1988年、1991年、1994年/アメリカ/監督:デヴィッド・ザッカー、ピーター・シーガル/出演:レスリー・ニールセン、プリシラ・プレスリー、ジョージ・ケネディ、O・J・シンプソン、エド・ウィリアムズ、リカルド・モンタルバン、ロバート・グーレ、フレッド・ウォード
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

1980~1990年代に大ヒットしたアホなコメディ映画三部作です。
主演は【フライングハイ】でコメディに開眼したカナダ出身の“元”二枚目俳優レスリー・ニールセン。
1980年/アメリカ/監督:ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー/出演:ロバート・ヘイズ、ジュリー・ハガティ、レスリー・ニールセン、ピーター・グレイブス、ロイド・ブリッジス、ロバート・スタック注※こ[…]
製作にかかわっているのはこれまた【フライングハイ】と同じ、デヴィッド&ジェリーのザッカー兄弟とその友人のジム・エイブラハムズら“アホ映画界の3レジェンド”。

どれほどアホな映画なのかと言いますと、とにかく誰もが知る有名な映画をパロってパロってdisりまくります。映画のパロディだけでなく小学生並みのしょうもない小ネタもズッコンバッコンぶっ込んでくる。ちなみに作中もし「ズッコンバッコン」なんて擬音が出てこようものならすかさず下ネタ方面へのキラーパスを繰り出されることは間違いありません。
ここでひとつお願いがあります。
すでにここまでで「アホ」と云う単語が3つも出てきていますよね?
このように本記事では便宜上(?)、「アホ」や「ボケ」や「死んで」など、人によっては「恐い」「キツイ」と感じるであろう単語が連続投下されると思われます。
しかしご覧いただいている皆様…特に関西のノリに馴染みの薄い方にご理解いただきたいのですが、これらはすべて私の愛です。
そうです、私は本日の映画シリーズ、【裸の銃 を持つ男】、【裸の銃を持つ男 PART2 1/2】、【裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱】を死ぬほど愛しているんです。
愛を込めてdisりましょう。
暇を持て余してる方はどうぞお付き合いくださいませ。
映画【裸の銃を持つ男】
映画【裸の銃を持つ男】のあらすじザックリ
映画【裸の銃を持つ男】の予備知識
まずは「裸の銃を持つ男シリーズ」の押さえておきたい予備知識について簡単にご紹介しておきます。
1988年に公開された【裸の銃を持つ男】は、“元”二枚目俳優レスリー・ニールセンと前述の“アホ映画界の3レジェンド”が【フライングハイ】の翌々年に再びあいまみえたTVシリーズ「POLICE SQUAD!(邦題:フライング・コップ)」の映画版です。

“元”二枚目俳優レスリー・ニールセン扮するロサンゼルス市警察のフランク・ドレビン警部が、警察署長のエド・ホッケン(ジョージ・ケネディ)や同僚のノードバーグ(O・J・シンプソン)らとともに凶悪事件の解決に挑むポリス・スパイ・アクション風味のパロディ・コメディ・ファンタジー・ラブロマンス。
ドレビンの恋人ジェーン役にはエルヴィス・プレスリーの元妻で、晩年は美容整形の失敗と騒がれるほど顔面が崩壊してしまった“元”美人女優プリシラ・プレスリー。

タイトルはロジャー・ムーア(三代目ジェームズ・ボンド)主演による【007 黄金銃を持つ男】から拝借しています。【裸の銃を持つ男 PART2 1/2】はフェデリコ・フェリーニの【8 1/2】から拝借。
押さえておきたい主役のフランク・ドレビン警部の基本設定は、「笑わない」ことと「停車の際は必ず他の車にぶつける」ことと「巨乳の女性が出てきたらとりあえず鷲掴みする」こと。
一瞬たりとも目が離せないしょうもないギャグの連続
「裸の銃を持つ男シリーズ」にはギャグが連発されています。
この表現はオーバーではなくて本当に“連発”されているんです。彦摩呂風に言うなら「ギャグの洪水」。大木こだま師匠風に言うなら「チッチキチー」。一瞬たりとて目が離せない。

しかも「笑う(はずの)場面」で登場人物が誰も笑っていないから、今の自分の「面白い」という感覚が製作側の狙い通りなのかどうか判定できない。
「笑うトコ」で笑いが足されたりテロップが出されたりするTVのバラエティ番組を見慣れている人からすれば間違いなく理解に苦しむ映画でしょう。
かと思えば一作目のクライマックスの野球の場面に代表されるような、お子様にも分かり易い下ネタ抜きのドリフ的な笑いも盛り込まれていたりします。
「全身コンドーム」など夜ネタの意味が分からなかった子供の頃はフランクのアンパイアでゲラゲラ笑ったものです。

ドリフと言えばレスリー・ニールセンは来日した際に志村けんや加藤茶と共演もしています。
「裸の銃を持つ男シリーズ」が余りにもヒットしてしまったためその後の主演映画のほとんどに「裸の」や「~を持つ男」に関連する邦題をつけられてしまうハメになったレスリー・ニールセンの悲劇については【裸のサンタクロース】の記事に詳しく記述していますので、興味がわいた方はどうぞご覧くださいませ。
2000年/アメリカ/監督:ウィリアム・ディア/出演:レスリー・ニールセン、スティーヴン・エックホルト、ロビン・ライヴリー、マックス・モロー、R.D.リード、ダレン・フロスト注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気に[…]
映画【裸の銃を持つ男 PART2 1/2】
映画【裸の銃を持つ男 PART2 1/2】のあらすじザックリ
フランク・ドレビン警部の理解者エド・ホッケン署長の面白さ
どうでもええけどキリンがダウンタウンを駆ける映画なんて、これと【12モンキーズ】くらいのもんちゃうか。

て言うてる場合かドアホ。
さて、二作目あたりで押さえておきたいのは、シリーズを通してドレビンの良き理解者となるエド・ホッケン署長に扮するジョージ・ケネディの面白さでしょう。

なんでそんなに演技下手やねん。
あ、駄目ですよ。今のツッコミを言葉のままに捉えないでくださいね?
本物の「演技が下手な人」って言うのはノードバーグを演じたO・J・シンプソンみたいな人のことを言うんです。でもこれは下手で然るべき。O・J・シンプソンはただの(ただのって)フットボール選手ですから仕方ない。

でもジョージ・ケネディは普通の俳優以上に演技が下手であってはあかんでしょうに。
なんでかって、実はこの人オスカー俳優です。1967年の映画【暴力脱獄】で主演のポール・ニューマンのライバルを演じてアカデミー助演男優賞を獲得しています。キャリアも十分だし普段は凄味のある素晴らしい演技を見せてくれます。
1967年/アメリカ/監督:スチュアート・ローゼンバーグ/出演:ポール・ニューマン、ジョージ・ケネディ、モーガン・ウッドワード、ストローザー・マーティン、デニス・ホッパー、クリフトン・ジェームズ/第40回アカデミー助演男優賞受賞[…]
ところがどっこい「裸の銃を持つ男シリーズ」でのジョージ・ケネディときたら、ド素人みたいな演技しよるんですよ。
なんなのその「演技が下手な俳優の演技」。

ビックリする顔とかね、シレっとボケる顔とかね、下手過ぎてむちゃくちゃおもろいんですよ。
試しに「本気出せや!」って心の中で思いながら彼の演技を観てみてください。「やる気ないんか!」でもOK。レスリー・ニールセンとはまた違った意味で説明できない面白さがこみ上げてきますから。

映画【裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱】
映画【裸の銃を持つ男 PART3 33 1/3 最後の侮辱】のあらすじザックリ
シリーズ三部作のうち最も破壊力の高いオープニング
「裸の銃を持つ男シリーズ」のうちオープニングが最も酷いのがこちら、完結編にあたる三作目【裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱】。
だってとりあえずこの画像見てくださいよ。

絶対座ってるやん。
これオープニングですよ?
映画の開始後約1分。

絶対座ってるんですよ。
こんなんあかんやん。絶対すべれへんやつやん。
このように、【裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱】に関しては掴みで全部持って行かれるんでストーリー云々に関して殊更記述する必要もないでしょう。

分かった分かった、じゃあ三作目を観る時はこれだけ覚えておいてください。
「フランク・ドレビン」は4000人の犯罪者を殺した(諸説あってよく分からない)ロス市警警部、「ワイアット・アープ」はアメリカ西部開拓時代の保安官、「エリオット・ネス」は大物ギャング、アル・カポネ逮捕に貢献したと言われるアメリカ財務省の捜査官、「エドガー・フーバー」はアメリカ連邦捜査局 の初代長官で、女装趣味があったんじゃないかと言われている人です。

「裸の銃を持つ男シリーズ」のパロディ映画一覧
最後に、「裸の銃を持つ男シリーズ」に出て来るパロディ映画をまとめてみました。これで全部なのかどうかは私も自信がありません。
だってそんなに真剣に観る映画じゃないから。
鼻ほじりながら適当に観てても明らかだったのは以下の13作。

ジェーンの初登場の場面が【深夜の告白】でバーバラ・スタンウィックが登場するシーンのパロディだってずっと思ってたんですけど改めて観ると全然違ってた。こんな勘違いもあるかも。
1953年/アメリカ/監督:ビリー・ワイルダー/出演:バーバラ・スタンウィック、フレッド・マクマレイ、エドワード・G・ロビンソン、トム・パワーズ、ジーン・ヘザー、バイロン・バー注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気[…]
パロディ①【プラトーン】
まずは一作目【裸の銃を持つ男】から。
出会った瞬間ひと目で惹かれ合い愛し合うようになるフランクとジェーン。波打ち際を駆け、わたがしやホットドッグをほおばり、爆笑しながら映画館をあとにする。

その日2人が観た映画は【プラトーン】。

1986年/アメリカ/監督:オリバー・ストーン/出演:チャーリー・シーン、ウィレム・デフォー、トム・ベレンジャー、フォレスト・ウィテカー、ジョニー・デップ/第59回アカデミー作品・監督・編集・録音賞受賞注※このサイトは映画の[…]
パロディ②【カサブランカ】
続いては二作目【裸の銃を持つ男 PART2 1/2】から。
一作目と二作目の間に別れちゃったフランクとジェーンがバーで再会する場面は、名画【カサブランカ】での同シチュエーションのパロディ。

“アホ映画界の3レジェンド”は映画史に残る名画をパロることさえ恐れない。
1942年/アメリカ/監督:マイケル・カーティス/出演:ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ、コンラート・ファイト/第16回アカデミー作品・監督・脚色賞受賞注※このサイトは映[…]
パロディ③【サイコ】
同じく二作目より。
フランクとよりを戻して一発かまそうとするジェーンがシャワーを浴びるシーンはアルフレッド・ヒッチコックの名作【サイコ(1960)】のパロディ。

1960年/アメリカ/監督:アルフレッド・ヒッチコック/出演:アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ヴェラ・マイルズ、ジョン・ギャヴィン、マーティン・バルサム、ジョン・マッキンタイア注※このサイトは映画のネタバレしようが[…]
パロディ④【ゴースト/ニューヨークの幻】
同じく二作目より。
レスリー・ニールセンが無駄に良い身体を披露するこちらのラブシーンは純愛ドラマの傑作【ゴースト/ニューヨークの幻】をパロっています。

ついでに書いておきますが、【ゴースト/ニューヨークの幻】を監督したのは“アホ映画界の3レジェンド”のひとり、ジェリー・ザッカー(弟の方)です。
自分の監督作までも盛大にパロるって、絶対頭おかしいでしょ?
1990年/アメリカ/監督:ジェリー・ザッカー/出演:パトリック・スウェイジ、デミ・ムーア、ウーピー・ゴールドバーグ、トニー・ゴールドウィン、リック・アビレス、ヴィンセント・スキャヴェリ/第63回アカデミー助演女優・脚本賞受賞[…]
パロディ⑤【E.T.】
二作目が続きます。
クリーンエネルギー研究の第一人者マインハイマー博士の影武者(リチャード・グリフィス)が車椅子ごと夜空の彼方へ吹っ飛んで行く場面は【E.T.】ですね。秒で消えて行くから上手いことキャプチャでけへんわ。

1982年/アメリカ/監督:スティーブン・スピルバーグ/出演:ヘンリー・トーマス、ドリュー・バリモア、ロバート・マクノートン、ディー・ウォレス、ピーター・コヨーテ/第55回アカデミー作曲・視覚効果・音響・音響効果編集賞受賞注[…]
パロディ⑥【アンタッチャブル】
これ以降はすべて三作目【裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱】からの引用になります。
先ほども申しました通り、三作目は冒頭からいきなり本気で視聴者をつぶしにかかって来ているので油断なりません。【アンタッチャブル】のパロディを引っ提げて正面から戦いを挑んで来ます。

「裸の銃を持つ男シリーズ」恒例の実在の人物のそっくりさん(アル・カポネやビル・クリントン大統領)も惜しみなく使ってくる。

銃撃戦始まってんで!エド!何してんのエド!

ちょっと待って、銃のベルトが絡まって…。

って 何やってんねんドアホ!
もうええわ、お前には期待せん!
フランク!行ったれフランク!ギャング団を一網打尽や!


いやいや 後ろ!
後ろで地味にノードバーグが赤ちゃん全員助けてる!
もっとアップで映したらんかい!
てかピント!
せめてピント!
【裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱】の冒頭約5分はどこにツッコんでいいのか分からない無間 地獄です。
1987年/アメリカ/監督:ブライアン・デ・パルマ/出演:ケヴィン・コスナー、ショーン・コネリー、アンディ・ガルシア、チャールズ・マーティン・スミス、ロバート・デ・ニーロ/第60回アカデミー助演男優賞受賞注※このサイトは映画[…]
パロディ⑦【ジュラシック・パーク】
何の脈絡もなく【ジュラシック・パーク】の恩恵にあやかるべく恐竜まで出してきますからね。

密かにロサンゼルス市警察署内にもウロついてる。

パロディ⑧【グーニーズ】
これはどうかな?
合ってるか分かんないんですけど、私には【裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱】のラスボス、ロッコ(フレッド・ウォード)のおかん(キャスリーン・フリーマン)が、【グーニーズ】に出て来るフラッテリー一家のママ(アン・ラムジー)にしか見えません。

1985年/アメリカ/監督:リチャード・ドナー/出演:ショーン・アスティン、ジョシュ・ブローリン、ジェフ・コーエン、コリー・フェルドマン、ケリー・グリーン、マーサ・プリンプトン、キー・ホイ・クァン注※このサイトは映画のネタバ[…]
パロディ⑨【サタデー・ナイト・フィーバー】
有名なジョン・トラボルタの「あのポーズ」をする訳ではないけど、フランクが1970年のディスコを訪れた時の回想シーンでビージーズの「Stayin’ Alive」が流れます。

「24年前」の回想シーンのはずなのに全員若返りメイクする気ゼロ。
そのヅラやめえ。
パロディ⑩【テルマ&ルイーズ】
フランクと喧嘩したジェーンが友人のルイーズ(エレン・グリーン)と傷心旅行にでかける場面はジーナ・デイヴィスとスーザン・サランドン共演の【テルマ&ルイーズ】のパロディ。

香水飲むのは止めとけ。
1991年/アメリカ/監督:リドリー・スコット/出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、ハーヴェイ・カイテル、マイケル・マドセン、ブラッド・ピット、クリストファー・マクドナルド/第64回アカデミー脚本賞受賞注※このサ[…]
パロディ⑪【大脱走】
爆弾魔ロッコに近付くため受刑者を装って刑務所へ潜入したフランク(そんなんアリか)は、ロッコと共謀して地中にトンネルを掘り脱走を試みます。
トンネルを掘るのも掘りおこした土をズボンに隠して少しずつ運動場へばらまくのもスティーヴ・マックイーン主演【大脱走】のパロディ。

ただしフランクの作戦は少々雑。

1963年/アメリカ/監督:ジョン・スタージェス/出演:スティーブ・マックイーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・ドナルド、チャールズ・ブロンソン、ジョン・レイトン注※このサイトは映画のネタバレ[…]
パロディ⑫【氷の微笑】
「タイトルだけで笑いをとる」と言う珍しいタイプのパロられ方をしているのが【氷の微笑】。

ロッコが爆弾をしかけたアカデミー賞受賞式で作品賞として発表されたのは【氷の爆笑】。
小学生並みの下らないネタも本気でブッ込んできてくれるのが「裸の銃を持つ男シリーズ」の良い所。
パロディ⑬【ダイ・ハード】
ロッコが屋上から落下する場面は、【ダイ・ハード】でハンス・グルーバー(アラン・リックマン)が高層ビルから落下するシーンと一緒だね。

ロッコの足には紐がくっついてるから跳ね返って空の彼方へ飛んでいくんだけどね。
1988年/アメリカ/監督:ジョン・マクティアナン/出演:ブルース・ウィリス、アラン・リックマン、アレクサンダー・ゴドノフ、ボニー・ベデリア、ウィリアム・アザートン、ハート・ボックナー注※このサイトは映画のネタバレしようがし[…]
映画【裸の銃を持つ男】三部作の感想一言

あー疲れた。
アホな映画って活字にすんのしんどいねん。
こういう時は何も考えずにただ笑える映画を観るに限るわ。
【裸の銃を持つ男】の前身「フライング・コップ」でも観よ。
エンドレス!!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。