映画【メメント】前向性健忘?時系列逆行?ちょっとネタバレ感想

2000年/アメリカ/監督:クリストファー・ノーラン/出演:ガイ・ピアース、キャリー=アン・モス、ジョー・パントリアーノ、ジョージャ・フォックス

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

作戦を練るレナードとナタリー
©Memento/メメントより引用

前向性健忘症の症状の中には、一般的な健忘症の症状と同じように物忘れが激しくなるというのではありません。そういうのではなくて、脳に衝撃がかかったためにその後の記憶が難しくなるという症状が出るのです。例えば急に道がわからなくなるなどがそうです。

家を出る時には「本屋に行く」という目的があったのに、いざ家の外に出てみたらどこに行くのかわからなくなったとか、そこまでの道が頭から急に抜けてしまったといった症状が出るのが特徴です。それでいて事故の前の記憶はしっかりと残っているのも前向性健忘症の特徴なのです。

出典:前向性健忘症の症状とは?

すごく怖い病気やなあって思います。この病気の真の恐ろしさってのがまた…珍しく夫と一緒にDVDを観てて、こんなやりとりしてました。

朱縫shuhou

朝目が覚めたら全然知らん場所で寝てるってめっちゃ怖いよな。

そやな、

家族とか医者がおっても毎朝「知らん人」がおるんやもんな。

朱縫shuhou

私やったら寝るのが怖くなって不眠症なるわ…。

でもその「朝起きた時の恐怖」も忘れるんちゃうん?

朱縫shuhou
…!!

そうです、「恐怖」も「後悔」も「自責」も全部忘れちゃうんです。

これヤバいでしょ。

 

前向性健忘症を患ったことで、ある意味最強の男となってしまったレナードが、様々な手段を駆使して妻を殺した犯人を捜すミステリー、【メメント】です。

 

 

 

前向性健忘症が怖い映画【メメント】のあらすじザックリ

自宅に押し入った何者かに妻を犯され殺されたレナードは、自分もその時に受けた外傷によって10分間しか記憶が保てない前向性健忘を患う。レナードは常にポラロイド写真を撮ってメモを書き、特に重要なことは刺青として体に刻みながら、復讐のため犯人を捜し始める。

 

 

結末から始まり、物語はさかのぼる「時系列逆行」

鮮明に赤い血が映し出されたポラロイド写真が、次第に色彩を失いやがて真っ白に…。

流れ出した血は逆流し持ち主の脳に収まり、投げ捨てられた銃は再び男の手の中へ…。

 

前知識が無くても冒頭のこの振りで【メメント】の時系列が逆行する演出についてはなんとなく心積もりができます。

ここが結末。

ここから記憶機能に障害を持つ主人公レナード(ガイ・ピアース)と共に、視聴者も必死で記憶の糸を手繰りながら逆行する時間軸を追いかけなければならなくなります。

 

前向性健忘症になる前のことは覚えてる

レナードが前向性健忘症を患うきっかけとなったのは、自宅に押し入った何者かにレイプされている妻(ジョージャ・フォックス)を助けようとした時に殴られた外傷。

前向性健忘症というのは罹患する前までのことは覚えてるようで、レナードも「誰を探して何のために復讐しようとしているのか」はとりあえず完璧に認識しています。

誰に追われてるかよく分かってないけどビビってるレナード
©Memento/メメントより引用

でもターゲットと思しき人物を見つけたって突然記憶がなくなったりするもんだから、まあ思うようには行きませんよね。

 

メモとポラロイド写真と刺青

レナードの記憶(?)手段は専らメモとポラロイド写真と刺青。常にメモとペンとカメラを携帯してます。

レナード

俺はバカじゃない。

記憶できなくたってメモを取ってる、写真を撮ってる。

破られたり消されたりしたら困る重要事項は刺青として体に刻んでる。

重要事項を刺青で残すレナード
©Memento/メメントより引用

このように「記憶なんかなくたって絶対俺は騙されたりしないぜ!」と終始自慢げにうそぶくレナード君。しかし残念ながら私にすら「アホやなあ~」と思われてしまった下りがあります。

自分が泊まってるモーテルのフロント係に

レナード

俺10分で記憶消えちゃう病気やねん。

失礼なこととか変なこと言ったらゴメンな?

て言うてまうんです。

気遣い細やかか。

そんなん聞いたら私でも「昨日の宿泊代払って下さいよ~」って1時間に1回は言うわ。

案の定レナードは2部屋借りてることにされてぼったくられそうになってますけども(ホントはもちろん1部屋)。こんな利用の仕方はまあ可愛い方。

 

レナードを取り巻く敵か味方か分からん人々

レナードの周りにはやたらと馴れ馴れしいひげ面テディ(ジョー・パントリアーノ)やセフレみたいな復讐協力者ナタリー(キャリー=アン・モス)とかがちょろちょろしていて、誰が敵で誰が味方で、嘘をついてるのか信用できるのかさっぱり分からない恐怖が常につきまといます。

馴れ馴れしいヒゲ
©Memento/メメントより引用

ちょっとおもろかったのが、レナード自身が殴ったことで鼻血吹いて家を飛び出し、10分後に戻ってきたナタリーの顔を見てレナードが放ったセリフ。

レナード

どうした!

誰にやられた?!

なんかもうおちょくられてんのかと思いますよね。「てめえだよ!」みたいな。ナタリーはわざと自分を殴るように仕向けたんですけど。

 

そんな感じでレナードは、ふと気付いた時に手にしているメモや写真を頼りに目的地を決めて移動する訳ですが、到着する頃には目的なんて忘れてることもしばしば…。

レナード

俺はなぜここに…

しかし何かがあるはずだ。

朱縫shuhou
…う~ん…しかしこれ…。

 

 

設定がすごいだけ?ラストの衝撃も物足りない

なんだかどうにもしっくりこない映画でした。ちょっとネタばれますけど、最後にテディがレナードに向って「お前の探偵ごっこに付き合ってやっただけや!」みたいなことを言うんですよ。

まさしくそれかなと。

時系列が逆行したり「前向性健忘症」という症例の少ない病気を扱ったり、着眼点は良かったんでしょうけど正直そこ止まり。記憶できない男が探偵ぶって悪を倒そうとしている「ごっこ遊び」にしか思えません。

レナードに協力するふりするナタリー
©Memento/メメントより引用

そしてレナードを利用していたテディやナタリーも、「元々悪い奴」がカモを見つけて都合よく利用してただけのことで、特に驚くことでもないです。

レナードの病気を知った善良な市民が考えられへんような犯罪を思いついて利用した、とかやったらおもろかったんかも。

 

 

映画【メメント】の感想一言

朱縫shuhou

もっとラストでぶっ飛びたかったなあ~。

あちなみに【メメント】ってラテン語で「思い出せ」の意味なんですって。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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