1967年/アメリカ/監督:スチュアート・ローゼンバーグ/出演:ポール・ニューマン、ジョージ・ケネディ、モーガン・ウッドワード、ストローザー・マーティン、デニス・ホッパー、クリフトン・ジェームズ/第40回アカデミー助演男優賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
ハリウッドの大スター、ポール・ニューマンが、あの無邪気な笑顔で脱獄を繰り返す不屈の男を演じた映画。
タイトルになるほどの暴力描写はないものの、やっぱりポールが暴行受けてると悲鳴が出ちゃう。
止めて!
殴らないで!
とりあえず顔は止めて!
【暴力脱獄】です。
映画【暴力脱獄】のあらすじザックリ
なぜ原題【Cool Hand Luke】をそのまま【クール・ハンド・ルーク】にしなかったのか?
酷いんですよこの映画。
何が酷いってあーた、邦題さね。
原題は【Cool Hand Luke】と言いましてですね、主人公のルーク・ジャクソン(ポール・ニューマン)がポーカーでハッタリかました時のセリフ、
に由来しています。
昔は今ほど原題をカタカナにしてそのまま使うことはありませんでしたけどね。
例えば【暴力脱獄】でジョージ・ケネディが助演男優賞を獲得した第40回アカデミー賞における作品賞受賞映画ひとつ取っても、以下のような感じです。
- 【夜の大捜査線】(原題:In the Heat of the Night)
- 【俺たちに明日はない】(原題:Bonnie and Clyde)
- 【ドリトル先生不思議な旅】(原題:Doctor Dolittle)
- 【卒業】(原題:The Graduate)
- 【招かれざる客】(原題:Guess Who’s Coming to Dinner)
【夜の大捜査線】や【招かれざる客】なんかは仕方ないとしても、比較的簡単な英単語「グラデュエート」でもきっちり【卒業】と訳されて邦題になっていたりしましたもんね。
まだまだ日本の英語教育が追っついてなかった証 なんでしょうけど、それを踏まえても【暴力脱獄】はホントに、稀に見る乱暴な邦題ですわ。
意味はかけ離れてるし語呂も悪いし字面 もダサいし…ブツブツ。
男性の憧れの「男性像」
【暴力脱獄】で描かれるルーク・ジャクソンのような人物像は、女性にはちょっと理解しがたいものがあります。
なのに映画の中の囚人も映画を観ている視聴者も、男どもと来たらほぼ例外なくルークに憧れて止まないらしい。
なんで?
ええじゃあルークがどんな人物なのか少しお話しますよ。
天気の良いある日、彼は他の3人の囚人と一緒に刑務所に収監されます。
罪状は「酔っ払って公共のパーキングメーターを壊して回ってた罪」。
まずこれ。
こっからもう理解不能。
なんでパーキングメーター壊すんさ。
次。
器物損壊罪に当たると思われるルークの刑期は2年。
たった2年おとなしく服役していればシャバに戻れるってのに、ルークは脱獄を繰り返します。
ね?
これも理解不能。
不思議な魅力で顔役のドラッグ(ジョージ・ケネディ)を始めとする囚人たちの尊敬を集めるルーク。彼を危険視した刑務所長(ストローザー・マーティン)に不当な扱いを受けてブチ切れたんだとしても、脱獄してどうすんのさ。
捕まったあとが悲惨だし、捕まらなかったとしても一生日陰の身よ?
何もパーキングメーター壊した罪で一生を棒に振らんでも。
ルークは最初の脱獄をする少し前、ドラッグから「もう少しで刑期が明ける!今面倒を起こすな!」と忠告もされています。
それなのにやっちまう頑固者。
なんかの病気?
売り言葉に買い言葉でゆで卵を1時間で50個食べるなんて約束をして、実際にそれをやってのけちゃうし。
なんでそんなことすんのよ。
下手したら死ぬよ?
大体女性には「売り言葉に買い言葉」みたいな概念ないからね。良い意味でも悪い意味でも計算高くて合理性のかたまりだから、「勢いでやっちゃう」とか「プライドが許さない」とかあんまりない。
ところが囚人どもはみんな、そんな不屈の闘志を持ったルークを、神のように崇め奉り始めるんです。
そしてラストでその神であるはずのルークは、実は「本当の神」の居所が分からなくて路頭に迷える子羊ちゃんであることが明かされます。
「男が作った映画なんやろなあ~」とすごく感じてしまう映画なんですけど、特に意味もなくひたすら権力に抗 うルークの精神も、ここまで突き詰めてしまえば爽快。
いくらみんなの羨望を集めたところで、本人は終始「いつ死んでもいい」って言ってるのも何だかシュール。
ちなみに頭の弱い囚人ババルガッツ役でデニス・ホッパーが混じってます(←好き。画像中央のニヤけてる奴)。
女性は胸を揺らして洗車をするか、作り笑顔の裏で涙するのみ
【暴力脱獄】に出てくる女性といえば、囚人たちの視線を全身に浴びながら洗車を愉しむルシールと、余命短いのにはるばる息子の面会にやって来るルークのおかんだけ。
このルシールの洗車の場面にしても、【暴力脱獄】に関わったスタッフは一人残らず男であったのだろうと思わざるを得ません。
プレイメイトさながらのムチムチボディをさらけ出して、ルシールがただ洗車をするシーンの長いこと長いこと。
ルシールに向かって密かに飛ばす野次の幼稚なこと下品なこと。
※ルシールはワンピースの胸元を安全ピン1本で留めています。
男って面白いね。
だから好きなんだけどね。
映画【暴力脱獄】の感想一言
逆説的に言うと女性ってのはまったく、こうやって先を見て冷静に「そんなことしても無駄やん」とか考えてしまうから、柔軟性に欠けスクエアになってしまうんですかね。
きっとルークのように何者にも屈せず自分を貫き通すトガった男が新時代を創って行くのね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。