1933年/アメリカ/監督:ロイド・ベーコン/出演:ワーナー・バクスター、ビーブ・ダニエルズ、ルビー・キラー、ジョージ・ブレント、ディック・パウエル、ジンジャー・ロジャース
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
映画を観る時って、何を基準に選んでますか?
私はまず好きな俳優や監督が関わっているかどうか、次に話題性やジャンルで選んだりします。
まあ普通は脚本家や作曲家や振付師でチョイスしたりはしませんね。
私は映画が好きなので例えが映画になってしまいましたけど、何も映画に限ったことではなくて、音楽でも舞台でも、重要な役割を担っているにも関わらず陽の目を見ない人達って必ず一定数いるんでしょう。
新人女優ペギー・ソイヤー(ルビー・キラー)がスターに上り詰める一方で、立役者であるジュリアン・マーシュ(ワーナー・バクスター)が世間の評価を得られず演出家人生に幕を下ろす映画【四十二番街】は、そんな人達への賛歌でもあるような気がします。
映画【四十二番街(1933)】のあらすじザックリ
新作舞台“プリティ・レディ”を成功させたい人々の群像劇
5週間後に開演迫る新作舞台“プリティ・レディ”。
【四十二番街】はこの“プリティ・レディ”のオーディションから初日の上演終了までを描いた群像劇です。
演出に抜擢されたのはかつての名演出家ジュリアン・マーシュ。
世界的な大不況でコテンパンにやられたマーシュは心身ともにボロボロで、主演に人気女優のドロシー・ブロック(ビーブ・ダニエルズ)を招いたこの舞台の大成功を以って引退を心に決めています。
主演女優ドロシーは(…時代が時代ですから詳細には描かれないけど明らかに)スポンサーのおっさんの情婦と化していて、古くからの恋人パット(ジョージ・ブレント)との二股交際ぶっこいています。
そんな中、大急ぎで新作舞台のオーディションが開かれ、コーラスガール最後の1枠を勝ち取ったのが、これがオーディション初挑戦のペギーでした。
レイチェル・マクアダムスに激似で、1930年代というよりは近代的な美人よりの顔立ちをしてるペギー。メイクもトレンド。オンの時は倒れるまでダンスの練習に打ち込み、オフともなればコロコロとよく笑う。
200人ものダンサーに囲まれても輝きを失わないペギーは、やっぱり最初からスターの資質を秘めていることがわかります。
うんうん、いいよ君。
君スターになるよ絶対。
ペギーだけでなく他のダンサー達もマーシュに唾が飛んで来そうな距離から罵声を浴びせられつつ練習を続け、ピアニストも脚本家も大道具も、スタッフ全員が一丸となって何とかプレミアに漕ぎ付けることができました。
ところがプレミア前日、主演のドロシーが事故により足首を骨折。
代役に抜擢されたのはなんと新人のペギー。
幕が開くまであと5時間。
ペギーはたった5時間で主役パートのすべてを叩き込まれます。
そして舞台は大成功!
…ってこの下りはいくらなんでも嘘くさくて吹いちゃうんですけど、それにしてもこのステージの映像は圧巻です。
中でも真上からダンサーを映してまるで万華鏡のように表現するひらめきと技術。
一糸乱れぬチームワークに目と頭がクラクラする(←酔った)。
この3年後に公開された、私がレヴューの描写でもっとも優れていると思う映画【巨星ジーグフェルド】にも【四十二番街】が影響を及ぼしていることは明白です。
1936年/アメリカ/監督:ロバート・Z・レナード/出演:ウィリアム・パウエル、マーナ・ロイ、ルイーゼ・ライナー、フランク・モーガン、ファニー・ブライス/第9回アカデミー作品・主演女優・ダンス監督賞受賞注※このサイトは映画の[…]
演出家ってそんなに脚光浴びないの?
プレミア上演後。
劇場の出入り口付近でタバコを吸ってるマーシュの横を、観客たちが今夜のレヴューについてあれやこれやと意見しながら通り過ぎて行きます。
え、なんで?
舞台の大成功に喜んだのも束の間、病気の体を押して眠ることも忘れてダンサー達を指導してきた演出家マーシュへの聴衆の評価は、彼の努力に値するものではありませんでした。
そのまま映画は幕を閉じてしまいます。
【四十二番街】はプレミアの大成功だけで終わらず、表舞台で華やぐスターの影にある演出家らの不遇をクローズアップしている珍しい映画です。
映画【四十二番街(1933)】の感想一言
その後、スターになったペギーがラジオやTVで「私が成功したのはマーシュのお陰です」とかなんとか言えば、大衆の意見はまた180度ひっくり返るんでしょうしね。
不遇を嘆くと言うよりは大衆の気まぐれを皮肉ってる映画なのかな?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。