1985年/アメリカ/監督:テリー・ギリアム/出演:ジョナサン・プライス、キム・グライスト、ロバート・デ・ニーロ、マイケル・ペイリン、キャサリン・ヘルモンド、イアン・ホルム、ボブ・ホスキンス、デリック・オコナー
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
リビングで私が映画を観ていると、横からチョロチョロと覗いていたゴリラ(夫)がひと言。
お前よーこんなワケの分からん映画観られるな。
ほっといてくれ、このワケの分からん中に例えようもない面白さがあるんや。
ハイ、本日は終始ワケの分からんぶっ飛んだ世界観のおかしな映画、【未来世紀ブラジル】です。
映画【未来世紀ブラジル】のあらすじザックリ
これでもディストピア映画の金字塔らしいよ
監督はイギリスのコメディ軍団「モンティ・パイソン」のメンバーで、【フィッシャー・キング】や【12モンキーズ】で知られるテリー・ギリアム。ディストピア映画の金字塔的作品で、実にファンタスティックな映画です。
参考 ディストピア=ユートピア(理想郷)の反対とされる世界観。「絶望郷」、「暗黒郷」などと訳される。
1991年/アメリカ/監督:テリー・ギリアム/出演:ジェフ・ブリッジス、ロビン・ウィリアムズ、アマンダ・プラマー、マーセデス・ルール、マイケル・ジェッター、デヴィッド・ハイド・ピアース、キャシー・ナジミー、トム・ウェイツ/第64回ア[…]
1995年/アメリカ/監督:テリー・ギリアム/出演:ブルース・ウィリス、ブラッド・ピット、マデリーン・ストウ、クリストファー・プラマー、デヴィッド・モース、ジョン・ゼダ、H・マイケル・ウォールズ、ボブ・エイドリアン、サイモン・ジョー[…]
舞台は「20世紀のどこかの国」。「情報局」なる機関と、世界中に張り巡らされた「ダクト」がすべてを支配する世界。
【未来世紀ブラジル】の世界では「ダクト」は重要な役割を担っていて、公的な書類の取り交わしや電化製品の調節など、すべてこのダクトを通して行われています。
情報局や高級住宅街らしき場所が無機質な高い壁で覆われているのはこのダクトを隠すため。片や貧困層の居住区ではこのダクトはむき出しになっていて、生活空間を圧迫しています。
一方、情報局の内部では、日々無数の書類が印刷されたりコピーされたりしてあっちこっち行き交っています。何をするにも複雑な書類と受取の署名が必要で、こんなのまるで「情報管理」というより「書類管理」。近未来の話のはずなのにデータ化には程遠く、アナログな書類に頼ってるというミステイクが笑っちゃう。
人間にICチップでも埋め込んでそうな世界観なのにかなめは書類なんか~い。
ダクト修理は勝手にやっちゃダメだよロバート・デ・ニーロ
ある日、情報局に勤めるサム・ラウリー(ジョナサン・プライス)宅の暖房が壊れます。
ダクト修理サービスに電話するも多忙のため受け付けてもらえず途方に暮れていると、一人の不審な男が訪ねてきます。
その男の名は“モグリの修理屋”タトル(ロバート・デ・ニーロ)。
いやどうでもええ。
この世界でダクト修理をできるのは正式な手続きを済ませたダクト修理サービスの従業員のみで、例えタトルのように技術を持っていたとしても勝手に修理するのは違法。
そんなことは知ってか知らずか、タトルはテキパキと暖房の修理を済ませ颯爽とサムの家を後にします。
あ、ロバート・デ・ニーロの出番はこれを含めてほんの数分ですので、ファンの方はよく見といた方がいいですよ?
情報局の誤認逮捕が招いた事件
ところで、情報局が支配するこの世界ではテロが多発中。
テロの容疑者リストの書類には「タトル」の文字が。
サム宅のダクトを修理に来てくれた彼こそが「テロの容疑者タトル」その人でありましたが、容疑者リストの上に虫がつぶれて「バトル」と印刷されてしまい、何も知らない無実のバトル氏が連行されてしまいます。
ほれみろ紙ベースで管理なんぞしとるから。
バトル氏が連行される一部始終を見ていたバトル家の上階に住んでいるジル・レイトン(キム・グライスト)は、情報局に抗議を申し立てにやってきますが、ことごとく門前払いをくらいます。
いやだから、書類に虫がつぶれてたんやって!
ミス以下じゃ!
門前払いで終わるならまだいい。ジルはこの一件で情報局の要注意人物に挙げられてしまうんですね。
情報局の受付に現れたジルを見て驚いたのはサム。だってジルは戦士となったサムが救い出す夢の中の美女に瓜二つだったから。
すっかりジルに心を奪われてしまったサムは、情報局から彼女を守るために命を懸けます。
エンディングを巡るユニバーサルとテリー・ギリアムの戦い
この映画の公開時、監督のテリー・ギリアムと配給会社のユニバーサル・スタジオは、物語の結末を巡ってもめています。
本作品をつくったテリー・ギリアムと配給のユニバーサル・スタジオの対立の歴史はよく知られている。スタジオがかなりの短縮版を公開しようとしたのに監督が抵抗し、結局、挑戦的な映画をアメリカで公開するのに成功したという経緯が、この映画に関する興味をすべて吸収してしまいがちだ。
出典:「死ぬまでに観たい映画1001本」
一体どんな結末なのかと言いますと、情報局に捕まり犯罪者として拘束されたサムが、以前消え去った時と同じようにどこからともなく現れたタトルに救い出されましてですね、
うん、どうでもええから。
そして死んだと思われていたジルと一緒に平和な田園へ逃げ延びてハッピーエンドを迎える、と、いうのが、ユニバーサル・スタジオが推した方。
テリー・ギリアム監督がどうしても公開したかった方(DVD収録の方)のエンディングは、(恐らく)タトルが救いに来たところからがすでにサムの幻想で、激しい拷問を受けたサムはそのまま精神を破壊され廃人と化してしまうというもの。
もめるだけあって双方が正反対の結末を推してる訳なんですけど、これはどうなんでしょうね?
私としては絶対テリー・ギリアム監督派ですけども?
つまり「サムが最後にイカれちゃう派」。
だってこの内容で最後だけ取って付けたようにハッピーエンドって、そんなのおかしいって。しかもこのオチをカットしてしまうと、タトルが紙屑に巻かれて消えてしまうのも整形依存症のサムのオカンの葬式も説明がつかない。
いやまあ、説明がつかない場面なんて他にもなんぼでもあるんだけどさあ。
このラストをぶっちぎるってあーた、配給会社ってのは無茶なことをしよるんですねえ。
タイトル【未来世紀ブラジル】の意味
色々調べてみましたが、タイトルの意味について明確に説明されているソースを見つけることはできませんでした。
それでも邦題の【未来世紀ブラジル】なら、まだなんとか近未来のSF感だけは汲み取ることができますよね?
ところがなんと原題は【Brazil】。
映画の冒頭で「20世紀のどこかの国」って言うてんのに【Brazil】。
実はのっけから派手にかましてきとるワケですね。
どうやら映画全編に流れる印象的なテーマ曲「ブラジルの水彩画」のタイトルから取られた説が有力?
この映画に関してはタイトルを考察することに余り意味はなさそうなんでそっとしておきましょう。
映画【未来世紀ブラジル】の感想
ストーリーはもうどうでもいいんですけど(おーい)、テリー・ギリアムがちょいちょいぶっこんでくる小ネタが死ぬほど面白い。
一番笑ったのは足を踏まれたシャーリー(キャスリン・ポグソン)がサムをにらみつけるこのカット。
助演女優賞モノのええ表情しよる。
そして舞台がクリスマスだもんで、各場所でリボンが巻かれた怪しげな包みがバラまかれ、その中身が一切分からないのも意味不明。
サンタクロースに「何が欲しい?」と聞かれた子供達は「クレジットカード」って言ってるし。
だから世界観が分からへんって。
最高。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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