浮いてるから全然できてない。
1977年/アメリカ/監督:ジョン・バダム/出演:ジョン・トラボルタ、カレン・リン・ゴーニイ、バリー・ミラー、ジョセフ・カリ、ポール・ベイブ、ドナ・ペスコウ、マーティン・シェイカー注※このサイトは映画のネタバレしようがしまい[…]
オマージュ⑤【サイコ】
またもヒッチコック作品の登場、一連のオマージュの中で最も分かりやすいのではないでしょうか。
だって【サイコ(1960)】のシャワーシーンそのまんま。
ノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)ばりのサイコ野郎が、TVの中に閉じ込められたマイク・ティービーを滅多刺し。
1960年/アメリカ/監督:アルフレッド・ヒッチコック/出演:アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ヴェラ・マイルズ、ジョン・ギャヴィン、マーティン・バルサム、ジョン・マッキンタイア注※このサイトは映画のネタバレしようが[…]
オマージュ⑥ビートルズとQueenとKISS
そしてマイク・ティービーを葬り去る時の曲自体がザ・ビートルズやQueenの楽曲に寄せたロックな感じに仕上がっています。
ビジュアルとしては、こちらはQueenの衣裳でKISSのジーン・シモンズの“ロック舌”を体現してるんですかね。
ザ・ビートルズへのオマージュは分かりやすい。
ティム・バートンのオマージュはいつも芸術愛にあふれていてほっこりしますね。
映画【チャーリーとチョコレート工場】の感想というかツッコミ
そしてチャーリーとウィリーはどうなったかって?
もちろん、「とびきり甘い」人生を送りましたとさ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。